ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年10月22日(金) 血と骨

監督:崔洋一
出演:ビートたけし
    鈴木京香
    新井浩文、他
オススメ度:☆☆☆


【感想】
1923年、一旗揚げようと故郷済州島から大阪にやって来た金俊平。腕のいい蒲鉾職人だった俊平は、持ち前の才気とバイタリティで戦後蒲鉾工場を興して成功した。しかし俊平という男は桁外れに凶暴な上に強欲にして吝嗇で、俊平の妻・英姫も抵抗も出来ず犯されるがまま、彼の子供花子や正雄もビクビクと怯える日々だった。
そんなある日、俊平の実息だと名乗る青年「武」が金家に転がり込んで来た。武は金家で傍若無人に振る舞い俊平の存在にも全く動じない。そんな武に羨望の眼差しを向ける正雄少年だったが・・


【感想】
第11回山本周五郎賞を受賞した梁石日氏の自叙伝的同名タイトル小説の映画化。
主人公・金俊平を演じるのは久し振りに俳優業に専念したビートたけし氏。そして俊平の妻・英姫を鈴木京香嬢が熱演、息子の正雄役(これが後の梁石日氏)を若手実力派俳優の新井浩文クンが演じてます。

映画は若かりし頃の俊平が日本にやって来る所から始まるけど、その後は一気にすっ飛ばして第二次世界大戦中の出来事をサラリと見せて、いよいよ話が始まるのは戦後から。
俊平の半生を息子・正雄の視点で見せる事が主軸になっていますが、俊平だけでなくこの時代を生き抜いた在日朝鮮人の混沌と苦悩、そして力強く異国の地で生き抜いた歴史を丁寧に見せていく大河ドラマになってます。

で、この俊平という男がとにかくスゴイ。
普通この手の大河ドラマ系って、主人公の生き様に共感したり羨望したりさせる事で観客を惹き込んで行くのが常套だと思うんだけど、よもやこの映画を見て俊平に共感出来る人は皆無と言っても過言じゃないでしょう。
つーか、「オレって俊平に似てるわー♪」ってヤツが周囲にいたら、直ぐに警察か病院に通報した方がいい(笑)

で、結局何が何だかよーわからん(^-^;
俊平は妻だろーが子だろーが自分の機嫌一つで殴り倒して全く情けというものがないのに、異常に「子供を作る」事にこだわって次々と愛人に子を産ませるし(しかも男の子が欲しかったらしい)、産ませる割に子供を可愛がってる様子もない。
更に彼の人生唯一の美談のつもりなのか?脳腫瘍に冒される愛人・清子の存在があるんだけど、何故あそこまで極悪非道な俊平が清子だけにはこだわったのかがぴよには理解が出来なかった。

俊平は全編通して「全く人を信じない。信じるのは己と現金のみ」という孤独な男として描かれているけど、その俊平が唯一金勘定抜きに愛情を注いだ女・清子というのは、俊平に何をもたらしたというのだろうか?

映画は時代を忠実に再現して、非常に木目細やかに当時の風俗や町並みを見せているけど、キャラクターの心情部分を掘り下げて見せるという描写がまるでないので、この時代を知らない世代の人が見るとただ「意味不明で感じ悪い男の話」だけが残ってしまう(^-^;
勉強不足のぴよにも問題アリアリですが、この作品の真意が理解出来る方はどれくらいいるんでしょう?

清子を演じた「中村優子」という女優さん、ぴよは全く知りませんでしたが迫真の演技です!素晴らしい!
ビートたけし氏も熱演されていますが、彼のかすれた高音の声音がちょっと違和感があった。狡猾で吝嗇という感じはよく出てたけど、凄んで暴行しまくるシーンなんかはちと迫力不足という感じか?
鈴木京香嬢、相変わらず凛とした美しい人ですが、彼女は今作で随分汚れ役を演じていて驚きです。映画冒頭からいきなり強姦されるシーンですから・・・これにはさすがにギョッとしましたわ。
彼女の女優魂を感じましたね。老け役も雰囲気良かったけど、歳食っても声に妙にハリがあるのはちょっとな(^-^;

戦後の在日朝鮮人の苦労や生活を色鮮やかに再現した「昭和朝鮮人史」として非常に丁寧な作りをしているけど、この映画から何を汲み取ればいいのか判らなかったぴよには難解な内容でした。

上映時間2時間24分。邦画の尺としてはかなり長いです。
長いし難解なのに全くダレずに見る事が出来ました。
何とも不思議な力のある作品。







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