* * 今日の空色 * *
               by * yuk!na



モクジ * カコ * ミライ


2004年11月19日(金) 転送された手紙。

手紙が届きました。

旧住所の宛先で。
転送されて届きました。


私は引越先の住所を人に知らせませんでした。
その必要性があまりなかったのと、少し煩わしかったのです。

そして、それに伴ってメールのアドレスが変わりました。
プロバイダを変えたのです。
でも、それも教えませんでした。
なぜならホットメールを頻繁に使っていて
本アドに送ってくる人は、ほとんどいなかったからです。


でも、教えなくてはいけない。と思った人がいました。
それでも、その人と連絡を取るのが、苦しくて。

そのまま、触れずに1年ほどやり過ごしました。



そうして、手紙が転送されて来たのです。



その人は、亡くなった親友のお母さまでした。


連絡を絶った私を心配していたのでしょう。
どうにか連絡を、と思ったのでしょう。

 洋梨を送ったと言うのです。

しかし、それは宅配業者に届かないと言われたそうです。

その後E-mailを送ったようです。

 それも、届かなかった。

そうして、手紙が転送されるのを願って
手紙を送ってくださいました。


その気持ちに嬉しく思うとともに痛みが走っていくのです。





ずっと、彼女を避けていました。
痛みを共有することが、最善でもなく。
そして、結局は共有できるはずもなく。
一緒に、痛みに溺れてくだけのような感覚を覚えたのでした。

だからあの子の誕生日にも、命日にも。
会いに行くことはおろか、連絡さえもせずに過ごしていました。
何回か、独りでお墓参りをしたけれど。

自分一人で、偲んでいても、それはそれでいいのだろうと。
自分に言い聞かせて。



少し寒いあの駅から、バスで団地を抜けて、桜の木で溢れたあのお墓の前で。
独り泣いたあの日。

でも、独りじゃないと泣けないよ。
一緒に泣くのは、痛い。





どうしてだろう。
でも、痛みは一緒じゃないんだ。




同じ人の死を悼むのに。






痛いよ。
















すぐに。
メールを送りました。
――連絡をしないで、すみませんでした。






返事がきっと来る。
洋梨がきっと届く。



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