明後日の風
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2010年09月20日(月) 一つのもの

 まだまだ夜明け前の暗い時間。
 小さい白熱電球が灯る食堂で、温かい朝食が振舞われる。
 小さい小屋の、3000mとはとても思えない手がかかった食事の数々。
 それは、お昼のお弁当にもしっかりと表れている。



「いなりずし・・・」
辛しいなり等の変わりいなりを詰め込んだこのお弁当。驚くべきは、6個がすっぽりと納まる弁当箱、そして弁当箱を包む紙袋の適度な大きさ、こんなところに「計算され尽されている」という事実が、品良く主張されているのである。
「いい山だった」
という塩見岳の感想は、この小屋の思い出とともに「一つのもの」として記憶されている。
 
 三伏峠までの道は快調で、
「これで見納めか?」
と思いながら、塩見岳を何度も振り返って眺めていく。


 
 峠で一休みしてから急坂を下っていく。
 振り返ると、既に山の陰になってしまった塩見岳に替わり、甲斐駒ヶ岳が一際輝いていた。


さわ