連日連夜パーティだのクラブだの、日本にいる時は滅多に行かないところに行きまくっておりますが、今日は最高だった。やっとアリとカストロのゲイバーへ行きました。裸の女たちが踊るトランスセクシャルのバーだの男たちが一物を見せながらぶらぶらしてるセックスクラブだのなんてどうだっていい。私が来たかったのはここだ! カストロでも人気のバーを二件巡りましたが、ハーヴェイズ(多分ハーヴェイ・ミルクから取ったんだろう)とバッドプレイスだったかな。そもそも家の前の通りを道なりにまっすぐ来るとあの通りに出るのかって点がまず驚きでした。マガジンで調べてハーヴェイズは土曜の夜ドラッグクィーンのパーティがあることは知ってましたが、なんだかライブみたいで楽しかった。男たちがあんなに一体となって楽しげにしている姿を見るのは、気持ちがいいもんだ。私たち以外にも、ちらほら女性連れや夫婦の姿がありました。もちろんレズビアンも。お次のバッドプレイスは長い列。列の大半を占めてるのは男同士のカップルですが、男女や女女も。私はアリと一緒だったので、その中間というとこでしょうか。そこで起こった出来事はなかなか忘れられそうにない。私たちが並んでいると金髪の女性が話しかけてきました。少し話し合い、名前を名乗りあったりしてるうちに、彼女が連れの女の子を呼び寄せました。その子は明らかに何か渋ってる様子で、金髪の子を睨むようにしてました。私たちは写真を撮り合ったりしてたんですが、そのうち入口が近づき、IDなんかを用意してると、後ろの女の子が私に話しかけてきました。その時すぐに彼女がレズビアンだとわかったんですが、なんとも表現できないんですが、ビビビッときた。マニッシュすぎないレザージャケットと短めの髪で、すごく笑顔がきれいでした。中に入るとすさまじい混雑ぶりですぐに別れてしまいましたが、朝方マクドナルドを出てタクシーを待ってる時に酔いがさめ始めて気がついた。最初の女性の二人連れが私たちに話しかけてきたのは、フレンドリーだったからじゃない。並びたくなかったからだと。彼女たちは私たちの前に割り込んでバーに消えてゆきました。そのことをアリに言ったら、彼女はニヤリと笑って「私は知ってたわよ。賢いよね」と言ってました。私はなんだかがっかり。片割れが渋ってたのは、「こんなことすべきじゃない」ってサインだったわけだ。でもそれを思うと、後ろにいたレズビアンの女性は損得なしに私にあの情熱的な視線を向けてくれました。名前を名乗り、私の名前を尋ねました。こっちへ来て感じたことは、たくさんのゲイの男たちと話す機会があったけれど、彼らがどんなに親切でフレンドリーでも、その眼の中にある種の情熱の炎はない。セックスクラブで追っかけてくる男たちの眼の中には情熱はあっても、それは単にセックスがしたいからで、人間的なあたたかい感情とは程遠い。それがうざったくなくて居心地良くもあるんですが、今日彼女の眼の中に情熱的なものを見出して、とても胸が熱くなりました。もし誰かがあんな眼で見つめてくれるなら、相手が男か女なんて簡単にどうでもよくなりそうです。 さてバーですが、最高。もう最高。この場所で一番肝心なことは、なるべく男たちと眼を合わせないことです。一昨日会った素晴らしいトランスセクシャルの男性が言いました。「ゲイはゲイのもの、レズはレズのもの、トランスセクシャルはトランスセクシャルのものなのよ」と。なるほどその通りだ。一番印象に残ってるのは、トイレを出た時のこと。ダンスフロアから遠ざかったバスルームの横の暗い通路で、ふたりの男が情熱的なキスを交わしていました。一人がもう一人を壁に押し付け、何度も。BbMのイニスとジャックの再会のシーンみたいな。 私もハイテンションだったので、アリを後ろから抱きしめるようにして踊りました。 アリですが、今日でなぜ彼女がゲイバーが好きじゃないかとくとわかった! 理由は簡単。彼女が世界の中心になれないからです。今日もまたアリに関してはムカつくこと百回でした。だからゲイバーで彼女が男たちから求められてない姿を見るのは気分がよかった(笑)。