明後日の風 DiaryINDEX|past
早朝の広島便。 小さい飛行機は、軽快に羽田空港から離陸した。こういうスピード感に僕はわくわくするのだ。 シートベルトサインが解除になったころ、 「左手に富士山がよく見えます」 とキャビンアテンダントからアナウンスが入る。 どういうわけか乗客の少ない今日の機内。僕は縦横無尽に機内を走りながら、シャッターチャンスを狙う。 「う〜ん、翼が邪魔だな」 と思いながらもファインダーを覗き、パチリ。 メタルの翼に触発されたのか、今日は富士もメタルカラーである。
夏本番。 山頂直下の「肩の小屋」で買った冷たい烏龍茶で体が再生したのをいいことに、高山植物の咲き乱れる最後の尾根を、ホイホイと登っていく。クールダウンの効果は計り知れないというところだろうか。ハクサンフウロや、ニッコウキスゲ、これほど花が咲き乱れる山とは知らなかった。尾根の下には、湯檜曽川が造った断崖が広がっている。 「う〜ん、次はあの尾根を歩きたい」 20年前、この笹原の山並みに触手を動かされたその上信越国境の尾根筋は、同じように続いている。
小屋の外に出ると、真っ青な空が広がっている。 初秋とは違う、初夏の山が、そこに広がっていた。 雲海に富士が浮かぶ。そして、鳳凰三山の最高峰、観音岳への緩やかなカーブが続いている。 言葉は要らない。
さわ
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