ぴよの映画めった斬りコーナー
ぴよが見た新作映画・ビデオ・DVDを個人的趣味でぶった斬るコーナー
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【ネタバレも含んでますので注意してねん♪】

2003年07月08日(火) 春の惑い

監督:ティエン・チュアン・チュアン
出演:フー・ジンファン
    シン・バイチン
     ウー・ジュン、他
オススメ度:☆☆☆+


【あらすじ】
1946年中国・蘇州。抗日戦争で没落したダイ家の妻「ユイウェン」はすっかり心を閉ざしていた。見合い結婚した夫は長患いのせいで人が変わったように気性が荒くなり、夫の妹とこの家に先代から使える使用人と4人だけの生活は、ユイウェンにとって「妻としての責任」を果たすための場所でしかなくなってしまったのだ。
そんなある日、夫の旧友が上海から訪ねて来た。夫にその男を紹介されて驚くユイウェン・・夫の旧友は、ユイウェンが16歳の頃の初恋の人・・・真剣に愛し合ったかつての恋人「チーチェン」だったのだ。


【感想】
原作は「小城之春」、1948年に既にフェイ・ムーにより映画化されており、今作品はそのリメイク版なんだそーだ・・けど、フェイ・ムー作品とはかなりアプローチもキャラクター設定も違うモノになっているそうですわ。

映画を見始めてまず最初に思った事は、「この監督さんは変わった撮り方をするなぁ」という事。
観客と映画の登場人物との間に距離をおく・・という言い方が正しいのか判らないんだけど、そういう気持ちにさせるんだ。それはたぶん主人公「ユイウェン」の様子を見せる時、ほとんどが窓越しだったり庭越しだったり回廊越しだったり・・・観客をユイウェンに感情移入させるより、むしろユイウェンの様子を盗み見してるような気持ちにさせる撮り方なんだよね。

この撮り方は成功してると思う。
何故なら、この映画の主人公「ユイウェン」が、冷静に考えるとかなり感じ悪い女だからだ(笑)

見合い結婚だった、そして夫が結婚後長患いして夫婦生活もままならなかった、という事を差し引いたとしても、初恋の男がやって来て有頂天になった挙句、男と一緒になりたくて思わず「夫が死んでくれたら」とまで口にする女。
自分は人妻の身なのに、男が夫の妹と仲良くしている姿に嫉妬心をあらわにして嫌味タラタラ。
男が良心の呵責を感じ、夜自分の寝所にやって来たユイウェンを拒絶すると、逆上してガラスを叩き割る女。

正直言うと、「ユイウェンの気持ち、判るわぁ〜」と思う人妻のみなさんは結構いらっしゃると思うけど、それをユイウェンの視点で観客に「これでもかぁー!」と見せてしまうと逆に白々しくなっちゃう。この映画くらいの距離感があった方が、観客に「所詮他人事だけどサ、この女の気持ちもまんざら判らなくもないわネ」的な・・・まるでTVで芸能ニュースを見ながらお茶の間で「この人も大変ねぇ」とささやき合う、「他人の不幸は蜜の味」的共感を持てるのだ♪(笑)

さてそんな中、この映画で一際観客の心に入り込み同情をそそるキャラが、ユイウェンの夫「リーイェン」だ。
抗日戦争の最中、旧家の跡取という立場から志半ばで自分の夢を諦め、見合いで結婚した妻は自分に歩み寄って来ない。精神的に病んでしまい、益々心を閉ざして遠去かる妻になすすべもなく、思わずイライラして語気荒くなって悪循環になる。
自分の親友が家にやって来て、妻がようやく楽しそうにしてくれていると喜んだのも束の間、実は2人はかつての恋人同士だったと些細な会話で気付いてしまった・・

全くもって踏んだり蹴ったりのリーイェンだけど(苦笑)、映画冒頭からうつろで地味な様子で押し通した「ウー・ジュン」の演技が、映画後半になって来て実に生きて来る。
ユイウェンに共感するよりも、リーイェンに同情する方が観客にとって心地いいのだ♪(あは♪)


映画全編雰囲気のあるキレイな映像で、ちょっと緩めの間も映画によくマッチしてる。
はっきり言うとぴよはあんまり興味の湧かない話だったけど(苦笑)、小技の効いた映画を見たという満足感はあったね。





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