おばあちゃんは、今の時期を選んでくれたのかもしれない。 5年間医療安全管理者として勤めてきたが この春、手術室に戻るよう内示が出た。 「私がやらなければいけないことがあるならやります」と答えたが 素直に「はい」とは言えなかった。 なぜ今更…、もやもやしたまま日が過ぎていた。
医療安全管理委員会の後、知らせを見て お葬式の後、そのまま週末になり、 結局仕事は5日間も離れてしまった。 今の時期でなかったら、こんなに実家にいられることもなかっただろう。
おばあちゃんはきっと、 ごちゃごちゃ過去を振り返らずに これから命を救うことに専念できるようにしてくれたのかもしれない。
母と、祖母の家に行った。 手前の路地でこけた。 ひざ小僧がえぐれた。 不思議と痛さも感じなかった。
家に入っても、 やっぱり誰もいなかった。 家族の写真や旅行の写真がたくさん貼られていた。 これを見ながらすごしてたんだな。
母の涙をみるとやっぱりつらい。
18時57分バスに乗って帰ることにした。 母の前ではもうなかないようにしようと思ったのに やっぱりだめだった。 バスの窓から触れた母の手はかすかに温かかった。 新幹線の中でも、涙があふれてきた。
帰宅後、シャワーを浴びると ひざの痛みと心の痛みで涙があふれた。
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