断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2022年10月22日(土) 「チャリティーバレエ」

◎クラシック本番当日◎


 『チャリティーバレエ公演2022』
  2022年10月22日17:30開演
  西市民センター


出演は12番目『Alegrias』
今回は男女ペア2組でおどる。
四年ぶりにクラシックの舞台に、、

 帰ってきた


待ち時間。男性楽屋
GENさんに話しかける。

「数年ぶりにGENさんが踊ってるのを
 見ることができました!
 ありがとうございます」

つい、、つづけてこう言ってしまった

「自分は早く
 おどれなくなるかもしれません」

するとGENさんはこう答えてくれた

「これから先は気合いある人の世界だよ?」


そう、まったくそのとおりだ
偉大な大先生が踊っている前で
そもそも弱音はおかしい
自分が感じている不安や恐怖など、
とっくに通過している大先輩のはずだからだ
我ながら失言だった
失礼にも相当する

そうは言っても
目の前にある自分自身のカラダの状態も
本当のことだ
痛みが出たらゲームオーバー
どんな人も向き合わざるを得ない遠くない未来
それをいち早く察せざるを得ない職業なのだ

いいおどりは簡単には踊れない

いつだってそうだった
いまのおどりをもっといいおどりにしたい
今の自分をどうやったら超えられるか
そうやっておどってきた

最後の最後まで
そのおどりは
本番が終わるまで
ぜったいに完成しない



しかし、リハーサルで大失態を冒してしまう
患部の左足がうまく動かない
プレッシャーからだろうか
自分にとっては誤魔化すしかない最悪の事態
(リハーサルでほんとうによかった)
先生には「そんなことなかったわよ」と
真顔で言われても自分自身が一番わかっている
あんなの本番では絶対に、、ない。
ソロならいくらでも自分自身で決着できるが、
今日のおどりは4人でおどるもの。

そういうわけで直前まで練習を続けた

体力なんかよりもずっと大事なことだ
正直なところ
クラシックのクラスに戻ってきて
たったの5ヶ月。
3ヶ月かかってようやく人並みの
グランジュッテに戻ったくらいだ
そうやすやす技術は戻らない
いくらリハビリをがんばってきても
リハビリはその前段階も前段階
目の前にお客さんがいるからには
おどりきらなければ


 3分30秒
 本番には悔いがない
 いま出来る全部をやりきった
 しかし、満足もない
 おどりには果てがないのだ


数年ぶりにGENさんの踊りを見た
その姿は、、変わらないGENさんだった
涙が出そうになる
年月を経ても変わらないその姿に

人が真におどる姿には 力がある

いつだってそれに勇気づけられていた



最終演目は須貝バレエからの作品だった
自分が今日の本番に至るまで
最後にクラシックで出演したのはこの団体だ
今回の振付作品は先生の愛弟子である、
ユウキちゃんのものだった

『Etoile Filante』

 震えた

ユウキちゃん本人含む 総勢13名
ほとんどが10代の
ジュニアバレエでありながら
これほどの群舞は十数年間見ていない!!
群舞が空間を圧倒する!!!
これだ、これなんだ
これがバレエの 群舞の
ひとりでは到底たどりつけない場所
どこからどう見ても すごい作品だ
バレエが クラシックが

 おどりたくなってしまう

その一員になりたくなる… いいや、なりたい
全員の(バレエが好きだ)という情熱
この情熱が完全に輝きに昇華してしまっている
意味とか物語を構築する仕事が
馬鹿馬鹿しく思えてくるほどまで
ただただバレエをおどるそのさまに圧倒される
おそらくは
客席にいたら
おそらくは
涙が止まらなかった とおもう

おどるよろこび
おどれるよろこび
それが目に見える、目に見えてしまっている


こんな瞬間が、、他に、他に、、あるか


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Taisuke [HOMEPAGE]