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2004年11月27日(土) ヘタイロイ萌えレビュー

今は夜の10時過ぎ。さっきシェラトンの一階でご飯を食べて
きました。うまかった〜。今日はクリスマスパレードがありました。

アレクサンダーレビュー第二弾です。今日は大部分萌え話。
昨日の訂正などもあります。
ネタバレを含む詳しい内容解説と感想です。
今日観てきて、やっぱり私はこの映画が熱烈に好きです……。
昨日はあえてアレ&ヘパが不満と書きましたが、映画に詰め込まれた
二人のシーンはどれひとつとっても胸が締め付けられます(でも今日は
野次が飛んだ)。二度目で、やっぱりジャレヘパは美しいと再認識。
昨日から大王受だと言ってましたけど、二回目はヘパが受に見えました。
おかしいな(笑)。
昨日は聞き取れなかった台詞や、気づかなかった細かいショット
に目を配れたということもあり、一体なんで
昨日はあんなに大王受に見えたのか考えてみたんですが、
最初のレスリングシーンが想像と全然違ったことにありました。
私は当然少年アレクサンダーはヘパを打ち負かすと思ってたんですが
(ここで主人公が負けるはずはないと思っていた)、この時アレクサンダー
はヘパに打ち負かされるのです。これにはちょっとがっかりした。
というのも、映像ではヘパを打ち負かしながら、プトレミーの
ナレーションで、まったくその逆のこと:「アレクサンダーは
たった一度だけ負けたことがある。ヘパイスティオンの腿に」を
挿入するなら、この演出の巧妙さと印象の鮮烈さは
見事だと思っていたのです。でも、事実格闘シーンでもヘパは
大王を負かしていて、そのシーンがやけに印象的で、大王受だな、
と妙に納得してしまったんですが、二回目を見ると、またちょっと印象が変わりました。だいたい劣情なんて催さないぞ、誰だあんな嘘を書いたのは!

コーナー・パオロの少年アレクサンダーはまさに神児です。
それに比べてヘパはちょっとかわいいだけの凡庸な少年です。
それが19歳になると一転、ブロンドの紅顔の美少年はコリンに
早変わり(失礼な!)、逆に凡庸な少年はジャレッドに変わると、
やけにオイシイ。

それと、昨日書いた「カサンドロスはアレクサンダーにキスをしてる」は
まっかなうそで、カサンドロスがキスしてるのは、たぶんペルディッカス
です。
将校一人一人の感想です(ネタバレを含みます)。

>カサンドロス

オリバーがジョナカサを映画に投入した理由についてはファンフォーラムでも揉めて
ました。実際はカサンドロスは遠征には参加せず、マケドニアに残っていました。
でもやっぱりジョナカサがいるのといないのとでは、映画の印象が
まるで違います。なんといっても、彼は痺れるほど美しい!
どのショットを見ても(彼だけは無髭を通すんですが)、どの髪型も
衣装も、立ち振る舞いも抜群にセクシー。マケドニア兵士間にジョナカサ親衛隊の
ひとつや二つ出来てること間違いなし。でもアレクサンダーの好みじゃないんだな。
オリバーがどこまで意図してるのかわかりませんが、カサンドロスは大王を
言葉巧みに持ち上げるタイプです。途中で、他の将校同様大王への愛を失いますが、
それでも彼は大王にピュアな恋心を抱いていたのでは。ficの領域かもしれませんが、
大王はおだて上手な彼の本性を見透かしていたんじゃないかな。あるいは自分への
気持ちも(笑)! 大王は時には調子に乗せられても、そういう男は本当には信用
しない。映画の中で大王はヘパに「この世で信頼出来るのはお前だけ」と言いますが、
プトレミーやクレイトス、ペルディッカス、クラテロスといった彼のお気に入りの
部下たちは、タイプは違えど皆アレクサンダーに正直です。カサンドロスは、私が
想像していたほど(彼には、大王暗殺説がつきまとう)冷酷な人間としては描かれて
いませんでした。どこか冷酷そうなところはありましたが、表面化することはありません。
ただ、彼の大王の死直後の態度や最後に述べられたその後の彼の行動から考察すると、
私利私欲のためなら手段を選ばない男です。つまり、カサンドロスはひっそりと野心
を秘めるタイプでしたが、いよいよになるまで牙を覗かせなかったといえます。
いつでも冷酷になれたのに、そうならなかったのは、大王への個人的な愛が妨げに
なったからではないでしょうか。勝手に想像しすぎっつーか絶対fic書くわ!
ついでに、「落ち着け、アレクサンダー!」の発言はヘパではなくジョナカサのもの
でした。ヘパを失い、狂人じみた大王の狂乱につき合わされながら、化粧を施された
女のように美しい顔に、うっすら涙を浮かべるカサンドロスの美貌は圧巻です。
少年カサンドロスは、少し大王たちより年上の少年で、やはり美しい。マケドニアの
毛深男たちが、遠くからこの少年たちを指くわえて見てる光景が目に浮かぶ。
「ヘパちゃんファン」「カサちゃんファン」「アレさまファン」とか宣言し合って、
早くもう少し大きくならないかなァ〜と日々夢想しながら、髭男たちがポエムなど
作ってる姿を想像すると、のた打ち回りたくもなります。
十年後にこのアイドルたちにケツを蹴り上げられまくることなど露知らず……(憐)。
ちなみに、カサンドロスにはメディオスという愛人(無論男)がいたそうですが、
映画には登場しません。手記の中で「アレクサンダー大王とは、和解しきれない
確執があった」と自ら述べているそうですが、映画の中でヘパに「お前は
間違いを犯してる、ヘパイスティオン!」と叫んでいるのを見ても、
「(大王への)愛に報いて貰えなかった男」だったと考えるのは、
当然腐女子の義務です(笑)。



