2002年01月20日(日) つめ

 入門時のお約束で、「つめは短く切ってきましょう」「手を洗って来ましょう」「レッスン中鼻をいじらないようにしましょう」など、ピアノを弾く必要最低限な注意をしています。
 入門時なので、当然小さい生徒さんへの配慮なのですが、「つめ」に関しては再び注意しなくてはならない時期が女の子に関しては訪れます。

 私はいつもペンケースに爪切りを入れ、持ち歩いているので、つめが長い生徒には「はい、切って!」と手渡し、そんなことが何度かある場合はおうちの方への連絡に一言書くのですが、「おしゃれ」で伸ばし始めた思春期の女の子には、「切るなら爪切り貸すけど、おうちで切ってくる?」と聞きます。そんな時期の女の子はつめ磨きやヤスリできれいに仕上げたいでしょうから。「そうする」と言った生徒はその日は見逃し(かちゃかちゃにぎやかねー、とか言ったりしますけど)、次週切ってくることを期待しますが、変わらず長い場合、つめが長すぎてはピアノは弾けないこと、生活面でも支障が出ること、体育や部活でボールを使う時に、つめが割れたり浮いたりして危険なことを話します。
 そして、今度長かったら私がばしばし切るからね!と脅したりもしつつ帰すのですが、私にぎざぎざに切られることを恐れてか、たいていピアノが弾ける程度には切ってきます。
 前はそんな女の子に対して気弱だったり、「せめてレッスンの前の日には切ろうか」と、家での練習でも支障があるのにそんな妥協案を言ってみたり、「どうして伸ばすの?」と聞いて、話し合いを持ったり、一度は言ってみて、その後は気長に待ってみたりでしたが、赤ちゃんとの生活を経て、大切なものに触れられない手は悲しい手、と自分のなかで納得させ、今の対応へと到っています。
 それで、結構反感はもたれずにクリアできて来られているのですが、なんと言ってもピアノを気持ちよく弾けることを優先できる価値観をそれまでに育んでくることが1番大切で、そうできなかったのは自分の力不足でもある、と、そんな場面では反省もしています。
 でも、そんな価値観を持ってさえ、ちょっと伸ばしてみたい女の子のことは、とってもほほえましく感じています。

 ところで少し前、中1のMくんがつめを伸ばしてレッスンに訪れました。Mくんはまさかそんなおしゃれで伸ばすタイプではないし、大体きれいに伸びてないし、おうちの方も目が行き届いている方なので、どうしたんだろうといぶかしく思っていました。
 そして次週さらに伸び、切った形跡がないつめを見て尋ねてみたところ、「つめを伸ばしつづけるとどんな形になるか実験してるんです」・・・!?
 これには私も思わずたじろぎ、「ああ、そうなの・・・。で、いつまで実験するの?」と聞くと「一応1ヶ月間の予定です」・・・。
 こんな生徒は初めてです。以前言い訳で同じようなことを言い、爪切りを渡すとなんのためらいもなく切っていたお調子者のEくんの例はありましたが、Mくんは秀才で、向学心に燃えるタイプの少年です。私はこの実験を尊重することにしましたが、鍵盤の間につめが挟まれないかはらはらし、スケールはかちかちとにぎやかで何の粘りのない音に、思わず「今日は弾かなくていいよ」と言ってしまいました。
 そして1ヵ月後、きれいさっぱりのつめ。1ヶ月間延ばしたつめの長さを測り、1日平均を計算し、実験は終了したようでした。・・・なおこの出来事は本人の了解を得てアップしています(笑)。
 
 私も現在4人のつめ管理をしているので、つめが汚くないか、伸びすぎていないか、常に気を配らなくてはならないのですが、ずぼらな人間なためつい忘れがちです。生徒のつめが汚かったり、手が荒れていたりするとおうちの方の気配りを期待してしまいますが、まずは我が子への気配り、です。


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