アタシが新入社員だった頃、企画にいたRさんは 社内でも有名な美女だった。 一回り年上のご主人と二人暮し。 仕事もテキパキこなし、明るい性格で、友達も多かったはず。
しかし、彼女には弱点があったのだ。 彼女はお酒を飲むと人が変ってしまう。 当時から下戸だったアタシは、社内の飲み会には殆ど出席して いなかったので現場は見た事がなかった。
「今日は、あのこにするわ。」
クラブであった男の子を夜な夜なハンティング。(;´Д`) その清楚な風貌からは未だに信じられない。
そんなRさんは、ある日突然会社を辞めた。 泥酔したRさんを家に送り届けたTちゃんを、 フライパンで殴りつけ、怪我を負わせてしまったのだ。 Tちゃんが訴えなかったため、刑事事件にはならなかった。 酒乱だから、しょうがないと皆は言っていたが、 すごく、良い仕事をする人だったので、アタシは残念に思っていた。
そしてRさんの事はすっかり忘れてしまっていたある日、 青山のスーパーの野菜売り場で、ばったりRさんにあった。
Rさん 「バンビナさんは・・・・ アタシのこと酒乱だと思ってた?」 アタシ 「え・・・」
いきなり核心をつく質問にたじろぐアタシ。
Rさん 「アタシ、酒乱じゃないのよ。わざとやってるのw。 わざとTちゃんをフライパンで殴ったのよ。」 アタシ 「ええええええええええええええええ」 Rさん 「Tちゃんね、アタシのダンナと浮気してたの。 だから、二度とできないようにしてやったの。」
にっこり微笑むRさん。まじコワイっす。 フライパン事件にはこんな真相があったわけで。 だから、Tちゃん、Rさんを訴えなかったわけで。 自分にやましいことがあったわけで。 でもいきなりこんな事、言われても返答に困るって。
「フライパンって色んな使い方できるんですねっ。」 こんな返答はまずすぎるぞっ。 野菜売り場の大根で殴られそうだ。
結局、アタシは彼女にどんな返答をしたか覚えていない。
しかし、この事件の被害者は、折れ曲がった血まみれのフライパン だけなような気がするのはアタシだけだろうか。
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