>クレイトス
数限りなく場面をさらった男、として今やゲイリー・ストレッチへの信頼は
不動のものに。ヴァル・キルマーとアンジェリーナ・ジョリーと彼が最高の演技を
している、と言われているのも頷けます。しかしちょっとオリバー、クレイトスを
贔屓しすぎでは! クレイトスのおいしいシーンの1/3でもヘパに譲ってくれてたら。
でも、クレイトス殺害のシーンが齎す衝撃を伝えるためには、彼にリッチロールを
与える必要がありました。
初登場は、少年アレクサンダーがブケファラスを見出すシーン。
この時すでに髭のないハンサムなクレイトスは場面をさらっています。
フィリッポスに檄を飛ばされながらブケファラスを乗りこなそうとするクレイトス
ですが、暴れる馬相手に完敗。映画のクレイトスは、どう見てもフィリッポスの
愛人です。
「ちくしょう、駄目ですぜ兄貴」と面目を潰されて面白くない
クレイトスがやたら可愛い。この場面はフィリッポスもすごくいいです。
ヴァル・キルマーにはぜひ助演男優賞と名のつくものを総舐めにして貰いたく。
少年アレクサンダーが乗りこなすと、フィリッポスの隣で半分は心から祝福しつつ、
素直に喜べないクレイトスのふてくされた表情がく〜っ! アニキ! いい!
お次は宴の席で、ヘパ以外眼中にないアレクサンダーに女を担いで持ってくる
クレイトス。でも結局女は彼も眼中にないのか、愛人の息子のアレクサンダー
の顔を掴み、「愛してるぜ、アレクサンダー!」と言って最初に額に一度、
次は唇に一度キッス。
はにかみつつ、うざったそうに「俺もだ、クレイトス」
と言うアレクサンダー。するとクレイトスを後ろから羽交い絞めにして
ヘパが何か言います。今日もクレアレキッスに脳が白くなってたせいで、
聞き取れなかった……。この時、蛇足ですがカサンドロスとペルディッカスも
キスしてます。いやもうこの宴のシーンは、いかれてます……。
この時、アッタロスやほかの武将たちとは一緒にいないクレイトス、世代も近い
ことからアレクサンダーらと仲良くやってるのも面白い。
ガウガメラ戦の前夜、将校たちが作戦会議を開くのですが、この時の彼の
「どうせ俺たちは死ぬんだからよ」という開き直りっぷりもカッコよすぎる。

大王史では有名な、クレイトスがアレキサンダーを助けるシーンもありました。
大王をガキ呼ばわりするのなんてウォーだ!
クレイトスの殺害シーンは、コリンもゲイリーも周りの男たちも皆、熱演していて
瞬きもできない素晴らしさですが、オリバーは本当にこういう小さいアクション
がうまい。
この他に私が気に入っているシーンとしては、ちょっとフェミニンなギリシア男
を傍にはべらせて「男はどうだ?」と言い、野卑な笑いを誘うシーン。
クレイトスはバゴアスを「きれいなペルシアの男の子」と侮蔑をこめて言い、
自分はギリシア男以外には絶対に手を出しません。ペルシアの女には手を出して
たけど(笑)。
それと、ダレイオスのベッドに「イエ〜イ!」と飛び乗るシーン! 大王が
寝転がってる隣に割り込むので、アレ&ヘパファンは「そこはヘパの場所だ…
クレイトス……」と思わず呟くところ。
もうひとつ、ヘパにちょっかいを出し、冗談で小突きあいになり、思わずヘパを
殴るひじょうに小さくまとまったスニペット。ペルディッカスがとめるのもいい!
漫画だと四コマという感じ。バゴアスが大王の前に現れるシーンで、ヘパが瞬き
する時の効果音を入れるのなどもそうですが、こういうコミックリリーフが
すごくうまい(少なくとも私好みです)。

