月のシズク
mamico



 からまわる回転寿司

お寿司が好きなので、回転寿司にはわりとよく行く。
回転する鮨屋のいいところは、ネタの名前を知らなくても目の前を回る皿を
ひょいつかんで食らえる手軽さと、明朗会計なところ。ムダがなくて実にいい。

ところで、ある友はちょっと変わった回転寿司へ行ったことがあるという。
聞けば、ベルトコンベアに回るのは、皿の上に立った寿司ネタの写真で、
客はそれを見て板さんに注文するというもの。確かにネタは傷まないし、
写真で品物と名前を確認できるので便利なのかもしれない。
でもそれって、客入りの良くない店だと宣伝してるようなものですよね。
それにベルトコンベアを使う意味が私にはよくわからない。

あと、私が出会った妙な回転寿司屋。
オープンの3日間は一律100円!という広告に呼び寄せられてのれんをくぐると、
びっちりの客。驚いたことに黒いベルトコンベアーには何も乗っていない。
どうやら握りが追いつかないらしく、仕方なく客は口々に注文している。
でも、店側が明らかにパニック状態なので、客もどこか遠慮がち。

ま、せっかく来たのだし、と思って「すいません、甘エビください」と声をあげる。
すると、ベルトの内側で汗をしたたらせながら握っていたおやっさん。
「あっ、エビ、むりっす」

むり?って、無理ってこと??
それはネタがないとか、そういう次元ではないの?と目が点になってしまった。
でも、ま、そりゃ無理だよね。と空回るベルトコンベアを見つめて、おもった。
結局わたしは何も食べないでのれんの外へ出た。
なんだか気の毒で見るに耐えられなかったのだ。

その一ヶ月後、回転寿司屋は「海鮮ちらし寿司屋」に名前が変わっていた。
さらにその3ヶ月後、海鮮ちらし寿司屋の看板に「店舗募集」の貼り紙。
それから2年近く経つが、店舗は定着していないようである。

ダメ出しされたのはショックだったけれど、
この寿司屋の運命は、これでよかったのかもしれない。



2002年02月08日(金)
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