ぴよの映画めった斬りコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2007年03月17日(土) ラストキング・オブ・スコットランド

監督:ケヴィン・マクドナルド
出演:フォレスト・ウィテカー
    ジェームズ・マカヴォイ
    ケリー・ワシントン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
スコットランド人青年ニコラス・ギャリガンは医学校を卒業した後、若者らしい冒険心と完璧な父親から逃れたい一心で、地球儀を回してたまたま指差した国・ウガンダの貧村の診療所へやって来た。彼がウガンダに着いた1971年、オボテ政権が軍事クーデターによって倒れ、アミン将軍が新大統領に就任した。たまたま怪我をしたアミンの手当てをした事がきっかけで、アミンに気に入られたニコラスはそのままアミンの主治医となり、いつしかアミンの片腕のように扱われるようになる。


【感想】
アミン役のフォレスト・ウィテカー氏が今年のアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品。
予告編を見た段階で「すげーアミンに雰囲気似てる!」と思ったものですが、確かにフォレスト・ウィテカーの演技は鬼気迫るものがありましたね。素晴らしい演技を見せてくれました。

かつてウガンダという国が独裁者アミンによって滅茶苦茶になっていた・・・というのは知っていましたが、実際のアミンの人となりや何故あれほどの大量殺戮が起こったのかという歴史の背景等についてはほとんど何も知らない状態でした。
ってか、アフリカという地域は何か問題を抱えている国が多いですね。内戦、西欧の植民地化による黒人差別、独裁者による自国民の殺戮・・・実際今もウガンダは決して治安のいい国ではありませんし。

本作ではアミンに気に入られて彼の主治医兼ご意見番となったスコットランド人青年医師ニコラスの視点で、この時代のウガンダという国とアミンという人物を描いて行きます。

ニコラスが初めは新しい大統領アミンを羨望のまなざしで見つめていたという設定を抜きにしても、クーデター直後に国民の前で演説をするアミン大統領は確かにカリスマがあって人をグイグイと惹き付ける魅力に溢れている。
貧しい家庭に育ったアミンが権力を手に入れ、初めはきっと崇高な志もあったのだろうけど金と権力にすがる内に人が信じられなくなり、自分がクーデターで今の地位を築いた事を考えると「今度は自分が誰かにやられる立場」になったのだと反対勢力を恐れるようになり、そして遂には世界中を震撼させるような大量虐殺者となる・・・

そんな悲しくも恐ろしい独裁者の心の動きを時にアミンに同調し、時にアミンに反発しながらも見入ってしまう、そんな風に描かれていれば素晴らしいのになぁ〜と思ったんですが、何か微妙にピントがズレてるような気がしましたネ。
・・・何か今日の感想、すごく回りくどくて嫌味ったらしい書き方してるなぁ<自分(苦笑)

どうもね、ニコラスがぴよには肌に合わなかったですね。
血気盛んな若者で、完璧な父親の元で「こうあるべき」と育てられて鬱積するものがあったのはよく判る。その反動で自分の居場所を探すのに「医療後進国で人助け出来て、尊敬もされちゃう?ちょっと俺ってカッコいい?」的なノリでウガンダにやって来たのも理解出来る。正直言って「黒人は白人の俺より下よネ」な臭いプンプンだけどそれも判る。
新大統領に気に入られて大統領専用車に乗って「俺ってこの国の要人ってヤツぅ?」と舞い上がる気持ちも判る。

それにしてもニコラスよ。お前はバカっぽ過ぎるぞ(涙)
余りにやる事為す事思慮が浅過ぎてリアリティがない。一緒にボランティアやってる同僚医師の嫁さんをタラし込む程度ならまだ許されても、いくらなんでもアミンの嫁に手を出すのはリアリティがなさ過ぎ。
実際のアミン政権下の出来事について何も知らない状態で鑑賞したので「ニコラスのモデルが実際にいたの?」とずーっと悶々としていたのですが、どうやらニコラスは映画オリジナルキャラのようですね。

納得しました。ニコラスいらないです。←をい

ニコラスの愚行を延々見せるくらいなら、もっとアミンの心の動きを掘り下げて見せて欲しかった。
確かにラストの脱出劇にはハラハラさせられたし、シメとしてはよく出来ていたと思いますが、映画全体の流れとして結局何が言いたいのかよく判らない作りになっちゃってる気がするんですよね。
アミンという独裁者の心の内を見せたかったのか?アミンに独裁された国民の困惑を見せたかったのか?ただこういう歴史があったという事をサラリと娯楽映画として楽しませて見せたかっただけなのか?

少なくとも本作はアミンという人物の掘り下げも出来ていないし、彼の犯した恐ろしい独裁政治部分も描き込みが薄くて観客に伝わり難い。それもこれもニコラスという語り部のキャラクターの作りに問題があったんじゃないかと思うんですよ。

ただし、アフリカの国々が抱える多くの問題、そして実際に起こってしまった恐ろしい出来事、これらはなかなか欧米にも日本にも伝わる機会が少ないのが現実。
例え娯楽映画であっても、この映画の内容とこの映画が見せてくれた歴史背景は知らなければいけない事でしょう。
映画としては正直「イマイチか?」と思ったけど、見て損はない・・・いや、見て知るべき内容ですよ。







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