つまり、カストロのゲイバーは、男が男を求める場所だということです。中には女がいることを面白く思っていない男もいると思いますが、そういう男は、アリに対しても素っ気無いんですよ。それがどれほど彼女にしてみれば屈辱的か。一歩カストロから外へ出ると彼女を求める男たちが溢れかえっているというのに、彼女が一番求めている類のハンサムで若い男たちは、彼女に見向きもしない! なんという皮肉! わっはっは! それじゃスラッシャーの私とかわらないじゃないか。だから彼女はばからしいセックスクラブだのトランスセクシャルバーに行くんですよ。だから今日またセックスクラブへ行った帰りに言ってやりました。「アリ、今日気付いたんだけど、カストロのゲイバーには最高の男たちが集まってるよ。それに比べたらあんたの好きなセックスクラブやトランスセクシャルバーに集まってくる男どもは、掃き溜めだね。年寄り、移民、醜男、みんなまともな女は相手にしない類の男ばかりだよ」とね! でも実際そうなんですよ。イースターの日は特別でしたが、今日なんか、クラブにはハンサムな男は一人もいなかった。そりゃそうだ、不自由してなければあんなとこに誰も来ない。売春婦を買う男にそうそう美男子がいないのと同じ。 ところで、一昨日アリとグラシアとマクドナルドに行った時、アリの友人の店員のトランスセクシャルの男性(仕事中は男性)と話しました。彼は素晴らしかった。グラシアさえ、私に「OMG,トランスセクシャルってどいつもこいつもアホタレだと思ってたわ……彼はスマート」と耳打ちしたほどです。彼の人生観、向上心について、アイデンティティについての話には胸打たれました。その時グラシアも、私は朝が来ると今日も戦いに行こう、と思う。今のクラスで黒人は私ひとりで、それを理由にカリカチュアで何人かの生徒がグループを代りたがったのを知っている。でも今では皆友達だ。リカルドやアンディも最初は私を典型的な黒人だと思って接してきたけれど、いつも自分の意見をしっかり述べて誠意を持って人と接することで、まわりは変わった、と話していました。グラシアは素晴らしい女性です。でも、とても保守的なキリスト原理主義者です。彼女に会えたことはこの旅の大きな収穫でした。クリスチャンとしての彼女の話を、彼女がどんなに高徳な人でも、鵜呑みにすることはできません。私には違う意見がある。彼女は毎日アリのために祈ってるといいます。アリが悪い行い、つまり同性愛から足を洗って女性を愛するようになるようにと。私は彼女に、「男同士の間に本当の愛は存在すると思うか」とたずねました。彼女は「存在しない」と言いました。同じことをアリに尋ねると、「絶対に存在する」と言っていました。グラシアの考えを、私は恐ろしいと思う。でもそれと同じくらい強く、彼女が素晴らしい女性であることは間違いないと思います。 こんな話をしていると、アリは顔を伏せて眼を涙で濡らしていました。私はこの街に小説を書くために来ました。でももしも私たち三人が言ったことを、ある日アリが理解し、心を入れ替え、バカな真似をやめて、一人前の女性に成長し、誇りを持って故郷の家族に会いに帰る日が来るとしたら、もちろんそれ以上に、素晴らしいドラマはありません。
昨日の夜は4時過ぎにアリとアビールというサウジアラビア出身の彼の友達と帰ってきたのですが、あんなに酔っ払ったのは初めてでした。自分の声も自分の顔もまるで他人のもののようでした。 昨日は正直アリに飽き飽きしてしまいました。その前日にアリは私がいない間に私のパソコンでアダルトサイトを見てスパイウェアとウィルスに感染させて、まともに起動もできなくするという大変なことをしでかしてくれました。昨夜は彼とグラシア、ノブたちのスクールのグッバイ・パーティへ私も行き、ものすごい混雑の中、何人かの人と話した程度で、はっきり言って退屈でした。ただ韓国人のジョンとまた会えたり、何人かの日本人と知り合えたのはよかった。