ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年10月01日(金) 16歳の合衆国

監督:マシュー・ライアン・ホーグ
出演:ライアン・ゴズリング
    ドン・チードル
    クリス・クライン、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
平凡な16歳の少年リーランドは、ある日知的障害のあるライアン少年をを殺してしまった。ライアンはリーランドの元彼女ベッキーの弟だったのだ。矯正施設の教師で作家志望のパールは、新しく施設に入所したこの凶悪犯罪を犯したリーランド少年に興味を持ち、彼にノートとエンピツを与えて心の内を書かせ、そして何度も彼と会話を交わす。どうして心優しかったリーランドはライアンを殺害してしまったのだろうか・・・?


【感想】
近年日本でも深刻化する少年犯罪を取り上げた作品。監督・脚本は自身がロスの矯正施設で2年間教師をした経験をもつマシュー・ライアン・ホーグ氏。氏の脚本に惚れ込んだケヴィン・スペイシーが製作を買って出て、ご本人も主人公リーランドの父親役として出演するという気合の入れようです。

まず少年犯罪が起こると誰もが思い、そして追求したくなる事。それは「どうしてこんな犯罪を犯したのか?」
この作品中に出てくる矯正施設の教師パールもやはりそう思い、しかもリーランドが自分が敬愛している作家の息子だったと知るや「コレは俺の作家デビューとしてのネタに使える!」と、せっせとリーランドにコンタクトを取って彼の心の内を知ろうと懸命になる。
それに加えて犯罪を犯した側の家族の迷走、家族を殺された家族の困惑等を見せながら、何故リーランドはライアンを殺すに到ったのか?という答えを探していくという話です。

ぶっちゃけ言いますが、その「答え」とやらは今作中に明確に提示される事はありません。
ですがそこに到るまでの環境や心理状態をコツコツと地味に見せてはくれますので、きっと製作者側の意図としては「この作品を通して少年犯罪の起こる土壌についてみんなで考えましょうよ」くらいの啓蒙はしたそうです。

という訳で、リーランド少年の周囲は病みまくっている(苦笑)
まずリーランドの家庭は高名な作家だが家庭を顧みずトンチキな父親(リーランドが幼い頃から別居)、その状況に甘んじていつも悲しそうな目をした母親と同居。そして父親は金や航空券は与えても子供に無関心でコミュニケーションを取る気がまるでないという状況。
そんなリーランドの彼女んちは、弟で知的障害児のライアンにかかり切りの両親に寂しさを覚えて、元彼の影響でドラッグ・ジャンキーになってる娘ベッキー、ベッキーの姉は彼氏を家に引っ張り込んでベッキーを疎ましく思ってるし、加えて言えば姉の彼氏というのも父親に疎んじられて家を飛び出して来て、愛情に飢えまくってるというちょっとヤバい男。

ベッキー程度のバカ娘なら(をい)お気軽に逃避出来るドラッグに走って勝手に自己破滅の道を辿るだけですが、小利巧で人よりちょっぴり感受性の強かったリーランド少年は、親とのコミュニケーション不足から来る満たされない寂しさの理由を、どんどん自分の内側に捜し求めに行ってしまう。
情緒の発達段階における親とのコミュニケーション不足を印象付けるかのように、リーランド少年というのは非常に表情が乏しく、更に情報過多時代を生きる今の少年を強調するかのように、矯正施設の教師パールと会話する時は実に理路整然と色々な事柄について分析して大人顔負けのコメントを発します。

結局リーランドは自分の満たされぬ寂しさ・孤独・愛を勝手にライアンに投影して、ライアンを殺す事こそがライアンにとって最良の道だと考えたようですが(これはあくまでもぴよの私感)、今まで散々自分の内ばかりを見続けたリーランドはどうして土壇場になって他人に投影してライアンを殺したのでしょうか?
「永遠に続く愛などない」と絶望したなら、オマエが勝手に自分で死ねば済む事だろ?と思わずにいられないぴよは、やっぱりどこにでもいるフツーのおばはんで(涙)、所詮少年犯罪者の心の内なんて知る由もないという事なんですかねぇ。

どーもリーランドを始め、出てくるキャラクターの描き方が上滑りで軽い感じがして仕方なかったです。
何もここまでてんこ盛りな設定を作らなくても、問題のある家庭はリーランドだけにして、もっとリーランド自身の問題部分だけにスポットを当てて掘り下げてくれた方が、観客を共感させ易かったんじゃないかと思うんだけどな。

だってさ・・・
世の中で少年犯罪を犯す子供達というのは、自分も周りも全て「完璧な不幸」に満たされてる訳じゃないでしょ?
もっとキツイ言い方をすれば、結局犯罪を犯すヤツは本人に問題があるとぴよは思うんですよ。
確かに環境も劣悪で家庭環境に問題のある子供も多いでしょう。でも全く本人に問題がないかと言ったらそれは絶対に違うとぴよは思うんだよね。何もかも他人や環境のせいにするのは絶対に間違ってる。

この映画に出てくる人間は誰も「自分が悪かった」と思っていない。
リーランド自身も「間違った事をしちゃったと思う」とは言うが、自分が悪い事をしたとは思っていないようだ。
この部分がぴよには引っかかる。

ハッピーエンドを望むのはお門違いの作品だけど、それにしても1人くらい自分に理由を求めてもいいじゃないか。
これでは余りに救いがないし、やはりこれからも少年犯罪は増え続けるしかないのか・・・と暗澹とさせられる。

どーにも気分の悪い作品でしたわ。






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