ロマンティスト・テイスト...jovanna

 

 

福士昌明「Highway Jenny」 - 2006年09月28日(木)

福士昌明さんの画ニメDVD「Highway Jenny」を見た。
YOSHII LOVINSONの「TALI」PVで初めて福士昌明さんの作品を見て、
とても衝撃を受けたから、このDVDを楽しみにしていた。
本編が28分と記されていたから、短いんだなあなんて思っていたが
それは間違いだった。
深い森を抜けて少年が都会へ出て来る。
希望に満ち溢れてではない。何度もあくびをする位、今に倦み疲れ醒めている。
一人の少女に出会い、やがて少年は、戦場へと送り込まれて行く。
多くの死に出会い、そしてついにある日、少年は銃弾を受け命を落とす。
文字で書くとたったこれだけでしかないけれど、福士さんの描く画は、
森の寂寥感、電車が都会の駅へ入って行く時の無機質な感じ、
若者達が列をなす施設の不気味さ、束の間少年と少女が愛を交わす場面の
生を燃やす一瞬、増殖するミサイル群、十字架の群れ・・・・・・
これらが流れる線で繋がっていく様子が本当に美しかった。
バイクでハイウェイを疾走する少年と少女の髪が風に揺れるシーン、
一つの線が形を変え蝶になり、空を舞うシーンが心に残った。
浅井健一の音楽がとても素晴らしくて聴き惚れてしまった。
ナレーションがTERUだそうで、意外にもこの絵にとても合っていて良かった。
この「Highway Jenny」は、YOSHII LOVINSONの「TALI」と「HATE」でも
描かれた、文明国家のエゴによって引き起こされる戦争の不条理さ、
愛するものが引き裂かれる哀しみ、生と死の際、を鮮やかに描いた作品だと思う。





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