ジョンは来週LAへ車で行って、二、三日友人に会ってくるらしく、よかったら一緒に行かないかとのことでした。ジョンはナイスガイだし、月末(五月頭)にLAに行く予定がなければ行ってるところです。 パーティの後、アビールとアリとトランスセクシャルのバーへ行き、その後24時間ダイナーでご飯を食べました。ダイナーでは私の真正面の位置に座った男四人の若者の集団がゲイのカップル同士でした。かなりベタついてました。バーではストリップショーみたいのが見れたんですが、退屈。女たちの裸を見てもやっぱりピンと来ない自分を発見。でもアビールはいい人で、サウジアラビアのことやムスリマのことをいろいろきいたら、ちゃんとこたえてくれました。同じアラブ出身でも彼女はインテリジェントで、しっかりしていて、アリとは全然違う。アリに飽き飽きしてしまったというのは、人間的にはグラシアやアビールははるかに素晴らしいのに、アリは短いスカートを履いて高いハイヒールを履いてカツラをかぶり、二時間かけてメイクアップしてるもんだから、歩く先々で男たちが、時には女たちもが集まってくるからです。昨日も乗ったタクシーの兄ちゃんと電話番号を交換し、すぐに電話がかかってきて、ダイナーから自宅へ帰るタクシー代が浮きました。こんなことは彼女には日常茶飯事。私がこういう気持ちになったのは、一昨日アリの男性の姿を見たからだと思います。今日は男の格好で行くからカストロで待っててと言われたんですが、そこで見た彼は、どぎつい化粧をした女装のアリよりもはるかに素敵な、ナチュラルな姿の彼でした。彼はもともと線が細く、髪がけっこう長いのでそのままでも女性か男性かわからない雰囲気があります。その姿の彼は特段眼を引く存在じゃない。他の女性や、男性と同じ。それで思いました。私はグラシアなんかはかなりきれいだと思う。だから彼女や他の女性たちがアリのようにメイクアップし、ドレスアップし、同じように振舞うことはいくらでもできるということです。でも彼女たちは自分を安売りはしないというわけだ。短いスカートを履いてその夜のタクシー代を浮かせることはできる。でもしない。それは女性個人の体験の集積が彼女たちをそういう方向へは向かわせないからです。男性に裏切られ、傷つけられた経験を誰もが一度や二度体験している。年頃にメイクアップをしてる時に兄弟に笑われるとか、そんな小さなことだとしても。あるいは女性たちが避けて通れない生理なんかも。アリやトランスセクシャルバーの女たちには、そういう経験がない。そこんところは、非常に興味深い点です。何をして女性らしいと言えるかはわからないけど、もしもいつかアリが女性として痛い目に遭った時、私って何だろう……と考えることがあるなら、その時こそ彼女は真の意味で女性になるんではないか、と思いました。 とはいってもアリにも見捨てがたい一面があります(一面どころか、もっとたくさんある)。私と彼はヴァンネスストリートを歩いていました。ふと見上げるとそこにGLBTセンターという看板が。アリがどうしても何かが中で起こってるか見たいというので、私たちは中に入りました。そこはGLBTのヘルプセンターで、そういうところを訪れたのは私もはじめてでした。アリは私に「あなたはレズビアンてことにして話を聞きに行こう」と言ったので、嘘をつく必要はない、まあとりあえずバイだということで、SFにはゲイの文化を知りに来たと言うと言いました。 その時、ヘルプセンターの女性と交わしたアリの話の内容は、ちょっと胸打たれるものだった。 私も自分のプロジェクトに関することでいくつか質問することができました。回答には満足できませんでしたが、ちょうどヘルプセンターで働く人物を書こうと思っていたところなので、アリのおかげでヘルプセンターがどういうものかわかってよかった。ちなみに、その後アリは面白いところがあるの、と行って私をある場所へ連れて行きました。どんな場所かというと、いわゆるゲイのマッサージクラブ。慌てて「ここには私は入れない!」と言ったのですが、いつものごとく「話を聞くだけよ」というアリに押し切られて中へ……でもそこの受付の男性が、すごくナイスだった。