ムッキーの初老日記
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ウチではうさぎを一羽飼っている。
名前は「宇佐山飛蔵(うさやま・とびぞう)」4歳のオスうさぎだ。
赤ん坊の頃はそれは小さくて、私の片手にさえ余る程だったが、 今では3キロを越すデカさに成長し、宇佐山さんを見ていると 『ミニウサギってなんだ!?』と思わずにはいられない。
またこの宇佐山さん、見かけによらず体が弱い。 この4年間でかかった医療費は15万にはなるだろう。 3980円で買って来たのに15万・・・。 使い方はちょっと違うかもしれないが「安物買いの銭失い」という言葉がピッタリだ。
先日も下痢をしたので病院に連れて行った。幸い、大したことはなく、いつもの薬で回復した。 数日後、下痢のせいで腹の周りやシリが汚れていたので風呂に入れた時のことだ。 温かいお湯につけられて、はじめは大暴れの宇佐山さんだったが、 やがてウットリとろ〜んとなったので、腹やシリを指で丁寧に洗ってやった。
その時。
私の指に、なにか硬いシコリのようなものが触れた。 一体いつの間に出来たんだろう。今までそんなものはなかった場所だ。
私はガバっと宇佐山さんを抱き上げ、裏返し、シコリがあった部分をまさぐった。 せっかくウットリ夢ゴコチだったのに、急にそんな体勢にされ、 宇佐山さんはビックリして目ん玉が飛び出していたが、そんな事は構っていられない。
やっぱり後ろ足のあいだにシコリがある。 これはもしかしてガンではないか・・・?
私は暗澹たる気持ちで風呂から出て、オットに宇佐山さんのシコリのことを報告した。
まだまだ先だと思っていた宇佐山さんとの別れが、急に現実化してきた。 いくら安物買いの銭失いウサギでも、4年も暮らせば情もわく。 今はなくてはならない家族の一員である。 見殺しになどとても出来ない。
オットと話し合い、たとえいくらかかっても、出来うる限りの治療をしてあげようと決心した。
眠れない夜が明けた。 朝一番で病院に駆け込んだ私は、主治医にむかって言った。
「先生!この子チンタマのわきにシコリがあるんです!ガンじゃないでしょうか!」
「ええっ!チンタマですか!?」
オマタとかオチンチンとか言ってる余裕がなかった。いいじゃないチンタマ。
「えーっと、どれどれ・・・・あ、これですね」
緊張で胸が締め付けられた。ほんの一瞬が10分にも感じられたその時
「ああ、これは心配ないですよ。イボです」
イボ!?
「ええ、中年になってくるとね、こういうのがよく後ろ足の付け根とか、こういう所とか、 肛門の周辺に出来たりするんです。まあ、おっさんイボとでもいうのかな」
おっさんイボ! 外人風にいえば「オッサニボ〜」
「この子ももう4歳でしょう。ウサギの4歳はもう立派なおっさんですから。あはははは。」
先生はそういって笑った。それにしてもおっさんイボって先生・・・・。
もちろん特に治療はナシ。診察料の800円を払って家路についた。
「よかった」と思う反面、宇佐山さんもおっさんイボが出来る年頃になったかと思うと感慨深いものがあった。
初老会会員�癸兇榔Ш柑拡�蔵くんに決定だ。
「お前も初老の仲間入りだね・・・・」 宇佐山さんは私の手をペロっとなめた。
ムッキー

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