遅ればせながら今月の餅日記です。今回は「不破家+αの事情」という事でどうぞ☆くどいですが、完全独立しておりますのでその旨ご了承くださいませ(ぺこり)。
ホント、何でもアリになってきたなぁ…(遠い目)。これでいいのか餅日記(反語)。 (それ以前に一発勝負を何とかしなさいよ自分<超☆絶☆痛)
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「珍しいな」 不破が僅かに瞠目した。
「お帰りなさい、大地」 「そうだな、58日ぶりだな」 「儂は24日ぶりか」 久し振りに不破家の構成人物が一堂に会した。昼の練習に出かけた時は見送る人間が皆無だった為、不破が玄関に揃えられていた靴を見落としていたとしても仕方あるまい。 リビングには新茶の若々しい香りが立ち上り、不破の鼻腔を刺激する。一度瞬いた黒曜石に気付いた乙女が微笑した。 「着替えていらっしゃい、お茶を淹れるから」 「了解した」 そう告げると、焦茶色の頭髪は自室へと向かった。
5分後、漆黒のパーカーとカーキのカーゴパンツに着替えた不破がリビングのドアを開くと再度瞠目した。
「…珍しいな」
「そうだな、会うのは101日と22時間58分ぶりだからな」
不破に類する凛とした声。僅かに高く響くのははとこである京介のものだ。 「変わりないようだな、大地」 「…む、2ミリ身長が伸びているのだぞ」 「了解した。私より3.7センチ低いわけだな」 こくりと首肯する。さらり、と長髪が流れた。 「……そうだ」 首肯を返す。ぱさり、と前髪が揺れる。眉間に増えた皺の存在に京介の口角が優美に上がった。
「さあ、大地もお茶にしましょう」 生成色のソファで寛ぐ京介の隣に不破が落ち着いたのを確認すると、乙女が翡翠の湖面を揺らしている有田の湯飲みを手渡した。 少しずつ冷ましながら新茶を飲んでいると、ソファの前のローテーブルに小さな菓子皿が置かれる。 「二人とも、お義父さんが全部食べてしまう前にどうぞ」 くすくすと軽やかに笑いながら供されたのは柏餅。 「俺の学会土産だ。美味いぞ」 だが、家族の為に土産を購入するような大陸ではない。頻繁に出張に出かける不破家の人々には土産という慣習がないからだ。だから、二人の未成年が四つの瞳で理由を問う。眼鏡の奥の虹彩をきらんと輝かせて購入者は応えた。 「同僚の付き合いで立ち寄った和菓子屋に年に一度の限定品ということで販売されていたのだ。理由を尋ねたらこのようなものを渡された。中々興味深いぞ」 不破と京介は、ついと渡された二つ折りの紙を開いてみる。
「…季節菓子、という訳だな」 ふむ、と頷いて京介が柏葉を剥いで一口食べた。 「うむ、癖のない素直な味だな」 「そうだろう?つるっとした餅から柏の香り、消え入りそうな塩の風味。 そして、舌の上で溶けそうに軽い漉し餡。正に『素直な味』だな」 大陸が我が意を得たりとばかりに頷いた。 「まるで大地のようだ」 「そうだな」 大作が3つ目を頬張りながら京介に賛同した。豊かな黒髪を揺らして乙女が追加する。 「あら、京介君も素直よ?」 「そうか?」 「そうだな」 小首を傾げる黒須グループの若き会長に、柏葉の産毛を観察していた不破が視線を動かさずに賛成した。軽く呼気を満たすと一気に語りだす。 「柏はブナ科の落葉高木であり、山地や寒地の海岸に生える。 葉は倒卵形で、波状の大きな鋸歯がある。 そして、雌雄同株。五月に葉とともに開花する。 雄花は長い尾状花序をなして下垂し、雌花は少数ずつつく。実はどんぐり状の堅果となる。 樹皮を染料とし、葉は大きく古来食物を包むのに用いる。 …と中々興味深い樹木だ。乙女、何か資料があれば貸してくれ」 「ええ、後で部屋に持って行くわね」 「うむ」 不破の母だけあって、乙女の所持している文献は生化学だけに留まらない。不破家の面々は各々膨大な資料を有しているが、個人のルールに則って整理されている為、家族と雖も迂闊に手を出さないのが暗黙のルールだった。 取り敢えず好奇心を落ち着かせた不破が漸く柏餅にありつく。 黙々と噛み砕く息子とはとこを眺めやる保護者たちは二人の咀嚼速度が同じなことに気付いて視線だけを交わして微笑む。 遠縁とはいえ、どうしてこれほど似ているのだろう。否、そこここに差異は見受けられるが、根本的なところが類似しているのだ。 それは互いにとって無形の拠り所となっていることを知っている乙女は優しく語り掛ける。 「あのね、その紹介文にもあるように柏餅は端午の節句の祝い菓子なのよ。 今日は久し振りに皆揃ったし、少し早いけどお祝いしましょうね」
貴方達には端午の節句のお祝いらしきものをしてあげられなかったけど、 とても素直に育ってくれてありがとう。 これからも親として貴方達の成長を楽しく見守らせてね。
胸中で密やかに付け加える。京介には既に自分達以外に身寄りがない。志喜屋という公私に渉る支えがいるが、それだけでは充分と言えまい。 男性陣も程度の差はあれ、同様の心境のようだ。揃って子供たちを見つめていた。 そんな彼らの視線に気付かない不破と京介は淡々と感想を語り合う。
「『年に一度』という希少価値を付加して購買意欲を刺激する。いい着眼点だな」 「うむ。早速黒須でも検討してみよう」 「だが、二番煎じでは面白くあるまい?」 「それは見せ方次第だ。出藍の誉れとなればそれで構うまい」 「成程…そうだな」
年相応のようなそうでないような会話に花が咲く。それが自然体である彼らの自然な状態であった。
涼やかな裡に柔らかさを孕んだ瞳で笑むと、乙女はV−MAX2000を作る為にリビングを後にした。
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で、コミックス15巻の「不破家の事情」にシフト(待て)☆ や、あの不破は夏服ですが(それ以前の問題ですよ自分)。 相変わらず描写が大雑把ですが、温く流してやってくださいませ(ぺこり)。 つか、乙女の口調がイマイチ掴めん…(なら書くな)。
現在15:30です。夜日記を書くかは未定の方向で(をい)。手がびくびくする…(怯えてるみたいだ…<何に?)。
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