こっそり

鬱々としたかんじょうのはけぐちに。



そういうことを求めている自分を認めたくなかった。


いまにも利吉の利き手は自分の下肢へ伸びようとしている。
空いている手で胸の突起やわき腹を、丹念に撫ぜ続け。
(ああ、そこじゃないのに)
思わず声に出しそうになった自分の本音に愕然とした。



行為を楽しむことに罪悪感しか感じなかった。
長い指に着物がはだけられ、
「はんすけ」
と聞きなれぬ甘い声で耳をくすぐられ。
股を開かされ、受け入れる。

彼は若いから。一時の気の迷いだろう。
しばらく、ほんの少しの間相手をしてやれば、すぐに飽きて他にいい相手も見つかるだろうと。
だから受け入れた。熱い痛みと、ぶつけられる感情。
気持がいいわけじゃない。
嬉しいわけでもない。
ただ、利吉は若いから。
手に余るであろう欲情を、受け止めてやっているだけだ。
求めているわけではないと、そう思っていた。思いたかった。


「…っ」

利吉の口腔に半助自身がためらいもなく含まれる。
吸い上げ、唇の柔らかさに摩擦され。
いつも以上に緩慢な動きに絶えかねて、思わず腰が揺れた。

(もっと、強く。)

口をついて出そうになる。
だめだだめだだめだだめだ。
唇を咬み、両の手のひらに爪を立て。
しかし、利吉の指と口腔による愛撫はこれ以上ないほど半助を追い詰める。

「…う…ぁ」

自分でもいやになるほど鼻にかかった声。

くちゅ、と音を立て、利吉の唇が半助自身から離れる。
中途半端な状態で外気にさらされ、小さく内腿が震えた。

「先生、お嫌ですか?」
強く閉じていたまぶたを上げれば、酷く傷ついた瞳が覗き込んでいる。
知らず、頬を伝っていた涙を唇で拭われる。
そのささやかな刺激さえもが、半助を追い詰めていく。

「嫌じゃ、ない」
これは本音だ。嫌じゃないという事実が嫌なんだ。

「嘘だ。嫌じゃなかったらどうして応えてくださらないんですか」
真摯な瞳が見据えてくる。

「…私にどうして欲しいというんだ?
茶屋の女のようにあんあん嬌声を上げさせたいのか君は。」

「そういうことを申し上げてるんじゃありません…!」

いいかげんにしろ。どこまで追い詰めるつもりだ。
いつものようにさっさと入れて、出して、終わりにしてくれ。
気づきたくもない本音に気づかせないでくれ。

「あなたは一体どういうつもりで、
私とこういうことをなさってるんですか?
私はあなたが、土井先生のことが好きだと言った。
あなたがそれを了承してくださったから、
あなたも私のことを好いてくださっていると思ったから、
だから、体をあわせたんです…。」

土井先生とだから、したかったんだ、と。




::::::::::::::::::
ギブアップー
あ、らぶらぶネタですよう。
このあとらぶらぶになるから。
そのうち続くかもしれないから…かもとかいうな。
利吉泣かすのがすきなんだからしょうがないじゃない!
2004年10月30日(土)

生きてるってなあに / にこりん