猪面冠者日記
今さらだが当分不定期更新

2015年10月24日(土) サイボーグ009VSデビルマン

ミッドランドスクエアシネマ 14:30〜16:05 85分

 夏コミの打ち上げの席でも散々肴にした本作。没ゼロという歴史的大災害を乗り越えた我らにとり、想定外という言葉はありません。何が来ようと動じない、また何が来ようがやばいと思ったら事前に回避する能力を誰もが備えてございます。というわけで当初は私も回避するつもりでした。

 だってばかばかしいじゃないですか。なんでて、それに対して今さらくどくど説明する必要もないかと思われますけど。案の定、早い段階で見てきた諸氏の評判は芳しからず、ネットでも不評がもっぱらで…。そんなわけでますますどうでもいいかなあと思っていたのですが、レディースデーに見にいった友人らは「むしろ見に行ったらエエかも。なんやまんがまつりみたいやったし。突っ込みどころはいくらでもあんねんけど、デビルマンの部分だけはまあまあよかったで。まあ所詮90分弱のことやしなあ」などとのたまうではありませんか。なるほど、まあ確かにたかが90分弱、要はOVAとして制作したようなものをそのまんま映画館で流しているだけの代物なのだから、大した毒はないのかもしれない。島本先生だってデビルマンパートはよかったと言っていたし、この際009よりデビルマン目当てで行ってみっか。ちょうどミッドランドの鑑賞券が一枚あるし。有効期限が11月末だから使い切っちまうためにも行ってこよ。

 本作そもそもキャラデの段階から突っ込みまくりだったわけですが。あのー、これ担当したアニメーター、本来キャラデやっちゃいけないランクの人でしょ、どう見ても。キャラシートの段階で人体のデッサンが狂ってるって相当下手よ。これで動いたらどうなっちゃうの。特に腰から下がやばい。かつて安彦良和は足を描くのが苦手だからってキャラにむやみにでかいブーツを履かせて誤魔化したとゆうが、一方でこのキャラデ氏はごまかしようのない、足のラインにぴったりのブーツを履かせてやがる。ごまかせてねえじゃん、よけい目立っとるわ。本当に下手な人はごまかし方すら知らないということですね。よりによって石ノ森絵の中でも最も不細工だった頃を忠実にトレースした没のキャラデも突っ込みまくりだったけど、あれとは別の意味で嬉しくないわあ。

 さてそんなこんなで本編が始まりましたが。いきなりジンメン戦でトラウマ&スプラッタ。ここは原作ファンなら嬉しいところだよねえ。過程も何もすっ飛ばしていきなり顔の浮き出た状態のジンメンとの戦闘シーンってのも、解説不要の原作ファンがターゲットの作品だから別にええんですが。ちなみにこのシーンはこの後の数十分の展開に全然関係ありませんでした(ボカ〜ン)。ゲッターの時も没の時もそうだったけど、おいしいエピソードを後々の展開に絡めるっていうのが本当にできない監督よねえ。

 それやこれやのうちに飛鳥了登場。…いやああっ、何これ、視界に入れたくないっ(涙)。やー、キャラ表段階でもあかんかったけど、こうして動き出すと、ほんと有り得ないぐらい不細工なサタン様だわー。飛鳥了と言えば、性別を超えた美しさと神々しさを持ち、デビルマンの全キャラの中で一番美しくなければいけないはず…。それがなんだよ、このしまりのない垂れ目としまりのない下膨れ顔は…。了に比べれば明はまだかっこよく描けているように見えるけど、こっちも角度によっては妙に描線がゆるっとしているんで、どっちもどっちだなあ。

 了ですらこの有り様なので、赤い服を着たあの人たちについては、もういちいち言及すまい(笑)。一応没ゼロの紺野絵よりは見やすい絵柄だったけどさ。ほんと、毎週「ワンパンマン」を見られるこのご時世に、なんだってこの程度のクオリティのアニメを金払って劇場で見てるんだか(ボカ〜ン)。そおいやワンパンマンもこれも主題歌はどっちもJAM Projectだったわ…。JAM Proって、いつも作品の内容を知った上でメンバーで歌詞を作って、そこからいいのを使うと聞いたことがある。ワンパンマンもこれもちゃんと見てから作ったんだろうなあ…(わざわざ、なんのために、という言葉を飲み込みつつ…)。

 内容の方は劇場を出た瞬間に忘れるような程度のもんだったわけですが、それでも精一杯建設的なことを言うとすれば、「これ009関連は丸ごといらなくない?」ってぐらいだろうか。いや本当になぜ混ぜたんだ。デビルマンのパートはそれなりによかったよ、うん。

 アルベルトはちょっとしか出てこなくて本当にありがたかった(ボカ〜ン)。できればセリフなしでもよかったんだが。しかしどうしてもヒルダはねじこんでくるんだねえ。あそこだけすげー不快だったわ。まあわずかな程度だったけどさ。

 総じて、まんがまつりと言うよりは、雑な厨二設定が雑に転がっていく、出来の悪い90年代OVAみたいな内容でしたわ。まあ川越自身がまさに90年代OVAの「出来の悪い部門」の担当者だったので、むべなるかな。



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