◎ あたしは、弱い。 ◎

ごめんなさい。
役に立ちたいの。支えになりたいの。
なのに。
なのに、私は

授業で、悩みを抱える子ども達のビデオを見た。
リスカをしている人。同級生を殺そうとした人。不登校の人。
私と、似たひとたち。
私が、将来向き合いたいと思っている人達。
なのに。
…似てる、から。
似ているから、酷く感情移入してしまって。
視界がぼんやりした。何度も瞬きを繰り返した。
それでも、乾ききらなかった粒が、頬を伝った。

それだけなら良かったのに、涙と一緒に湧いてきたのは
…ぐるぐると脳内を巡るのは、憎らしい程の自傷衝動。

お手洗いに駆け込んだ。
ガチャガチャと筆箱を漁った。
見慣れたカッターを探した。
何処にもなかった。

叫び声を喉で潰した。
手から筆箱が滑り落ちた。
身体も崩れて、便座に腰掛けた。
さっきとは違う涙がぼろぼろ零れた。

私は、ひとに何かを教えられるような人間じゃない。
過ちを知りながら、同じことをして、そして生きている。
こんな不恰好で不自然な人間が、生も正も説ける筈がない。
…私は、子ども達と、向き合っちゃ、いけない。

夢は夢で終わらせておけば良かったんだ。
キレイな憧れのままでしまっておけば良かったんだ。
私なんかが追いかけられるものじゃなかったんだ。
ごめん、ごめんね、軽々しく目指そうとして、ごめんなさい。

あと、四年弱。
多分、それが全てのタイムリミット。

   − 2006年05月16日(火) −

BACK INDEX
MAIL URL

My追加

Illustration by : 夏の空色
Design by : [ m  U ]