ぴよの映画めった斬りコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2009年03月11日(水) ジェネラル・ルージュの凱旋

監督:中村義洋
出演:竹内結子
    阿部寛
    堺雅人、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
バチスタ・スキャンダルから1年。東城大学付属病院の万年講師・田口医師は、先のバチスタ事件の功績を認められて院内の倫理委員会委員長に抜擢された。そんな田口の元にある日、救急救命センター長「速水」が業者と癒着しているという内容の告発文が届いた。速水は「ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)」の異名を持ち、若いながらもやり手の実力派だが院内に敵も多い。院長の特命で事実関係の捜査に乗り出す田口だったが・・・


【感想】
海堂尊氏著の同名タイトル小説(白鳥・田口コンビシリーズ)の映画化・第2弾。
昨年公開されて大ヒットした「チーム・バチスタの栄光」の続編です。前作と同じスタッフ・キャストが再集結して製作。

前作の時は「ミステリー」だと聞いていたので公開前に原作を読むのをグッと我慢していたのですが、映画を見終った後に原作を読んでみたら・・・コレが原作の方が数倍面白くてすっかりハマり、その後海堂氏の同シリーズ「ナイチンゲールの沈黙」そして本作の原作も相次いで読ませて頂きました。(ついでに言うと他社から発刊の【螺鈿迷宮】も読了)
原作では本作は「白鳥・田口コンビの第3弾」になるのですが(ナイチンゲールの方が先に発刊されている)、本作の方が映像的に派手に出来るし観客にアピールもし易いだろうな、とは原作を読んだ際に思いましたね。

そんな訳で、原作にかーなーりー思い入れが強い人間の感想なのだよ、という事を前置きしたトコロで本作。

まずジェネラルを堺雅人さんが演じるという段階で「えええええ〜」と思ったのですが、コレはまあいいです。
原作を読んだ時に勝手に想像していたジェネラルの姿と余りに掛け離れていたので最初は面食らいましたが、それ言っちゃったらそもそも田口も白鳥も原作の風貌とは似ても似つかないドコロか、田口に至っては性別まで違いますもんね。
堺さんが演じたジェネラルも、とても魅力的なワガママKINGとして描かれています。充分合格点でしょう。

映画用に設定を変えたりエピソードを差し込んだりしていますが、大筋は当然原作をなぞっているので問題ないです。
前作では意味不明な竹内結子さんの「足見せソフトボールシーン」に「このサービスショットはムリあり過ぎでしょ」と心の中でツッコミ満載だったんですが(苦笑)、本作では一見意味のなさそうなソフトボールシーンが後に重要な役割を果たすので、前作に比べて「横ネタ」の処理も上手くなっている感じがしましたね。
ただ、「自殺ネタ」のオチが余りにもあっけないと言うかそっけないのはちょっと頂けない気がしますが(^-^;

本作、原作者は現役医師という事もあるので「こだわりドコロ」なのか?医療処置シーン等は多数のオブザーバーを用意して入念に取材をされている模様。現場の医療専門用語をそのまま利用して、かなりリアルに救急救命センターの様子を再現しています。コレは見ている観客に臨場感が伝わってなかなかいい感じ♪

ネタは「救急救命医療現場の実情と営利追求型病院経営の温度差」という、今正に旬な話題。
救命救急医療というのは経費もスタッフの労力・体力の負担も大きい割りにまるで儲からない、病院経営側にとってはお荷物でしかない部署だというのは、案外市井の人々には知られていない。
最近ニュースで「救急車が病院をたらい回しされている内に患者死亡」という報道をよく耳にしますが、現実問題としてどこの病院も経営はギリギリの状態。全く儲からないどころか赤字垂れ流しの救急救命医療部門に、病院はこれ以上受け入れ幅を増やす事が出来ない訳です。

そういう「案外知られていない医療現場の深刻な問題」にスポットを当てている点は大いに評価出来ます。
ジェネラルが倫理委員会で気炎を吐くシーンは圧巻。どんなに志高くとも、所詮「金」がなければ何も出来ないのです。

と、コレらは「原作」の内容が素晴らしいのであって、映画の評価ではありませんよね。

個人的に非常に不満だったのは、速水が「ジェネラル」と呼ばれる由縁となった、誰もが平伏すしかない圧倒的カリスマで院内を取仕切るというシーンが、余りにも薄っぺらく平坦だった事でしょう。
まず10年前の百貨店火災での速水の仕切りシーンからして迫力がなさ過ぎる。更にクライマックスのタンカー炎上事故の処置シーンに至っては、速水よりも佐藤ちゃんの方がよっぽど観客の視線を集めてしまう始末。

それから、本作の白鳥は「キレ者」と言うよりも単なる「嫌味なおっさん」でしかない。
田口に至ってはオドオドしたりボーッとしてるだけで存在価値ゼロ。キャラクターに魅力的な肉付けが全くされていない。
個人的には原作を読んだ際に「倫理委員会」での黒崎教授のセリフには痺れまくったんだけど、あんなにステキングなセリフがバッサリ切られていたのには大ショック(涙)
あの原作の黒崎教授のセリフがあるからこそ、ジェネラルのカリスマ性がより強烈に印象付けられたと言うのに・・・

そんなこんなで、原作に思い入れのある作品ってどうしても映像化されたモノを見るとガッカリしちゃいますよね。
もし原作を読んでなければ、本作は充分満足出来たんだろうと思いますよ。もうこれは致し方ない。
んな訳で、原作未読の方・原作既読でもそれ程思い入れのない方なら充分楽しめますし、内容も是非多くの方に本作を鑑賞してもらって大いに考えて欲しい素晴らしい作品です。掛け値なしにオススメしたいです。

ただねー。原作が良過ぎるんだよ・・・うん。








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