オモフトコロアリ。
past / will
2004年02月13日(金) 春の訪れ。 

あぁ、夫が帰ってきたらしい。その時はそう思った。

帰るコールがあった時間から考えて、そろそろ着いてもいい頃だし、
階段を3Fまで駆け上がってくる足音がしたからである。
私の家は一応最上階、隣の家は少し前に帰ってきた気配があった。
その上、他にこの階に家がある訳ではない。
夫にしては元気だな?と思ったのは確かである。
普段はもう少し重い足取りで階段を上がってくる。
しかし、他に3Fまで上がってくるようなヤツはいないはずだ。
時刻は23時、セールスが来るにも時間が遅すぎる。

トコロがである。

その足音はそのまま駆け下りていってしまったのだ。
階段を間違えたか?とも思わないではなかったが、
3往復もしている所をみると、よもや間違いではなかろう。
はた迷惑なスポーツマンのトレーニングだったらいやだなぁ。
などと思っていたら、4度目の足音がするのである。

今度は駆け上がって来た訳でもなく、そっと上がってきた感じだ。
今度こそ夫か。と安心したのもつかの間、
その人物は我が家の玄関先で咳払いを始めたものだ。

 …夫ぢゃねぇ!

困ったことに、そいつはそのまま玄関前にたっぷり数分居座っていた。
どんなヤツだか見てみたい気はしないでもなかったのだが、
覗くと光をさえぎるから、相手にも見てるのが判るんだよなぁ。
それもイヤなのである。

そいつが居なくなった直後に、夫がようやく帰ってきた。
変なヤツに遭わなかったか訊いてみたら、

「斜め下のうちの人が『やっと居なくなった』とか言ってたけど。
 ご夫婦で玄関から顔出して。何か変なヤツでも居たの?」

居たんです。ハイ。と経過を説明すると、
独りの時はしっかり鍵をかけて置くように念を押された。
殆ど入れ違いで帰ってきた夫が遭っていないということは、
下手すると同じマンションの住人だったかもしれないしなぁ。
とりあえず、今回は玄関から来てくれてよかったというものだ。
足場を組まれていて登りやすいベランダ側から来たら…。

まぁ、こういう変なヤツがでるのも春だからだろう。
こんな所に春の訪れを感じる私は、すこし妙だろうか…。

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