ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
ぴよと意見が合わないからっていじめないでぇ〜ん!(^_^;)
【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2003年09月19日(金) 母と娘

監督:ロリー・B・キントス
出演:ヴィルマ・サントス
    クラウディン・バレット
    バロン・ゲイスラー、他
オススメ度:☆☆☆


【あらすじ】
家族を養う為に香港で住み込みの家政婦として働いていたジョシーは、6年間の契約を終えてようやくマニラに帰って来た。ジョシーには3人の子供―長女のカーラ、長男のマイケル、そしてまだ幼い次女のダダイがいた。数年前に夫が事故死した時も葬儀の為に帰国出来なかったジョシーにとって、子供達に会うのは実に6年ぶりだったのだ。
空港に迎えに来てくれたマイケルとダダイを我が子だと気付かなかったジョシー。更に長女のカーラは口を聞いてくれようともしない・・・それほど6年という歳月は子供を成長させ、そしてジョシーと子供達の間に壁を作ってしまったのだ。


【感想】
1970年代末にフィリピンの歌手フレディ・アギラー氏が歌って大ヒットした「ANAK(アナック)」という歌を映画化したもの。この楽曲は世界50ヶ国でカバーされ、日本でも加藤登紀子や杉田二郎が「アナク―息子よ」というタイトルで歌ってます。
歌の内容は両親が我が子の誕生を心から喜び、そしてその子供が育つと親の期待に反してグレてしまった・・という悲しみを唄ったものですが、この作品では両親ではなく母親と子供という関係に直し、更に貧困の為に海外に出稼ぎ労働する女性の過酷な状況を加えてあります。

海外で出稼ぎ労働する人の事を「OCW」と呼ぶそーで、フィリピンではOCWの数が500〜600万人を超えると言われているそーだ。日本でも沢山のフィリピン人労働者を見かけるよね?
正直言うと、日本で見かけるOCWの皆さんをかなり胡散臭い目で見ているぴよですが、この映画を見るとOCWの彼らの苦労と苦悩、そして働きたくても自国に雇用力がない為に致し方なく海外に出るという切ない事情などが、非常に丁寧に描かれていると思った。

かなり「泣かせ」な映画で、ぴよもクライマックスの母娘の対決シーンではうるうるしちゃったんだけど・・・
なぁ〜んかしっくり来なかったというか、何か後味の悪い感じがしたんだよね。(^_^;)

「グレた子供との対話に悩む親」という姿は、日本でもよく見聞きする話だから違和感を感じないけど、それが「=出稼ぎに出ていたから」という図式にスッポリと当てはめてしまうと、どうしても日本人には馴染めない感覚になってしまう。
映画中、母親のジョシーが「父親が家族を養う為に出稼ぎに出ると『いい父親』と言われるのに、母親が同じ事をすると『子供の傍にいてやらない悪い母親』だといわれてしまう」と言って嘆くシーンがあるんだけど、ぴよは決してそうは言い切れないんじゃないか?と思うんだ。

どんなに離れていても、子供に母親がどんなに子を思って働いているかというのを残った家族がきちんと教えていれば、そして母親自身も子供と何でも語り合えるような状況(マメに手紙を書く等)にしていれば、ここまで悪化する事はなかったんじゃないか?と思う。
確かに致し方ない理由でジョシーは夫の葬儀にすら出れなかった。けど、その事をきちんと子供達に説明していれば、そして自分がどんなに夫と家族を愛して、遠い異国の地でどんなに悲しんでいるかを丁寧に伝えていれば、この映画の母娘関係ほどにはならなかったんじゃないか?

血の繋がった親子なんだから、口にしなくても思いは伝わるハズ・・という考えは余りに甘いと思う。逆に血の繋がった親子だからこそ、丁寧に家族への愛情を口にして子供を不安にさせないようにする事が大切なんじゃないだろうか?

クライマックスでジョシーは娘のカーラに「アンタなんか産むんじゃなかった!」と慟哭するくだりがあるんだけど、このシーンは一番泣かせなシーンでありながら、ぴよは非常に不快になった。

ぴよは子供の頃からずっと(そして今もしょっちゅう)ママから「ぴよを産んで本当に良かった」「ぴよがママの娘でいてくれてママは本当にラッキーだった」と言われている。ぴよの友達にまで「ぴよがいてくれて本当によかった」と吹聴するのはちょっと照れ臭いけど、でもそう言われて嬉しくない子供なんている訳ない。
もちろんぴよもママの娘で本当に良かったと思ってるし、すっごくハッピーでラッキーな娘だと自負してる。

もし、ママから一度でも「ぴよなんて産むんじゃなかった」なんて言われていたら、ぴよは心がおかしくなっちゃったかもしれない。それくらい母親が娘に与える影響というのは、母親が口にする言葉というのは子供にとって影響が大きい。
いくら自分の苦労を子供が理解してくれないからと言って、決して口にしてはいけない言葉というのがあるよね?

だから、映画を見ていて母親の気持ちにはなかなか同調出来ず、ぴよは娘の心の叫びにしか共感出来なかった。

そしてこの映画は最終的にはハッピーエンドの類に含まれるんだろうけど、肝心の「出稼ぎに行くから子供と心の距離が出来る」という問題提起に対して、何ら答えを出していないように思う。

カーラとジョシーは判り合えたのかもしれない(ぴよがカーラだったら絶対に納得出来ないけど)
だが、ジョシーにはまだダダイという年端の行かない娘がいるのだ。彼女との距離をジョシーはどうやって埋めて行くのか?カーラ任せにして、カーラからの手紙を頼りにして、やっぱり自分は「口に出さなくても親は子を思ってるものなんだよ」で済ますつもりなのだろうか?

何ともやり切れない気分。






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