でもクレイトスシーンを回想していると、ひとつ奇妙に符合しない点が。
フィリッポスは暗殺される直前、アレクサンダーに「クレイトスだ。
一番信用できる男だぞ」と言うのですが、宴会で大王にキスをして「愛してるぜ」
と言うシーンは絶対にその前の出来事。あれ? 時間軸おかしくないかな。
明日、もう一度確認してきます。

というわけで、私は相当クレイトスに入れ込んでいることが、上の文章を
読み直してわかった(笑)。


>プトレマイオス

エリオットのプトレミーはたいしてセクシーじゃない、というのは
大 き な 間 違 い だ っ た ! たぶん、凡人ではないが大王ほど
天才的ではない、秀才肌。冷静で、物事を分析する能力があり、ある意味、
大王の部下たちの中ではペルディッカスと並んで一番オトナ。勿論エジプトを
掠め取ったくらいだから権力欲は強いに違いないけれど、大王の陣営内では
寡欲な方。ちょっとトロイのオデッセウスに共通点を見出せます。
ガウガメラでの弓射るシーンはかっこいいけど、彼が光ってるのは静かに
頭を悩ませてる時です。しかしながら、年老いたアンソニー・ホプキンス
と若きプトレミー像との間には断裂があります。二人は同一人物とはとても
思えません。
権力争いの中で強欲で饒舌な爺になってしまったのか……。
ガウガメラ合戦前夜の作戦会議で耳を傾ける姿、ロクサネとの結婚に反対する
会議での気難しい態度、そしてフィロタス殺害時の、額に手をあて寒心に堪えない
様子、ああ……プトレミーv ヒンドゥークシュで、大王と家・故郷について
話すシーンもいいです〜。個人的には、もう少しヘパイスティオンと絡んで
欲しかった。二人の関係を理解している者として、ロクサネと大王の結婚式で
ヘパに何か声をかけたりして欲しかったです。
オリュンピアスはプトレミーのことを「いつも深く考えすぎ」と評します。
クレイトスと大王の喧嘩時も、「クレイトスの太守への昇進に乾杯」などと
言って最初に諍いの芽を摘もうとするのがよい。ところがそれがまたあらぬ方向に……。
二回目の観賞でも、老いたプトレマイオスは本当にうざったい。特に最後は
映画を台無しにする勢いで喋ります。この老いたプトレミーが、若きプトレミー
の面影を残し、「考えすぎ」の、「無難」を好む、でも心の奥底に若き日の
アレクサンダーへの思慕を残したままの男として描かれていたら、どんなに
素晴らしい映画になっていたことか。残念です。


>ペルディッカス

ニール・ジャクソンのペルディッカスには、大きな役割は与えられていません。
台詞もそれほど多くはないです。ですが、ガウガメラ戦前夜の作戦会議で、最初に
はっきりとその顔がスクリーンに表示された時、恋に落ちました(笑)。
げっやっぱりカッコいい……ペルディッカス。後の長髪スタイルもいいけど、
最初の短髪はやけにそそります。
映画におけるペルディッカス像は、この映画の功績のひとつです。世渡り上手、
というのが伝え聞くペルディッカス像を形容する上でもっとも相応しい表現かと
思いますが、映画のペルディッカスは、まさにそれ。
プトレマイオスに似ていますが、彼ほど深く考えすぎず、内省的でもなさそうで、
けれど基本は善良です。なまじハンサムなだけに、やっぱり隠れマケドニアファン
がいそうだ。とりあえず、自分が千人部隊の一員だったら、ペルディッカスが
大隊長だとすごく嬉しい。相談にも乗ってくれそうです。アレクサンダーとも
個人的な軋轢を生まぬようちょっと距離を置いて付き合っていて、ヘパイスティオン
が死ぬ時もプトレミーと一緒に一応付き添っています。
プトレマイオスと二人で酒を飲み交わしながら、「これからどうなるのか」などを
話し合っていたのかも。二人はお互いのことを「話が通じる」と思っていそう。
大王の死に際のペルディッカスの目的まっしぐらなところもカッコいい。
オリュンピアスはペルディッカスのことを何て言ってたっけ。明日聞いてこよう。


>クラテロス
クラテロスは実にいい味を出していました。彼も発言自体は多くありませんが、
インドへ向かうと主張する大王に、兵士たちの声を代弁して「もうやめてくれ」
と嘆願するシーンは、胸を打ちます。実際のクラテロスはもっと乱暴で残酷な男
だったと思いますが、こんなクラテロスもいいですね。彼があまり高くない歩兵隊長
の身分から将校に昇進する演出と、オリュンピアスの「仲間たちにさえ気を許すな」
という忠告が重なるのなどは、うまいなあ。

