ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2004年01月21日(水) 嗤(わら)う伊右衛門

監督:蜷川幸雄
出演:唐沢寿明
    小 雪
    香川照之、他
オススメ度:☆☆☆☆−


【あらすじ】
生まれてから1度も笑った事のない貧乏浪人・伊右衛門は、名家「民谷家」の婿入りの話を持ちかけられてこの家の1人娘・岩と夫婦になった。岩は数年前に患った悪い病のせいで顔の右に醜い痕が残っていた。最初の内はお互いの誠意が伝わらず口論の絶えない2人だったが、次第に打ち解けて仲睦まじい夫婦になる。
ところが伊右衛門の上司でかつて岩を執拗に求めていた伊東喜兵衛は、2人の様子が面白くない。伊東は岩に嘘を吹き込み、2人を別れさせた後に伊右衛門に自分の愛人をあてがったのだ。


【感想】
京極夏彦氏の同名小説の映画化。古典的名作「四谷怪談」を、京極氏独自の斬新な視点で究極の愛の物語に造作したもの。氏の作品は結構好きで何冊か読んでるんだけど、この作品は未読です。噂では京極氏にしてはこの作品はボリュームが少ないそーなので、機会があったら是非原作も読んでみたいっすね。

無表情で寡黙な男・伊右衛門を、表情豊かで多彩な表現が魅力の唐沢寿明氏がチャレンジしている。
彼の魅力はその豊かな表現力にあるとぴよは常々思っていたので、このキャスティングはどうだろうなぁ〜と思ってたんだけど、何が何が!この難しい役ドコロを非常に上手に料理しています。

この作品は出演している役者が非常に芸達者が多く、ぴよ大好き♪椎名桔平さんは実に憎たらしい男を見事に演じ、映画を見ていて思わず「誰でもない、このぴよ様がぶっ殺してやろーか」と思った程。(をい)
特にぴよが評価したいのが、伊東喜平衛に妹を手篭めにされた事を恨んでいる男・直助を演じた池内博之クン。
彼は多少青臭いものの、なかなかいい演技をする役者さんだなぁと常々思ってたけど、この作品ではその青臭さも感じさせず、彼の鬼気迫る迫真の演技には惜しげない拍手を送りたいですネ♪

1番演技力に首を傾げたくなる「小雪ちゃん」ですが・・・これが、なかなかいいんですわ!
ラスト・サムライの時よりも断然いい。ラスト・サムライの時はトム・クルーズと共演という事で緊張して演技が硬かったのか、それとも逆にトムと共演した事で度胸と自信が付いたのか、今作品の小雪ちゃんは実に良かった!

舞台演出に長けた蜷川監督の、独特のこだわりを随所に感じさせるセットと演出は必見。
伊東喜平衛の屋敷のセットには特にそれを強く感じましたね。部屋のど真ん中に堂々とそびえる色鮮やかな紅葉、伊東の冷酷さを際立たせる抑え気味の色調の衣装、そして無機質で冷ややかな感じを持たせる石が敷き詰められた庭。
後、伊右衛門と蚊帳の組み合わせ方が、1つ距離を置きながらも内に秘めた情熱を思わせて絶妙だった。

少し残念に思うのは、伊右衛門とお岩夫婦が深い絆で結ばれていくくだりが、少し物足りなかったよーな気が?
お岩が伊右衛門を慕っているというのはよく判ったけど、伊右衛門がこれ程までにお岩に惚れていたとは、あの喧嘩のシーン等を見る限りでは到底思えなかったんだけど。(後の展開ではそれを充分表現出来ていたとは思うけど)

京極氏の作品は「幻想的」という言葉でくくったらそれまでですが、文章を読んだだけでも軽い吐き気をもよおす程のエグい表現が多々あって(無茶苦茶言ってますぅ?)、これを映像化したらどーなるんぢゃい!と少々心配でしたが、そこは蜷川監督の業師たるトコロ♪かなりリアルでエグいシーンもありますが、たぶん原作よりも随分ソフトに、そして美しく表現していたんじゃないかと思いますわ。

役者の人選もいいし、舞台効果(蜷川監督だけについこういう表現になっちゃうね)も申し分ない。
話もなかなかスマートにまとまっていて「良い出来の作品」と言っていいでしょう。






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