ぴよの映画めった斬りコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2006年12月12日(火) 硫黄島からの手紙

監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙
    二宮和也
    伊原剛志、他
オススメ度:☆☆☆☆


【あらすじ】
1944年6月、硫黄島に陸軍中将・栗林が赴任して来た。米国留学経験があり米軍の物資・組織力を熟知していた彼は、本土防衛の最後の砦となるこの島を死守すべく、島の到るところにトンネルを張り巡らせて地下要塞を築く事を命じた。体罰を禁止して「自決する事なく最後まで生き抜いて戦え」という斬新な方針の栗林の姿に、硫黄島での生活に絶望していた西郷ら下級兵士達は希望を見出すのだが・・・


【感想】
先日鑑賞した「父親達の星条旗」と対で製作されたクリント・イーストウッド監督最新作。
父親達の〜がアメリカ兵から見た硫黄島の戦いで、本作は日本兵から見た硫黄島。だからなのか?父親達〜を見ても正直ピンと来なかったんだけど、本作は日本人側の話なので身につまされるものがありました。

物語の大部分は硫黄島で戦った一兵士「西郷」の視点で語られて行くのですが、西郷を演じた二宮君がなかなか面白い役柄を演じていたと思いますね。

そもそも彼がぜーんぜん妻子持ちに見えない(笑)
西郷は何歳という設定なんでしょうか?よく判らないけど、いいとこ20〜22歳くらいにしか見えないんですわ。
彼のセリフもとてもじゃないけどあの時代の人間の言葉とは思えない。言ってる事も、イマドキの若者がもし戦場に連れて行かれたらきっとこんな風に言うんだろう・思うんだろうな、という感じだし、周囲が天皇陛下万歳を叫ぶ中で1人冷めた目で違和感を感じながら嫌々周囲に合わせて万歳してるといった様子。

コレがね、むしろ妙にリアリティを感じましたね。
ぴよがこれまで見聞きしていた「戦争時代の若者達」というのは、軍事教育バリバリで国の為に命を捨てるのは美徳だとどいつもこいつも本気で思ってるヤツらばっかりというイメージだったけど、実際そんな訳ないよね?
誰だって命は惜しいし、家族を守る為に戦場にいるのは百も承知でも「肝心のオレが死んじゃったら意味ないし」くらい思ってて当然だと思うし、守りたい人がいればいる程自分の命が惜しくなるのが人間の当たり前の感情だと思う。

戦場で自分の持ち場が守れなかったから自決するなんてナンセンスだ。
自決する事でムダに兵力を減らすくらいなら、その場を放棄して他のチームと合流して新たな戦力になった方がよっぽど合理的だし理に適っている。どうしてそんな簡単な足し算引き算が当時の日本軍には判らなかったんだろう?

この映画は「大和魂」という名の自決が、決して美徳ではないのだという事を映像で上手く見せていたと思う。
同時に「戦争」という名の「殺し」の大義名分には、正義もなければ勝ち負けもないという事も教えてくれる。
衛生兵を狙えという卑怯な戦術の日本を描けば、一方で投降して来た日本兵を保護せずに撃ち殺す米兵も描く。そして日本兵が愛する家族へ向けた手紙をナレーションする一方で、母親が戦地に赴いた米兵の我が子に当てた「生きて帰って来て欲しい」と切望する手紙も朗読する。

留学時代の思い出を回想する栗林(もし日本とアメリカが戦ったら・・・のくだり)や負傷した米兵を手厚く看護しながらロス時代の思い出話を嬉しそうに語って米兵に握手を求めるバロン西の様子に、胸がしめつけられそうになった。
本作では様々な所で語られている栗林やバロン西の英雄譚は何も語られないけど、戦争がいかに愚かで、そしてあの硫黄島の英雄達がどれだけ生きたかったか、負けを判っていても日本の為・本土に残った家族の為にそれでも戦わなければいけなかった彼らの切なさと悲痛な叫びが淡々と描かれていた。

ドラマティックな展開ではないけど、逆にメロウなドラマにしなかった分、より一層戦争の悲劇が際立っていたと思う。
父親達の〜には余り感じ入るモノはなかったけど、本作は日本人必見ですね。
決して反戦を声高に訴える作品ではありませんが、これだけの悲劇を見せ付けられてそれでも戦争をしたいと思う人はまず世の中にいないでしょう・・・イラクにいる米兵の皆さんも是非ご覧下さい!






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