今日の日経を題材に法律問題をコメント

2015年12月09日(水) 手続きの適正さを重視すべき

 日経(H27.12.9)社会面で、真宗大谷派(本山・東本願寺)が、対立する本願寺文化興隆財団に対し、財団の財産に関する定款変更の無効確認を求めた訴訟で、最高裁は、変更を無効とした大阪高裁判決を破棄し、変更は有効と判断したという記事が載っていた。


 大阪高裁は「財団法人の本質は設立者の意思の実現であるから、財団法人の寄附行為の変更においては,当該法人の同一性を失わせるような根本的事項の変更は許されない。」という理由で、定款変更を無効とした。


 これに対し、最高裁は、定款変更は法律上当然に予定されているから、「同一性を失わせるような根本的事項の変更に当たるか否かにかかわらず、その定款を変更することができる」としたものである。


 この訴訟は、「お東紛争」と呼ばれる40年以上続く対立の中での訴訟である。


 最高裁は、本願寺文化興隆財団の言い分を認めたわけだが、当然のことながら、本願寺文化興隆財団に正義がありとまで認めたわけではない。


 本件のような、いわば団体内部の紛争では、いずれの考え方が正しいかが判断されることは少なく、手続きが適正であったかどうかなどで決着がつくことがほとんどである。


 本件訴訟も、定款変更ができるかどうかという手続面で判断されているので、その一事例ということが言える。


 言い換えれば、団体内部の紛争(会社内での紛争を含む)では、自分側にいかに正義があるかを強調する以上に、手続きを適正にすることに気を使うべきということになる。


 < 過去  INDEX  未来 >


ご意見等はこちらに
土居総合法律事務所のホームページ


My追加
-->