Experiences in UK
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2005年03月07日(月) 第80-82週 2005.2.14-3.7 ブレナム・パレス、コンプリート・アングラーでのアフタヌーン・ティー

2月後半のロンドンは寒さが厳しく、毎日のように雪が舞いました。ただし、寒いといっても氷点下前後の気温であり、雪が積もることはありませんでした。3月に入って日が長くなり始めるにつれ、寒さも次第に和らいできています。

(ブレナム・パレス)
大学で有名な街オックスフォードを訪れる人は必ずブレナム・パレスまで足を伸ばし、英国内で数ある豪邸の中でももっとも有名な邸でありユネスコ世界遺産にも登録されているブレナム・パレスを訪ねる人は必ずオックスフォードの街に立ち寄るという具合に、これら二つの観光スポットは、観光者にとって双子のような存在です(単に地理的に近いだけですが)。
先日、そんな典型的な観光コースを我々も回ってきました。

ブレナム・パレス(Blenheim palace)は、オックスフォードから車で20分程度の小さな街ウッドストックにある「英国が誇る広大で優美な私邸」(観光パンフより)です。一貴族である初代マールバラ公に対して、スペイン継承戦争(1702-1713)におけるブリントハイム(英語名ブレナム)の戦いでの軍功により当時のアン女王から下賜されたのが、このブレナム・パレスでした。現在も第11代マールバラ公が所有しています。
初代マールバラ公であるジョン・チャーチルの末裔(スペンサー=チャーチル家)には、第二次大戦時の英国首相ウィンストン・チャーチル(正式名をウィンストン・レオナード・スペンサー=チャーチルというらしい)がいます。ブレナム宮殿は、チャーチル元首相が生まれ育った邸宅としても有名です。また、故ダイアナ妃はスペンサー家の一員でした。
スペンサー=チャーチル家は、イングランドに現存する10の公爵家のうちのひとつであり、英国を代表する名門の家です。

これまで数多くの英国貴族の邸宅を訪れましたが、ブレナム・パレスは超ド級のでかさでした。敷地内には移動のための手段として鉄道(!)が敷設されています。
敷地の広さや建物の大きさだけではなく、「細心の注意を払ってデザインされた絶妙な景観美」(ブレナム・パレスのパンフレットより)に圧倒されてしまいます。邸の周囲には、美しく造成されたいくつかのガーデンのみならず、広大な牧草地、立派な橋のかかった大きな湖、森などがあり、敷地の端にある初代マールバラ公の勝利を記念して作られた巨大モニュメントをはるか遠くに望むことができます。これらすべては、著名な庭園設計家のケイパビリティ・ブラウンによって作られた壮大な英国式風景庭園なのです。
チャーチル元首相の母であるランドルフ・チャーチル婦人が、初めてブレナム・パレスを訪れた際の印象を次のように記したそうです。私の受けた印象とも一致するものでした。「アーチ型の入り口門をくぐるにつれ、美しい眺めがどっと襲ってきた。ランドルフは『これぞイングランドきっての壮観な眺め』と鼻高々だけれど、それも過言ではないでしょう。事実、湖や橋、古いオークの木が散在する何マイルもの壮大な庭園の広がりや・・・巨大で壮麗なパレスを目にして、畏怖の念に打たれていましたが、私のアメリカ人としてのプライドがその告白を辛うじて止めたのです。」

邸の内部もウィンザー城に勝るとも劣らないくらいご立派なものでした。
暗い廊下の左右両壁面上部には、一定間隔で鹿の頭部の剥製が飾られています。知らないスキに見開いた大きな目でギョロッとにらまれているような錯覚に襲われます。
それぞれの室内には、巨大な肖像画や極彩色のタペストリーや彫刻等々が数知れず飾られていました。壁、柱、天井、カーペットなどもそれぞれ見応えのある造りで、溜息が尽きません。ロング・ライブラリーと呼ばれる細長い広大な書斎(図書室)も印象的でしたが、とくに一番端にパイプオルガンがでんと置かれているのには驚きました。
このように、ブレナム・パレスでは、我々の物差しでは測れない世界に至る所で触れることができます。

(ヌードル・バー)
英国には、エイジアン・ヌードル・バーというジャンルの食べ物屋があります。主としてアジアの麺類を出す店で、英国人にそれなりに人気があるようです。
英国に来て初めて、オックスフォードの街にあったヌードル・バーに入りました。これがびっくりするくらいにまずかった。フラット・ヌードル(きし麺みたいなもの)を注文したのですが、ぶつ切れの(!)平らなうどんが単なるお湯のように味のないスープの中にてんこもりで盛られて出てきました。そこそこ客が入っている店だったのですが・・・。
ロンドンには、ロンドナーに非常に人気が高い有名なヌードル・バーとして、WAGAMAMAなる名前のチェーン店があります。昨年秋、パットニーのハイ・ストリートにも出店してきたので一度食べてみたいと思っているのですが、果たしてオックスフォードの店とは違うのかどうか。

(コンプリート・アングラーでのアフタヌーン・ティー)
とある週末、当家への来訪者と一緒に(三度目の!)ウィンザー観光を終えた帰途、少し時間があったのでマーロウ(04年8月16日、参照)に立ち寄りました。マーロウを訪れるのも三度目なのですが、今回はテムズ河畔にある超有名ホテルのコンプリート・アングラー(Compleat Angler)にてアフタヌーン・ティーにトライしてきました。
日曜午後にふらっと立ち寄った割には、幸運にも10分程度の待ち時間でテムズ河に面したテラス席に案内されました。窓からはゆったりと流れるテムズ河と共にマーロウ橋や川向こうの教会を望むことができます。
スコーン、サンドイッチ、ケーキという定番セットをお茶といっしょに頂くアフタヌーン・ティーはこれで三〜四回目ですが、一般論として、コスト(約20ポンド=6000円)との見合いで考えると必ずしもペイするものではないなあと感じます。ただし、コンプリート・アングラーでのアフタヌーン・ティーについては、伝統あるホテル(約400年)の雰囲気と素晴らしい眺めを堪能しながらおいしいスコーンとお茶を頂く時間の購入代金として考えると、必ずしも高くないと思いました。
マーロウの散策とコンプリート・アングラーでのアフタヌーン・ティーは、英国を訪れる方にぜひ推薦したい観光コースの一つです。


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