PAiN
HEARTHELLHEAVEN


2009年10月09日(金) 優美

先日、

日帰りで島根に行ってきました。

ばあちゃんの側へ。

管がいっぱいついとった。
手を握り、髪を撫で、ずっと耳元で喋り続けた。

「帰ったよ。もう大丈夫じゃけぇね。ばあちゃん」

もう、誰が問いかけても気付かない筈なのに、
突然ばあちゃんが眼を開き言ってくれた。

「はい」

たった二言。目が開いたのも1秒くらい。

けど、それで充分だった。
幼い頃から、ばあちゃんっ子で。
いつも一緒に寝て。

僕があげた、小学校の修学旅行で買ったおみやげの金剛力士像を宝物だと、
今年の春に会った時に嬉しそうに見せてくれた事。

初めてCDを全国リリースした時に近所の小さいレコード屋さんで、
注文してくれた事。

泣いている時に優しく頭を撫でてくれた事。

その全てが永遠なんだ。


だから、今度は僕が。今度は僕が。
痩せてしまったばあちゃんの頭を、顔を、手を。
包み込んであげたいと思った。

でも、その目はもう開く事はなく。
僕とばあちゃんを繋ぐのは、互いの手を伝う体温のみ。

何度も何度も強く握った。

そして、帰りの時間が迫ってきて。
枕元に姉と二人でお守りを置いて。
僕はその間にそっとピックをはさんで病室を後にした。

翌日にPV撮影が入っていた為、その日のうちに帰らなければいけなかった。
福山駅まで、父と母と姉が車で送ってくれた。
十数年ぶりだった。家族四人が揃って、おやじの運転する車に乗ったのは。
先日、ビートルズのアルバムが再発したのだが、
おやじは何枚か購入したらしく車内でカセットをかけてくれた。
窓の外に広がる景色を見ながらロールオーバーザヴェートヴェンを聴く。
何も変わっていない。

「音質がようなっとるアルバム買うたのに、カセットにおとして
 聴いとったら意味ないじゃろうが?」と僕が言った。

するとおやじは笑いながら

「そうじゃのうや」と言った。

僕「やっぱりビートルズはジョンだと思う?」

おやじ「そりゃそうよ」

僕「おやじがバンドやっとった時はリッケンバッカーのギターは
  どれくらいしたん?」

おやじ「金持ちしかそんなん持っとらんかったわ」


すると誰だったか、かあちゃんだったか、ポツリと。
「ばあさんがこうやって家族皆を会わせてくれたんかねぇ」


やがて2時間程で車は駅に着き、
かあちゃんとねえちゃんは、あいかわらずな感じで
「切符は持った?お金は?ちゃんと連絡ぐらいしなさいよ」
おやじは何故か、「これうまいけぇ持っていけ」とふりかけをくれた。

そして最後に僕の手に千円札を握らせ、
「これで弁当買って食え」と。

「いらんわ」と僕は言ったが。

「ええけぇ、持っていけ。何かうまいもん食え」


改札を抜け、振り返ると小さくなった三人が手を振っていた。


ホームに着き、新幹線を待っている間。

感情の糸が切れてしまい。孤独を感じ。
ばあちゃんを思い出し。家族を思い。

視界が滲んでいった。

この駅の空気、景色、全てが懐かしく、
とめどない雨は傘の無い僕を打ちつけていくばかり。








深夜。
自宅に帰った僕は着替えもせず。
ソファーの上でそのまま沈み込む様に眠った。





ねぇ。ばあちゃん。優しさって何だろうね。
僕はまだ、あのころの僕のままかな?

時々自分がわかららなくなるんだ。




ばあちゃんの心の中の僕であるために。




一度は見せてあげたかった。

僕が今、全力で向き合って、夢を追いかけて、奏でている姿を。





おやすみ







追記
明日にでもPV撮影の事を書くさ。
うん。
楽しい撮影だったよ。


HIDEO