ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2008年02月07日(木) 明日への遺言

監督:小泉堯史
出演:藤田まこと
    ロバート・レッサー
    フレッド・マックイーン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
1945年、敗戦国日本では、A級戦犯を裁く東京裁判と平行して横浜地方裁判所でB級C級戦犯の裁判が行われていた。ここで東海軍司令官だった岡田資中将と部下19名が、名古屋空襲の際に爆撃した米兵を正式な手続きを踏まずに処刑した事で殺人の罪に問われていた。岡田はこの裁判を「法戦」と呼び最後まで戦い抜く事を誓い、そして19名の部下を減刑させる為に「処刑を命じた自分に全ての責任がある」と語るのだった。


【感想】
大岡昇平氏著の「ながい旅」を映画化。
「ながい旅」の映画化と言うよりも、この著作自体が戦後B級戦犯として処刑された岡田資氏を描いている作品なので、岡田氏が戦犯裁判に掛けられて処刑されるまでを描いた「再現ドラマ」といった趣です。

映画の主旨として「アメリカが悪かった、いや日本が悪かった」という部分を描きたいのではない、という事を観客に理解して欲しいという事でしょう・・・映画冒頭にドイツも無差別爆撃をやったし日本だってやった、そしてやっぱりアメリカだって無差別爆撃をやったんだよ、という「歴史のお勉強」シーンが竹野内豊さんのナレーションで登場します。
竹野内豊さんのナレーションはその後も随所で入るんですが・・・棒読み過ぎるって(^-^;

話の大部分は岡田中将の法廷シーンで占められ、法廷シーンの合間に獄中での彼の様子や背景等を見せて行きます。
この岡田中将と言う人、本当に呆れる程の高潔な人物で・・・自分の命と引き換えに部下19名を何としても助けたい、部下は所詮自分の命令で動いただけでその責は全て自分にあると言い張って、一人貧乏くじを引いたという素晴らしい人。

確かに戦時下は上官の命令は絶対で、部下は上官から言われたから処刑したに過ぎないのでしょう。
でも誰だって自分の命は惜しい。もし誰かに罪をなすり付ける事で自分の命が助かるなら、悪魔に魂を売ってでも・・・いや部下の命をアメ公(←差別用語だっちゅーの)に売ってでも自分だけは何とか生き延びようとするのが人のサガ。
実際そんなヤツもごまんといた中で、岡田氏は全てを自分が被った。全て自分が被ったと言うよりも、自分が決断した事に対する結果を、きちんと自分で落とし前を付けようと誠心誠意頑張った、と言うべきか。

コレが本来正しい事なのだと誰もが判っていても、それを本当に実行出来る人は少ないと思う。
ましてや本来正しい事を行うのが「自分の命と引き換えになる」とすれば尚更。
それを本当に「自分の命と引き換えに」やり抜こうとした岡田中将を姿に、さしものアメ公(←差別用語だってば)の皆さんも心打たれたのでしょう・・・でもコレは日本人だから出来る、これぞサムライ魂なのだ、という話じゃないです。
世界共通で誰もの心を打つ、素晴らしい人格者の話を描いている、ただこの人が戦中の日本にいたというだけの事。

大戦時の日本人、特に日本人の美談系を描いた作品について、やたら斜め上な見方をする人がいますが、本作は戦時下の日本を擁護したいという意図を持った作品でもないし、殊更に日本を卑下したり卑屈になったり、ましてやアメリカをバッシングした作品でもないです。そこの所をしつこいようですが履き違えないで欲しいです。

さて、こんな素晴らしい人を描いた作品なんですが、どうして「映画」として作ったんでしょう?
「映画」と言うのはお金を払ってわざわざ映画館に見に行かなければいけない。よっぽど本作のテーマに興味を持った人でなければ、この作品をわざわざ金まで払って見る事はないでしょう。
正直、映画の作りとしては非常にオーソドックス(言い換えればヒネリもない平凡な作り)なので、脚本だ構成だ演出だ映像だというトコロで評価出来る部分は少ないと思うんですよ(苦笑)
でも「こういう素晴らしい人物が実在したのだ、彼の姿・彼の言葉から何を学ぶべきか」という事が重要な訳で。

上記の「オススメ度」の評価を低めにしましたが、コレは「何故こんな素晴らしい話を、わざわざ1800円も金を払わなければ見れないようなシステムで作ってしまったのか」という事に対する抗議のつもりで、敢えて低め評価にさせて頂きました。
本作は文化庁も支援しているみたいですがね・・・下らない事に税金使う位なら、この映画を無料上映にして多くの人に見てもらって、岡田氏の「遺言」を多くの日本人に知ってもらえるように尽力して欲しいですよ。







 ↑
クリックすると文字が変わる投票ボタン
姑息な手ですが、映画感想が気に入ってもらえたら
ポチ☆と押してやってください(^_^;)


My追加





 < 前の作品  INDEX  あいうえお順INDEX  次の作品 >


ぴよ [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加