明後日の風
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伊那谷は明るい。 午後の高台のカフェ。テラス席から、天竜川に向かってなだらかな緑が続いている。その先、白一色の南アルプスの3000m峰の手前には、ぽっかりと高遠の町が口を開けている。 甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、そして日本第二の高峰北岳。更に南には未踏の塩見の険峻な峰が続いている。まだまだ雪の山である。
岡谷の町から小さな谷を走ってきた僕には、この伊那谷は広くて大きい。 諏訪湖の北岸、大きな高速道路の高架橋を見上げる、山に囲まれた小さな空間、岡谷の町の端に、ひっそりと小さな駅舎と駅前ロータリーがある。 「東京に一足先に戻るから」 という、友人をこの岡谷の駅で降ろしたのだ。 塩尻へのトンネル開通で今では電車も少なくなった中央本線と僕の走る県道が川沿いにひしめく小さな谷は、辰野を過ぎていきなり開け、僕は高台の直線の続く農道へとハンドルを切っていく。緑の草原の向こうに木曽駒ヶ岳が見えた。
午後2時。そろそろダッチコーヒーの氷も解けてきた。 開田高原からの御嶽山を楽しみにしながら、目的地、飛騨高山を目指すとしよう。
権兵衛トンネルの向こうは木曽、険しい谷である。
さわ
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