月のシズク
mamico



 Weekend Travelers



私が瀬戸内海の海岸線を西へ走っていた頃、わが妹ちゃんは、ブリュージュを
車で旅していた。気候も風景も違う場所なのに、海を見ると、ひどくなつかしさを
感じるのは、どうしてだろう。彼女もヨーロッパの静かな海岸で、そう思った。

きっと、私たちの細胞は、生まれた場所の匂いを憶えているからだろう。
意識からすべり落ちた記憶は、忘れていても、ちゃんと肌が憶えている。
だからこんなにも、情けないくらい、心がとけだしてしまうのだろう。
しゅわしゅわっ と 耳には届かない、音を立てながら。


(Photo by Nori-S / Included Words by Sister-Mayu)

2004年02月19日(木)
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