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| こんなソラニンたっぷりの大きな芽を、主婦の人達が見たら、 |
| どんなにか怪訝な顔をするだろう。 |
| 今日もニュースで見かけたわ。どこかの小学校の生徒さん達が |
| ソラニンを含むジャガイモを食べて、腹痛を起こしたと。 |
| 今の私はみにくい。台所社会ではクズでしかない存在。 |
| もう、台所には戻れない。 |
| ここは外。日の光がまぶしくて、ちっぽけな私の心を少し和らげる。 |
| 誇らしげなモノ・・・それは少し前に夢を見てからのことだ。 |
| 白い花が私にささやいたのだ。 |
| 『あなたの芽に人間が食べると毒になるソラニンがあるのは、 |
| 他のやつらに、あなたの大切な芽を奪われてしまわぬように、 |
| との神様の配慮。 |
| あなたはもっと自分自身を大切にするべきなのよ』 |
| ・・・。 |
| おいしく食べられるようにいること、ホクホクの触感でいること、 |
| 形よくいること。今までずっと人間の為になる事を喜びに思ってた。 |
| 食べられてなんぼの台所社会では、 |
| 人間に使われる事でしか自分の存在価値を見出せなかった。 |
| この芽が私自身の価値にあたるものなんだ。 |
| 誇らしげといっても、まだ、霧がかった想いに過ぎない。 |