アリが「ここがどういうところか教えて」ときくと、「もちろんいいよ」と爽やかに笑っていろいろと教えてくれました。アリがマッサージしてるところを見たいと言うと、さすがにそれはできないと言われましたが。当たり前だろ! 後で「マッサージと言っても、フェラをしたりするんだよ、わっかってるの?」と尋ねたら「ただのマッサージだと思ってた」と言っていました。 こっちへ来て望んでいた体験はだいたい済ませた気がします。あとはアリとゲイバーに行ければ充分です。DVDも買ったし。 昨日のパーティで、ゲイと噂の教師と話しました。彼はとても素敵な人で、ノブたちに「彼はゲイだと思うか」ときかれて、そう思うと言いました。私にはBbMのランドールに見えてならなかった。かなり似てた(笑)! 彼に自分はゲイのことを知りにここへ来たんだ、という話をしましたが、そのトリックにはさすがに引っかからなかった。後でアビールに、彼は生徒のリカルドが好きって噂だと教えて貰ったんですが、そのリカルド。昨日はクラスのアンディの誕生日で、それも盛大に祝ったんですが、発案したのはアンディのルームメイトのリカルドでした。この人らのことは、私はその場で会っただけで全然知らないんですけど。で、そのリカルドと肩を組んだアンディ(どっちもハンサム)が、俺の最高のルームメイトさ! と叫んで公衆の面前で頬に熱いキッスを! お前ら、純粋な友情か!? と疑ってしまいました。 今日はここまで。そうだ、昨日真夜中の相棒を読み終わりました。また感想でも。
昨夜については、今日は疲れてるので簡単に。昨日書いた通り、昨日私はアリに連れられてアダルトシアターへ行きました。あの場所は正式になんていうのか調べたところ(というか、インフォメーションセンターで手に入れたフライヤーの中にそこのもあったことに後で気付く)、あそこはアダルトシアターというらしいです。三十ドル払えばいくらでも好きなだけ滞在できる場所で、ステージで裸の男があんなことやこんなことをして(生本番セックスではない)、客の間を一人ずつ廻ってくるのでチップを払えば触ったりキスしたりできたり、小さなブースで70種類のビデオを見れたり(フライヤー参照)、ショーが終わった後の男優のシャワーを観賞できたり、ビデオにムラムラきたらブースに入って誰かとセックスできたり、もちろんショップもあってアダルトグッズやDVDを買えます。 シアターは日曜の夜ともあって空いてましたが、最初に来たブラジアリアンのguyはすごくセクシーでした。私のところに来た時、アリがいろいろ話して、「イくところが見たい」と率直に要求してましたが、それはだめなんだとのこと。でも彼はほんと、よかった。何度か廻ってきたので札をソックスに挟むと、私の耳や首筋を嘗めたり甘噛みしてくれましたが、最 高 だ っ た 。もちろん身体のどこだろうと触りたい放題。ダンスもセクシーで、今日アリとダンスを真似して踊って笑い転げてました。アリに尋ねると、女相手だとどうか知らないけど、彼らは客が望めば(お金を出せば)売春もするとのこと。男だったら通いつめてもおかしくない……! 最初は恥ずかしかったんですけど、そのうち慣れてきたので、ソックスに札を入れてassに触りたいと言うと、もちろんいいよと言って後ろを向いてくれました。彼の尻肉を揉みしだく(死)と、いい声で喘いでくれました。彼のassを優しく撫でて、突っ込もうとした時、突っ込むものがないことに気がつく。ああ、でも彼は最高だった。彼のシャワーも見ました。客は私たちだけだったので、チップを入れるとかなりサービスしてくれました。シャワーで何をしてくれたかは、小説の中ででも書きます。 帰りにDVDを見たのですが、気に入ったシリーズを買おうと店員に言うと、このシリーズはものすごく高いんだと言われました。そこでだ、過ちを犯したのは。DVD三枚に300ドルを費やす。翌日眼が覚めた時にばかをやったことを後悔したことは認めなければなりません。