月のシズク
mamico



 赤ペン先生な午後

ラジオで「梅雨のはしり」などと気の早い言葉を聞いて、ガラにもなく憂鬱になる。
広い窓から見える空はうすい灰色で、光の気配がない。
おまけに寒い。昼間だというのに、足元から底冷えしてくる。
思わずエアコンの「暖房」ボタンに手が伸びた。

友が置いていったD'Angeloの"Brown Sugar"を流しながら赤ペン先生な午後。
Q:「ボクの姉の夫は?」     A:'Brother-in-law'
Q:「わたしの母の再婚相手は?」 A:'Stepfather'
縁者を示す英語は、互いの位置関係が明瞭なのでおもしろい。
冷え切った指先でコリコリと点数を計算してゆく。

しかし、寒い。
じっと座っていると冷え切ってしまうので、ときどき部屋の中を歩く。
出産を待つ夫のように、部屋の中をぐるぐると回る。うろうろと回る。
回りながら、動物園の檻を右から左へ、左から右へ絶え間なく移動するキツネを思い出す。

あのキツネも寒かったのかな、とふと思った。
人間の習性行動は、実のところ、動物のそれともあまり違わないらしい。



2002年05月13日(月)
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