* 世界一ついてない日常
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2005年04月15日(金) 真昼の攻防

窓を開けて昼寝をしていると、

――ブサブサブサ。

足元の窓から、身も凍るような羽ばたき音。

見るまでもない、「 」だ!!
この音がすれば私は骨髄反射で逃げることにしている。
私は0.001秒で足を引っ込めると、すぐさま匍匐前進を始めた。

刺激するな…気づかれないよう…慎重に…

ブサ。

ぎくり。

ブサブサ。

ギャ――!!な、な、な、なんでお前寄ってくる?!

ブサ。ブサ。ブサ。ブサ。

飛び上がり、尻餅をつき、じりじりと後ずさる。
――背後を見せればやられる。
睨み合うこと数十秒。私にはそれが永劫にも思えた。

ブサ。

が…後がない。
壁に追い詰められる格好になった私。

ブサ。

もはやここまで!
私は戦う覚悟を決めた。
なぜなら手を伸ばした距離に虫除けスプレーがあったからだ。

殺虫剤もあるにはある。
しかしこの場合、使えないのだ。

仮に私が勝利したとして、「 」の死骸は誰が片付けるのだ?!
生きているものよりもさらにこなこなしてぐにぐにしてるものを!!
おえっ 書いてるだけで気持ち悪くなってきた。

虫除けスプレーを構える。

ブサ。

来た。覚悟しろ。
いや?この場合どこに噴射すればいいんだ!?私自身?!まさか!

ブサ。

ひ、ひいいい!!!
恐怖のあまり、つい指に力が入る。

ぷしゅー

ブサ!!

変なものをかけられ、奴は驚いたらしい。急に動き回る。

ブサブサブサ!!

殺虫剤と間違えて、どうやら慌てふためきもがいているらしい。
失神寸前の私はもはや動くことなどできず、
ただこちらに来ないことだけを祈りながら、

ぷしゅー

これだけが命綱とばかりに握り締めた虫除けスプレー。
頼むから出て行ってくれ!それだけでいいんだ!

おっ

ブサブサ…

き、効いているのか?!
奴はゆっくりと私から離れていく。
よ、よしこの調子で追い出すのだ。

もてる勇気を振り絞り、追いかけてぷしゅー

ブ!ブサブサ!

スプレー噴射の勢いも有効に働いているらしい。
「 」は窓にゆっくり近づいていき…

ブサー

出た!
瞬間、ばん!窓を閉める。

ぱぱぱぱぱーらーらーぱっぱぱー♪

ゆうしゃは がを やっつけた
せかいに へいわが もどった

…はー…死ぬかと思った。

ところで…
虫除けスプレーをかけられた虫は、どうなるんだろう…
「げっ、なんだよお前、寄るなよ!」
みたいなことでいじめられてやしないだろうか…


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