DVDは最高だったにしても。店員はいろいろと薦めてくれました。私がおしっこをかけるのが見たいと馬鹿まるだしで言った時も、内心この女いかれてるなと思ってたとしても、慣れっこという感じでいろいろ薦めてくれました。アリがpissingって何? pissingって何よ! と喚き出したので何とか説明しようとしたのですが、私にはできなかった。すると店員が「あ、pissingっていうのは誰かにおしっこをかけるやつだよ。ウォータープレイって意味だよ」と説明。アリは渋い顔をしてそんなのは嫌いと言ってました。彼女はけっこう好みはノーマルでロマンチックです。まあ少なくとも私よりはましでしょう。 ところでそのDVD,XXXレイトのサンタモニカだかどっかを舞台にしたチープなドラマなんですが、萌えた〜。シーズン1のエピソード3まで見ましたが、なんといってもep3のファックが最高だった。タブロイドみたいなゲイ雑誌の編集者として働いてる男がいて、その恋人が浮気してセックスしてるところ(このシーンもホット)をパパラッチに盗撮されるんですが、この浮気してる恋人を助けるために、そこの意地悪でサディスティックな編集長(いつも彼を顎でこき使う)に抱かれるんですが、この受け男が物凄くいい声で喘ぐんですよ。たいして美形でもないんですけど、彼がポルノアクターになれたのは間違いなくあの喘ぎ声のためかと思われます。アリはあんまり声を出す男は好きじゃないそうですが。なぜかな。あんなに嗜虐心をそそられるのに。この受け男と浮気がちな恋人の関係が、なんとなく(全然違うけど)キースとデイヴィッドを彷彿とさせて、デイヴィッドを投影して見たので余計に萌えました。ハーヴァードを卒業した俺がどうしてこんなとこでこき使われなきゃならないんだ、みたいなことをぼやいてる冴えない真面目男だというのも、なんとなくデイヴィッド似。それがベッドでは雌犬に豹変。 今、ちょっとした事件が起きました。詳細は後ほど。 あまりに驚いたのでこんなエロ日記を書いてる余裕などないのですが、ここは冷静に。 そんなこんなでとにかくも、その後トランスセクシャルのバーへ行ったのですが、そこでもクレイジーなことが続きました。きれいなトランスセクシャルの女性がたくさんいる中、何人かの女性が私と話してくれたのですが、そのうちフィリピーナ(でも生まれはミシシッピ)の女性が、日本人大好きと言って自分の日本にいた時の体験を話してくれました。彼女の話では、日本にいた頃つきあってたボーイフレンドはヤクザで、彼女に何でも買い与えてくれたから日本が好きだとのこと。ニコニコして「ヤクザだったの。でも死んじゃったの。抗争で殺されて」と言っていました。そうか……。そこで出会った男たちもけっこうクレイジーでした。一番クレイジーだったのは、バーでアリに話しかけてきた男。結局帰り、彼のコルヴェットで送って貰うことになったと突然アリに言われて私はやめた方がいいと言ったのですが、アリは「タクシー代が浮く」と言い張って乗ってしまいました。なんて言うのは言い訳で、まあ結局は私も乗ったわけです。コルヴェットの中で男は、自分の弟はゲイなんだが、俺は弟を犯したことがある、と言ってました。どんな男かこれでわかると思います。本当かどうかはわかりません。相変わらずアリは私がゲイセックス好きだと言いふらしていましたから、リップサービスのつもりだったのでしょうか。ファンタジーとしては、萌えることを認める。だけど現実に聞くと、disgustingです。ともかくも私は家につくと早々に引き上げたのですが、男は私が去るのには不満げでしたが、アリが残ると言ったので気を良くしてました。それでもって車は去り(心配だったのでキッチンの窓から見に行ったら車がなかった)、一時間後にアリが戻ってきて私の窓を叩き、開けろというのでドアを開け、ふたりでキッチンに行ってイースターのディナーの残りものを食べました。翌日にバレてビッグママに呆れられましたが。アリの話では、男はただ海岸でアリをしゃぶってくれたとのこと。