アイ ナンカ イラナイ。
夏野 空の日記

2004年01月25日(日) 猫の目

少し忙し過ぎるのが良いくらいなのだろうけれど。
忙しさの種類が違う。

少しずつ
少しずつ
少しずつそれでも良い方へ持って行こうとはしている。

珍しく平日、時間を割いて大崎のナノハナへ顔を出した。
明らかな空白を、意識して埋めるように時を押し流す。
それは圧し掛かってくるので。

もう少し
もう少し
もう少し笑えれば「するり」と流れていく。

はず。
けれど空回り。
結果、疲労するばかりだったような気がする。

帰りはタクシーにした。

よく喋る運転手さんで更に疲れた。

松見坂を左折していく。



会社では相変わらずデータが山のように押し寄せてくる。

メッセンジャーのあちら側も仕事に忙殺されているような。
疲れているような。
触らないでいた方が良いのかしら、と思っている自分を俯瞰している。

余裕が無いのだろう。
けれど、涙が出るほど良く面倒を見てくれている。

伝える前に落ちてしまったので。

「アリガトウ。」



会社からの帰り、何故か瑶子を思い出した。
渋谷ではなく、そこは新宿だったので少し足を伸ばす。

ウィンドウ越しに懐かしいイルミネーションを見て
ああ疲れた、と思いながら歩いていたらスカウトに捕まった。

メイクアップの仕事をしている彼とは、以前からもう何度か
渋谷の駅で追いつ追われつのバトルをしていたのだが、
その晩、ボーッ、として歩いていたのがアタシの敗因だったのだろう。

ガッシリとアタシの腕を掴んだ彼は、してやったり、の表情で
名刺を差し出しながら「モデルをやってくれないか」と言う。
ここぞとばかりに一気にまくし立てられる。
何でも、次のショーに出てくれる人を探しているのだとか。

分かった
分かった
分かった
が。

「派手なお顔立ちですからステージで映えますよ。」

派手、って何やねん、派手って。
悪かったな派手な顔で。
昔っからこーいう顔なんじゃ。
こーいう顔でオレはモデルしてたんじゃ。
スカウトするなら他に言いようがあるろー。

と思ったのだけれど。

疲れるから
今、仕事に就いているから
もー、オバサンだから

と言って丁重にお断りする。




猫の目が
笑ったような


気がした。





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麗香@夏野空 [MAIL] [MILK PITCHER]
 
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