ヲトナの普段着

2005年07月13日(水) 室井佑月blog「ラブレター」への投稿

室井佑月さんのブログで、「ラブレター」というテーマで投稿を募集していますので、一編書いてみました。トラックバックでの投稿となります。


『ジイジのところにおいで』
    (神崎ヒロイ、四十三歳、まだ見ぬ孫への手紙)

 きみのジイジは、東京の下町で小さな工務店を経営する夫婦の下に、三人兄弟の長男として生まれました。
 きみが知っているように、ジイジはジイジの父、つまりきみの大ジイジが興した会社を受け継いでいます。大ジイジに「家業を継いで欲しい」とは一度も言われなかったんだけど、きみくらいの年の頃から材木に囲まれていましたからね。
 自分が選んだ道が間違っていたとは思ってないよ。ただときどき、もっと別な世界も見てみたかったなって、そう思うことがあるんです。

 ジイジにはふたりの子どもがいます。上が娘で下が息子。一姫二太郎というやつです。きみはどっちの子になるのかな。それすらわからないんだけど、ジイジはね、きみにどうしても手紙を書いておきたかったんです……


・つづきは「日々是作文」をご覧ください



2005年07月07日(木) 「日々是作文」本日発刊!

 ヲトナごっこの新たなコンテンツ「日々是作文」を、本日公開しました。書き手が同じなので大きな変化はないと思いますけど、これまでとは少し違った世界を展開できればと考えています。どうぞお気軽にご覧になってみてください……。


日々是作文
http://kaa.kir.jp/wow/sakubun/


 ちなみに内容は……

・日記
・時事
・随筆
・レビュー

 とかです。

修正----------
 リンク先URLが間違ってました……修正しました、汗



2005年06月07日(火) チャトレの花道 /あとがき

 1月14日に連載開始したこの「チャトレの花道」も、今回をもちまして一応の終了ということになりました。およそ四ヵ月半の間には、コラムにも僕自身にもさまざまなことがあったように思い返されますが、なによりも、この連載を通して素敵な仲間たちと出逢えたことは、「チャトレの花道」を回想する際の一番の想い出となりました。
 
 
 ヲトナごっこをご覧になられてる方がどの程度このウォーカーブログにいるのかわからないのですが、あそこの「作者徒然」というコーナーに、「別冊コラム」というタイトルで1月21日に僕の胸のうちを綴ってあります。当初の目論見がどの程度達成できたかは釈然としないものが残るのですが、完結させることも目的のひとつでしたので、とりあえずはほっと胸を撫で下ろしているところでもあります。
 
 書き上げたコラムは、後々記録に残さないつもりで書いた番外を除いて65篇となりました。データサイズから文字数に換算すると、およそ四百字詰め原稿用紙350枚程度になります。びっしり書いてその量ですので、一冊の本として整えるには充分な量ということになるでしょう。もちろん、本にするという意図はないのですが、そういう形を目標としていたので、とりあえず記録しておきます。
 
 作品としての推敲は、これから追々やっていこうと考えていますけど、全体としてバランスがとれる内容になっていたのか、ライブチャットというものを知らない人たちが目にしたときに、その姿が浮かぶような内容になっていたのか、という辺りが推敲のポイントとなる気がします。つまり、欠落してると思えるものやバランスの悪い点があれば、先々まだ手を入れる可能性もあるということです。
 
 これは僕の「やり方」でして、小説などはその最たるものなのですが、初稿と現在サイトで公開してるものとでは異なっています。粘土細工を丹念に仕上げていく過程において、はじめの形が次々と変化していくというのはままあることで、書き物というのもそういうものであろうと僕は考えているからです。
 
 
 チャトレとチャットの客が集うこのウォーカーという場所で、この花道を連載してみて、僕の率直な感想は「やってよかった」ということです。毎回色んな方からコメントをいただきましたが、おそらくはヲトナごっこで連載していたら得られなかったような、リアルで心あるコメントばかりであったと思います。成功という言い方はあまりしたくないのですが、気持ちとしてはそういう感じでしょうか。本当に良かったと思っています。
 
 とりわけ、男性の方々からコメントをいただき、楽しく交流できたことは大きな収穫でした。と言いますのも、じつは連載を開始するにあたって、男性からのコメントは皆無に等しいであろうと予想していたからです。これは、ヲトナごっこというサイトをこれまで運営してきた立場での予想だったわけですが、見事に裏切られました。嬉しい誤算であったと思います。
 
 書き物を主としたサイトをやっていると、テーマにもよるかとは思うのですが、とにかく男性からのコメントがありません。ほとんど女性からと言っても過言ではないほどです。そんな状況で作品を公開してきた僕のなかには、「男という生き物は、画像や映像という視覚からの情報収集には卓越していても、文章を読むという行為は苦手なようだ」というイメージがありました。いま思えば先入観というやつかなとも思うんですけど、それを打破してくれたことも、ここで花道を連載した意義のひとつであった気がしています。
 
 
 第一回目のコラム「チャトレの王道」の最後で僕は、ここにコラムを綴っていくことで、チャトレの花道というものの輪郭程度でも浮かび上がってくれればという主旨の文章を書きました。花道というのは、きっと人それぞれに自分の手で見つけ出すものなのでしょうけど、僕が綴った文章たちがそのお手伝いをできれば嬉しいという気持ちで綴ったものでした。
 
 僕は常々、切っ掛けを提供できる人になりたいと考えて、さまざまな書き物をしてきました。コラムというのはもちろん、自分のなかにある考えや意見を込めて書くわけですが、とどめを刺さずに読者に先を考えてもらえる文章が理想だとも思っています。つまりは、展開可能なコラムです。そしてそこで「情報」を提供することで、コラムを読んだ人たちが何かを考え見つける切っ掛けを提供できたとすれば、それが僕にとっては一番嬉しいことでもあるわけです。
 
 人にはそれぞれ「役回り」というのがあると僕は感じています。かつて「僕はトランポリンみたいなもんだから」と話したことを思い出しましたけど、信頼して乗ってくれた人を、何度も何度も繰り返し跳ね上げて、最後はあの澄み渡った青空に飛ばしてあげるのが、僕の仕事だと思うときがあるんです。コラムという文章に僕がこだわる理由も、もしかしたらその辺にあるのかもしれませんね。
 
 
 四ヵ月半の間、僕のコラムを読み続けてくれた皆さん、本当にありがとうございました。心から感謝します。花道を終了するにあたって、最後にひとこと、心ある愛しいチャトレたちにメッセージを書かせてください……。
 
 
花道は、きみの目の前にあります
臆せず、卑下せず、傲慢にならず
一歩ずつでもいいから
きみの足で歩いてみてください
そして
その小さな一歩を
いつまでも大切にしてください
 
 
【チャトレの花道 完】


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