私は男に、トランスセクシャルが好きだというけど、ペニスがあってもいいのか、ときいたらまごついてました。彼はアリにペニスがあると知って驚いたんじゃないかと思うんですが、実際どうだったかは知らん。 さて、さきほど何が起こったかを書きましょう。今はもう4時ですがとても眠る気にはなれません。今日のタイトルの後半の意味を。 さきほどまで私は、「今日はいい日だ」としみじみ感じていました。今日はアリが出かけた後でグラシアとビッグママといろんなことを話し、グラシアの話はとても感動的でした。グラシアはなんて素敵な女性なんだろう。私は本当に彼女が好きです。ここの住人は、カミーは少しうざったいですが、他のメンバーは皆好きです。香港出身のクリストルは愛想けがなくて、ビッグママも「あの子はフレンドリーじゃなさすぎる」と言ってましたが、彼女は私に「今日は何してたの」などとそっけない態度ではありますが訊いてきます。アリや他のメンバーにはつれない態度らしいので、彼女の私に対する態度はましな方かと思います。そして日本人の男の子、ノブですが、今日はネットが出来なくなった理由をお互いに話し合ってる間に、爆笑する展開に発展し、かなり打ち解けました。いや〜笑った。ネットができなくなった理由があまりにアホらしくて。 グラシアとビッグママとはアリのことを話し合いました。彼女には確かにかなり問題がある。ママはアリに出て行って貰うか検討してるとのことでした。彼女が自分では何もできない理由は、彼女がアラブの富豪の息子で、たぶんアメリカのビザを取れたのも話の雰囲気ではそれが理由で、彼女は子どもの頃からすべてメイドたちにやってもらっていたからです。彼女は月に四百万円くらいの仕送りを受け取っていて、サンフランシスコからサンノゼまでタクシーで行ったことがあるそうです。何万円払ったと言ったかは覚えていませんが、タクシーで行ったのは「行き方がわからなかったから」だそうです。でも彼女は「マンハッタン」という言葉すら知らない! 彼女は確実にどこかが、何かが壊れています。環境がいかに人間にとって大事か!でもアリはどうしても憎めない。彼女が自分の国でゲイだと、あるいはトランスセクシャルだとバレたら殺されるか罰を受けるだろうという境遇や、部屋の片付けや食器をさげることも出来ず、中国という国が存在することも知らない(chinaという単語を知らないだけかもしれない)彼女が、時々「私は何もできない」「何も知らない」と恥ずかしげに言う時は、彼女を可愛いと思います。今日ふたりで電車に乗っていて席がひとつ空いた時、私がhave a seat, lady firstと言うと、彼女は嬉しそうに座りましたが、それを隣で聞いていた男性が笑って、次の駅で「君の番だよ」と言って降りる前に譲ってくれました。 そんな前置きの後で今晩のことを書きましょう。現在4時前です。私がここでこの日記をタイピングしていた深夜の2時半に、通気口を通しておかしな物音が聞こえました。窓を壊すような、何か普通じゃない音でした。アリは戻ってるし、他の皆も寝てるのは知っていました。娘のカミーは友達の家に泊まりに行っています。もしかしたらルーシーかもしれない、イースターディナーの後で、まだケーキなんかがテーブルにあるから。しばらく放っておくと、また物音が。私は部屋を出て地上へ続く階段を上がりました。私の部屋がある地下の階段を上がると、すぐ玄関のドアが待っています。玄関に出た時、確かにダイニングの方から物音が聞こえます。その時私が思ったことはみっつ。誰かが何かを貪っている。誰かが部屋に火をつけて燃えている。誰かが中へ押し入ろうとしている。もしこの家の誰かが鍵を忘れて入り込もうと下手に努力してるなら、彼らは私の窓を叩きに来るはずです(私の窓は叩きやすい)。すぐに、これはこの家の誰かがやったことではないとわかりました。私はただドアの前に立ち、絶え間なく続く貪り食うような、薪がパチパチと燃えるような、誰かが忍び足でどこかを歩き回っているような音を聞いていました。