月のシズク
mamico



 トゥモロー・ウィルビー・オーケイ

新しい年が始まって一週間経った。
今だから告白できるけれど、この一週間はひどいものだった。
考えてみれば、去年は相当ヘヴィな一年だったから、時差ボケ的にその皺寄せ
がやってきたのかもしれない。病気ではなく、病的な肉体を抱えて落ち込む日々。

視界にはうっすらとオブラートのような膜がかかり、気がつけば下ばかり
向いていた。それに前触れもなくやってくる耳鳴りと嘔吐感。この奇妙な
嘔吐感はもう半年近く続いている。どうなってるのだか、さっぱりなのだ。

年末、突然失神した。
後から考えてみれば、あれは失神以外の何ものでもない。
台所の換気扇の下で恋人さんと話していたら、突然どずんと落下した。
私にはその後の記憶がない。聞けば、恋人さんがずるずると引きずって
ベットまで運んでくれたらしい。ほっぺたをぺしぺし叩かれて目が覚めた。

医者に行け、と云われているが、私は基本的に医者を信用していない。
私が唯一絶対の信用を置いていた医師は、悲しいことに、もうこの世にはいない。
ときどき、思う。彼女ならどんな診察をしてくれたのだろう、と。

「わらいなさい。声をあげて、あははとわらってみなさい」
なんだか、彼女ならそんな(芸人とも医師ともつかぬ)ことを言いそうだ。
大真面目な顔をして、そう云ったあとに、ぷっ、と吹き出しそう。

やだ、なんだか新年なのに、やたらと懐古的なわたし。
オーケー。明日はきっとオーケーと言えるようになってみるね。

2004年01月08日(木)
前説 NEW! INDEX MAIL HOME


My追加