ぴんよろ日記
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2007年12月20日(木) 不気味、のち、帳消し。

バス停で読みかけていた本を、バスの中でも読み続けた。
とても入り込んで読んでしまっていたので、
それ以外の意識の使い道は「乗り過ごさないように」という点だけだった。
降りるバス停にはほど遠い所から、黒い服を着た女の人が乗り込み、
私の後ろの席以降に着いたようだ。(ということくらいしか覚えてない)
そんなことは気にもとめず、本を読んでいた。
そしたら、私が座っていた二人がけのシートの、いちばんくぼんだ端っこに、
ぬらり、と、手だけがあらわれた。
その手は、ぬらり、ぬらりと動いて、また、ぬらり、と消えた。
なんだか気味の悪いものを見たな…と思って、でも、気にせず本を読んだ。
その女の人は、私が降りる前に、どうやらどこかで降りたようなのだが、
それすらも気づかないほどに、本を読んでいたのだ。
私が降りるバス停が近づいてきたので、手の中に握っていたお金を見た。
100円、と、整理券。あれ?50円は?
どうやら、バスに乗ってすぐ、手の中に用意したのはいいけれど、
本に夢中になって、50円玉がすべり落ちてしまったらしい。
キョロキョロ、ゴソゴソ…。あ、そうか!
あの、ぬらりと出てきた手は、私の50円玉を取っていった手…。

うう…。

今日、私のオーバーのポケットには、50円玉が2枚あった。
保育園の帰りに、ヒコがよくジュースを買う。
そのおつりの50円玉が、2日分。
だから、あの手が取っていった50円玉は、
ヒコくんのかわいらしい手が、自動販売機のおつりの出口から、
ニコニコと取り出して、私に渡してくれたもの。
それを、あんな不気味な手に持って行かれてしまった。すごく申し訳ない。

しかし、こんな薄気味悪い気持ちにさせられるのも珍しいので、
厄落としにでもなったのだろうと、気を取り直す。
なにか悪いものを、あのぬらりとした手が、持って行ってくれたのだと。

外での仕事を終え、
昨日、通りすがりの民芸品店でちらっと目に入り、
今朝になっても、
こないだ遊びにきた友だちがくれたほうじ茶を飲みながら、
「あれに入れたら、もっとおいしいだろうな…」なんて、
悶々と思い出していた湯のみを見にいく。
以前から気になっていたお店ではあったが、入るのは初めてだった。
湯のみはやっぱり気に入ってしまったし、そのほかにも、
久々に物欲が暴れそうになるほど、好きなものが並んでいた。
湯のみは「使っていくと、貫入が入ってきますよ。茶色が深くなって…」
ということで、使い込まねば!と、鼻息も荒くなる。
オーナーらしき女性としばらく話す。
そしたら、ひところは、作家さんを訪ねるのも兼ねて、
毎月のように山陰に通っていたというほどの「山陰フリーク」であることが判明。
しばし、たぶん、長崎ではいちばん高濃度であろう、山陰話で盛り上がる。

…と、すごく楽しかったので、
不気味な手のことは、帳消しだ。
イヤなことは、いいことで塗り替えるのだ。



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