| 2003年06月17日(火) |
3つのオレンジへの恋 |
夏になり、国立オペラ劇場には客演が相次いでいる。 今月頭から行われているのはオペラ週間。 ロシアのボリショイオペラが来ているので、 チケットを取って行ってみた。 演目は「3つのオレンジへの恋」。
第1幕。 王様は悲嘆にくれている。 王子がヒポコンデリー(心気症)なのだ。 後継ぎがこんな風では、彼の王国はずるがしこい姪にのっとられてしまう。 どうにかならんか、と悩む王様、 かつてある医者に聞いたことを思い出した。 「王子様を治す唯一の方法は、彼を笑わせることです」 そこで国随一の道化、トルファルディーノを呼び、 盛大な祭りの開催を依頼することにした。
それを聞いた姪の王女と、彼女サイドである首相は気が気でない。 王子がもし笑うようなことがあれば、 彼らの野望は水泡に帰してしまうのだ。 そこへ、魔女フェタ・モルガナの手下がやってきた。 「大丈夫。彼女が祭りに来ている限り、王子は笑いません」
所変わって、炎と魔法の国。 トランプに打ち興じているのは、2人の魔法使い。 この2人、実は王様サイドと王女サイドに分れている。 王様サイドについている魔法使いは、どうしてもフェタ・モルガナに勝てない。
第2幕。 トルファルディーノは頑張っている。 王子を笑わせようと、自分の持ちネタを披露している。 しかし、王子は枕を抱えて溜息をつき、 「肝臓が痛い、腎臓も痛い」というばかり。 何故なら、そこにはフェタ・モルガナがいるからだ。 彼女の姿を認めたトルファルディーノ、 「出て行け」とばかりに彼女に掴みかかる。 双方取っ組み合いのけんかの果てに、フェタ・モルガナは押し倒される。 その様子を見て、なんと王子が笑い出した。 「何て…おかしい…ばあさんなんだ!」 それを見た王様や国民は大喜び。
しかし、おさまらないのはフェタ・モルガナ。 「野蛮人!よくお聞き! お前は3つのオレンジに恋をするのだ。 お前は3つのオレンジを探さずにはいられないだろう。」 その言葉の魔力に王子はかかってしまった。 しかし、今や元気満々の彼は、人々の静止を振り切って、 トルファルディーノと共に、オレンジ探索の旅に出かける。
第3幕。 王様サイドについている魔法使いは、 悪魔を呼び出して、王子達の居所を尋ねる。 悪魔が答えて曰く、「恐怖の料理女の城へ向かっている」。 何とか止めさせようとする魔法使いをあざ笑い、 悪魔は闇の世界へ戻ってしまう。
それならせめて、と魔法使いが取り出したのは魔法のリボン。 王子とトルファルディーノの前に現れた彼は、それを渡してこう忠告する。 「3つのオレンジを手に入れたら、水がある場所以外では切ってはいけない」
魔法のリボンを使って「恐怖の料理女」からオレンジを盗み出した王子たち。 道中、段々巨大化するオレンジの運搬に疲れ果て、王子は眠り込んでしまう。 一方、トルファルディーノは咽喉が渇いてしょうがない。 そうだ、オレンジがあるじゃないかと、ためしに一つばっさり。 すると、中からは一人の美しい女性。 驚くトルファルディーノに向かって、彼女は水を要求する。 そんなことを言われても砂漠のまん中のこと、 一滴の水もあるはずはない。 「早く水を…でないと、渇きで死んでしまいます」 うろたえたトルファルディーノは、もう一つのオレンジをばっさり。 さあ、このオレンジの果汁を…と見ると、やはり中には一人の女性。 そして彼女も「水を下さい」と言うのだ。 慌てる彼の目の前で、みるみる二人は死んでしまった。 トルファルディーノは、自分のした事が恐ろしくなり、逐電してしまう。
目ざめた王子は、切られたオレンジの有様を見て驚き悲しむ。 「私に残されたのは、愛するオレンジただ一つ」。 たまらず、ラスト1個に刀を入れる。 と、中にはひときわ美しい女性がいた。 そしてやはり要求するのは、一滴の水。 困った王子であるが、ある手段を使って、彼女に水を与える。 (その手段に関しては、実際観てください) 生気を取り戻した姫と王子は、しっかり抱き合う。
「王様に知らせてくる」と彼女を待たせて城へ向かう王子。 彼を待つ姫の前に現れたのは、フェタ・モルガナ。 魔法を使って姫を大きなねずみに変え、 自分の手下を替わりにその場へ残してゆく。
戻ってきた王子はびっくり。 なんと、愛する姫が娼婦になっている。 「これは私のオレンジではない!」という王子に、 「それでも男は約束を守らねばならない」と、 王様は結婚を命じる。
第4幕。 魔法の世界では、二人の魔法使いが相変わらず取っ組み合い。 弱い魔法使いをあざけるフェタ・モルガナであるが、 思わぬ助っ人の登場で、彼女は追い払われてしまう。 さあ、王子たちを助けに行こう!
宮殿では、失意の王子をよそに、結婚式が行われようとしていた。 玉座にかけられたヴェールを取り除くと、 そこには一匹の巨大ネズミ。 驚き騒ぐ人々の中に魔法使いが現れ、呪いを解くと、 そこには元通り美しい姫の姿があった。 王子は叫ぶ。 「これこそ、私の愛するオレンジ!」
今や、陰謀に気づいた王様は、 姪の王女と首相を罰しようとする。 しかし、隙を見て逃げ出した彼らを、 フェタ・モルガナが手招きする。 向かった先は、炎と闇の世界…
そんなこんなで、王国は喜びに包まれる。 「王様よ永遠に!王子と姫よ、永遠に!」
…とね、こんなストーリーなんですが、 長々とこれを読んできた方々。 今、あなた方の脳裏に浮かんでいるオペラと、 ボリショイのそれとは、多分全く違うものです。 機会があれば、是非是非。
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