そのうち、何かが崩れ落ちるような、物がどしゃっとぶつかるような音が聞こえ、私の不安は確信に変わりました。誰かが中にいる。 その時、不意に気付きました。私は震えている。ダイニングに行って中を覗くべきか? いや、それは絶対に賢明じゃない。絶対に!もし誰かが押し入ったなら、十中八九、銃を持ってるはずです。こういう瞬間に人が考えることというのはまったく不可思議です。私の脳の一部は麻痺したようになって、身体が震えだし、特に膝が自分でも信じられないほどガタガタ言い出していますが、別の脳の一部は恐ろしく冷静に考えているのです。エマージェンシー・ブレインとでも命名すべきかもしれません! その狡賢い脳は即座に、ダイニングに誰かがいるとするなら、どうやって逃げるべきか、第一退路が玄関として、第二退路はガレージを通って別の階段へ行き、ドアに鍵をかけて、窓から外へ……あの窓は鍵が開いてるはずだ……なんてことを考え始めていました。私は立ち竦んだまま、まだ見に行くべきか、逃げるべきか、それともすべてなかったことにして、忘れて、鍵をかけてベッドで寝るかを決められずにいました。物音は続いています。三番目の選択肢は現実逃避の愚か者がとる行動だとわかっていても、恐怖に立ち向かう勇気がなかなか出ません。そのうち、ビッグママが二階から叫ぶ声が聞こえてきました。「物音がするわ。誰かキッチンにでもいるの。誰が下にいるの。こたえなさい!」恐怖は倍増。彼女は私のことを言ってるのか、私の足音を聞きつけたのか、それとも、あの物音を? とにかく彼女が警察を呼ぶ前に、何かこたえるべきだと思い、何か言いましたが、覚えていません。ただ彼女がきびしい口調でもう一度私に質問したことに、何もわからない。でも私にもあの音が聞こえる、と言ったことだけは覚えています。ビッグママは階段を下りてきて、きびしい口調で「誰かいるの!? ハロー!?」と叫びます。物音は続きます。その時には私もだいぶ落ち着いていました。というのも、もし相手が誰か侵入者なら、彼女の声に何かしらの反応を示すはずです。でも、音は絶え間なく続いています。 私は玄関ドアの覗き穴から外を見ましたが、幸いなことに誰もいません。ビッグママは私に一緒に見に行こうと言ってきましたが、私ははっきりとNOと、私には行けない、とこたえました。ビッグママは笑っていましたが、彼女も相当怖がっていました。とりわけ、また何かがどしゃりと音を立てて落ちる音が聞こえた時は、思わずふたりで小さなうめき声のような、悲鳴のような声をあげて、玄関に走り寄ったほどです。彼女は「動物に間違いない」と言いました。私もそう思いました。ビッグママの声に動じる気配がなかったからです。私の膝はガタガタ震えていました。 ビッグママはグラシアやノブを大声で呼びます。彼女は決心して、ダイニングの傍の廊下を通ってノブを起こしに行きます。深夜の2時過ぎです。なかなかノブは起きてきません。やっと彼が起きてきた時、ビッグママは何か動物のようなものがダイニングにいる。見てきてちょうだいと命じます。ノブは強張った表情でダイニングへ。ビッグママが「ドアの裏を見て」と言い、ノブは慎重に見に行きます。でも、私には彼の背後から見えました。窓ガラスが割れている! 私がそう言うと、ノブが窓ガラスに近づきました。そこでやっと事態が飲み込めました。私が聞き続けていた音は、ダイニングの巨大な窓ガラスが少しずつ床に落ちていく音だったのです。その巨大な、大の男が手を伸ばしてやっと上縁に届くほどの巨大な窓は、車のフロントガラスのような素材でできていて(たぶんこういう事態のために)、物がぶつかっても派手に割れず、小さな丸い破片となってぼろぼろと落下するのです。時には塊で。私たちが聞いていたのはその音でした。 窓ガラスには大きな穴が開いていました。すでにかなりの破片が落ちていたからです。でもその穴から誰かが侵入できるほど、大きくはありません。窓は放射状に割れていました。ガンショットは聞いていないので、石か、モデルガンででも撃たれたのでしょうか。