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「暗幕」日記

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2002年02月07日(木) 創作:そのとき何かが音を立てて壊れた

そのとき自分の中で何かが音を立てて壊れた。その音はすぐ近くでしたはずなのに遠く乾いた世界に聞こえた。

れっきとした大人が壊れる瞬間などなかなか立ち会えるものではない。目の前で人が壊れて動かなくなる一部始終を私だって見ていたくなんかなかった。逃げられるものなら疾うにそうしていた。選ばなくてすむなら選びたくなんかなかった。どちらを選んでも、咎められ、責められ、そして憎まれることは避けられないとわかっていた。私は三歳だった。

その少し前から徐々にその人は死につつあったのかもしれない。ときどき私が見えていなかったり、話しかけても聞こえていないようなときがあった。私はあまり世間を知らなかったので、それが異常だということにずっと後まで気がつかなかた。けれど気づいていたとしても何も変わらなかったと今なら思える。壊れずにすむ方法なんて私もまだわからない。

もしかしたら同じ遺伝子をもつ私にも、遅いか早いかの違いだけでいずれ同様に壊れてしまう時限爆弾がセットされてしまっているのかもしれない。

あるいは。壊れた一部が今も成長を続けているのが私なのかもしれない。はじめてあの音を聞いたあの日、あの午後。

断片的な記憶としてしか存在しないあの時。

夢記録:いろいろなものが壊れてゆく/ひとつになった日

【夢の内容】
1)髪をとかしていたらクシがまっぷたつに折れた。眼鏡もちょっと外しておいておいたら、左目分が、フレームは割れて一部が外れ、レンズも中心を弾丸が通過したような小さな穴が開いてそこから放射状にひびが入っていた。クシはともかく眼鏡がこんな風になったのははじめてだ、買い直すにしても眼鏡屋さんに行くまでに困るので瞬間接着剤を盛ったらレンズのひびだけは目立たなくなった。

2)小ホールの入り口で開場を待っている。外は白いコンクリートの階段が目立ってどれが目的の玄関かぐるぐるまわって探してしまった。関係者用通用口も普段は使えるのだが本日は(ホール職員の)休日なので通用口は閉鎖されていた。
連れの分と合わせて五枚のチケット(昔の切符のような小さいもの)を渡す。係員は誰が私の連れか確認していない様子なので、これならチケットなしでも紛れて入場できるなと思う。

3)グループでかくし芸大会を小ホールでやっている。いよいよ始まるときに、司会者が題を発表した。私のいるグループがトップバッターで、1番目のW君はすぐ出番である。ステージに上がったWは据付けのキーボードで課題をそつなく弾き歌いはじめた。私のいる席から左側の角を挟んだ階段席の別グループの全員が、曲に合わせて肩を組み身体を揺らしながら斉唱をはじめた。突出した声はなくまとまったハーモニーとして聞こえた。

【思うこと】1)の壊れたものは、目覚めて夢でよかったとホッとしました。買い直すのもお金がかかるので夢の中でも困っていましたが爽快感もあった夢です。
この日記で壊れる話ばかりかいているのと関係はあるかな。


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