『たけぐせの随・弐』
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井戸の中の蛙二匹。
蛙1「わたしはね、常日頃これを登ってみようと考えているのだよ」
蛙2「そうかい。ならば、登ってみるがいいだろう」
蛙1「だがね、何かここでまだやらなくてはならないことがあるような気もするのだよ」
蛙2「そうかい。ならば、ここでその何かをするがいいだろう」
蛙1「だがね、これを登らねばならない気もするのだよ」
蛙2「そうかい。ならばやはり、登ってみるがいいだろう」
蛙1「うむ」
蛙2「登ってもここがなくなるわけではあるまい」
蛙1「そうだが、そんな気持ちで登ってしまっていいものかね」
蛙2「いいだろう。ここがきみの行動範囲の一部になるだけの話だ」
蛙1「そういうことか」
蛙2「成すべきことには、それなりの成す場所があるということだ」
蛙1「そういうことか」
蛙2「そういうことだ」
蛙1「では、登るとしよう」
蛙2「そうかい。ならば、そうするがいいだろう」
蛙1「では」
蛙2「では、また」
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