その時二階からグラシアも降りてきました。 まだ恐怖を感じてはいましたが、一安心です。でも正直、間違いなく誰かが押し入ったんだと思ったから、滅多にないほど、いや、死ぬほど怖かった。ビッグママはすぐにSFFD(サンフランシスコ消防局)を呼びました。彼らの到着は遅かったのですが、その間私たちは安堵のために力が抜けてお互いの状況について語り合い、笑い転げていました。私は自分は度胸のある方だと思ってたけど、そうじゃないことがわかったと言い、ノブ、最高! 男たちよ、万歳! と男たちの勇敢さを讃えましたが、ノブはビッグママに「行け! 見ろ! ドアの後ろ!」と命令を下されたからだと言って笑ってました。グラシアになぜすぐ来なかったのかとママがきくと、最初夢の中だったから、と言ってましたが、最後には「怖くて降りてこれなかった」と告白し、皆で笑いました。ノブにも聞いたところ、真夜中に切羽詰った声で起こされて滅茶苦茶怖かったと告白。ビッグママも、ダイニングへ行くか、ノブを起こしにいくか選択を迫られ怖かったと。膝の震えはしばらく止まりませんでした。ビッグママはルーシー(犬)に、「行きなさい! 行きなさい!」と命じたのに、彼女は二階の階段の上で身を竦めていただけ、そして私に一緒に来なさい、と言うと、私は真剣な顔でNOと首を横に振ったと言ってまた爆笑。でも何より笑えるのは、アリがこんなに時にぐっすり眠ってることだ、と言ってまた一笑い。ノブは音をうっすらと聞いたけど、雨だと思ったらしいです。 SFFDは二十分も待たせてくれましたが、サイレンの音が近づいてきて、こんなにほっとしたことはありませんでした。到着したのは二台の消防車。入ってきたのはカッコいい消防服姿の男たち、そして見るからにタフそうなふたりの女性。私はずっと彼らが何をどうするか見てました。彼らは窓を全部叩き割って壊しました。窓は巨大で、壁一枚分に相当したので、ただでさえ寒い家がシベリア並みに。firemanは白人も黒人もアジア人も女性もいて、女たちは皆同じことを考えていました。こんな素敵なfiremanが十人もやって来たのに、起きてこないアリはどうかしてる! このことを後で口にしたのはビッグママでした。仕事をするfiremanのセクシーさは半端じゃない。ここはSF。あのハンサムなfiremanはもしやゲイでは……なんてことを考えられるほどには、落ち着いていました。 できることなら、本物の警察が家の中を取り調べる姿を見てみたかった。firemanは事後処理を終えると、ビッグママにいくつか質問し、説明し、簡単に調べて、去っていきました。こういう事件じゃ、犯人の特定や証拠品の収集なんかはしないんですね。ただ掃除して帰っていったという感じです。 書き終わった今もやはり怖い。でも正直、いい経験にはなりました。さっき考えていました。狼のラストの方で、カールが犯人の家を訪問した時、その家が犯行現場だと気付いてどうすべきか悩むシーンを書きました。カールは恐怖の中に飛び込んでいきます。自分が似たような恐怖を味わった後で思うことは、恐怖と対峙するのはとても難しいということです。それには多分何か得るものや、守らなければならないものが必要だと感じました。もし私がこの家のゲストではなく、主だったら、私は行ったと思います。なぜならそれ以外に方法がないから。それをしなければならないから。でも私には、この家に対して何も責任がありません。たとえば兵士が戦場へ行く時、警察官が通報を受けて銃を持った男の家に踏み込む時、彼らには責任があります。誇りもあります。そのために彼らはその瞬間を生きているといえるわけです。「男にならなければ」と感じる時、彼は責任を背負っているんだ。そうでもない限り、とてもじゃないが、恐怖に立ち向かって行くことは難しい。裏を返せば、その責任感こそが彼らを死なせるわけだ。ビッグママは娘がいない時でよかったと言っていました。おそらく子どもを持つ母親も兵士のような強さを示せるというのは、すごくわかる気がする。 明日は平和な一日でありますように。
|