>フィロタス
フィロタスはパルメニオンの陰でまだまだ未熟な感じがして、そこがいいです。
父と子の関係は、パルメニオンが過小評価された偉大な男であるだけに、
すこぶる良好。アレクサンダーが、二人の父子関係と自分のを比べるような
フィクを書くと面白いかもしれない。
彼はM&Cのウォーリーですが、少ない登場シーンで、いい演技をしてました。
ただ、処刑シーンはかなり簡潔でしたね。

>パルメニオン

パルメニオンの功績は非常に大きいです。強硬なマケドニア至上主義派では
ありますが、彼が人間的にも武人としても優れているのは誰の目にも明らか。
時には父親のようにアレクサンダーに接し、「私はあなたを子どもの頃から
知っている」と発言したりします。しかし、父親の世代の男たちの忠告は、
若者には耳障りなもの。大王は彼を「年寄り」呼ばわりします。
有名な、「もし私がパルメニオンならな。だが私はアレクサンダーだ」という
発言もあり。それでもなお、辛抱強く大王に従う老将の姿には涙が出ます(笑)。
でも、彼もペルシアの宦官に手出ししようとしてたっけ。
フィリッポスとの関係もいいのですが、昔馴染みのクレイトスと
アンティゴノスに殺害されるシーンは、哀愁の漂ういいシーンです。

>アンティゴノス
台詞はほとんどなし。覚えているのは、戦闘シーンでのどやし、叱咤くらい。
でも、こういうむさい男が混じっていると、画面がある意味で引き立ちます。
たぶん、隻眼のアンティゴノスを出したのは(彼はペルシアで太守に任命され、
その後の遠征には加わらなかった)、最後に閉じた瞼の上に目を書くためで
しょう(笑)。あのシーンでは笑いが起きてました。狂乱の宴には、悲哀と
空疎なジョークと緊迫感が漂っています。

>レオンナトス
露出度は高い。脳筋系というか元気受とかいう場違いな言葉が浮かんで上映中
笑いを堪えるのに必死でした。
だって顔はカワイイもの。深く考えず野郎友達
と一緒にどこまでも行っちまうぜ、ってか。最後の宴でも、最後まではしゃいでた
な……。でも大王はこういう男、好きなんじゃないかな。ばかだけど、素直。

>ネアルコス
ネアルコスは、私の想像というより、安彦先生が描いたネアルコスにそっくり!
オリバーは安彦漫画と阿刀田小説を読んだのでは、と本気で思い始めた。


あれっ、エラーが出た! 書きすぎとのことなので、ヘパイスティオン
のことは、翌日にまわしました。

コメントもこちらから。私が旅の途中で撮っただいたいが欧米の風景写真が表示されます(地味に交換してます)



2004年11月26日(金) 「アレキサンダー」レビュー1(ほぼネタバレなし)

アレクサンダーレビュー その1


相変わらずの私のくだらない感想を読んでやってください。

アレクサンダーを見てきました。
今は、これまで日記でも紹介してきた(しきれなかった分も含め)
ネガティヴ、ポジティヴ問わず、すべてのレビューが理解できます。
うん、みんな言ってたことその通りだわ!
中でも、「オリバー・ストーンはこの映画を自分のために作った」という
のは、素直に、この映画の存在そのものを言い当てた表現だ、と思えます。
レヴューがここまで割れた理由も納得がいきます。

実のところ、私は映画を見る前、凄くナーバスでした。これだけ期待
していたのに酷いものになってたらどうしよう。休日ともあり、座席は
ほとんど埋まっていたので、絶対笑い声や野次が飛ぶに違いない、明日は
平日なので朝見ようか…と逃げ出しそうにすらなってたんですが、
開始20分ですべてを諦めました。周囲の反応はまったく気にならなく
なりました。なぜなら私はこの映画がオリバー・ストーンという鬼才が
手がけた奇抜な作品であり、その奇抜な作品に、私の心が服従してしまう
だろうということがわかったからです。

事実、私はいろいろな理由で完敗しました(まず間違いなく大王は受だ)。

そもそもこの映画は批評など必要としていません。すべての映画にそれは
言えますが、この映画はとりわけ、すべてが欠点なのか斬新なのか、よく
練られてるのか適当に繋げたのか、目的はあるのかそれともないのか、
あんまりいかれすぎてて判断が難しい。
おそらく、この映画を見る前に目的や教訓といった建設的に人生と向き合う
ための何かしらのヒントを期待していた人は、この映画に最低の評価を与えるでしょう。
暗いとかヨーロッパ的だと言われてますが、そういわけでもない。
路線としてはキング・アーサーに近いながら、キング・アーサーが
ヒロイズムと娯楽要素でなんとか方向性を見出すことが出来ているのに
比べ、この映画からはそれすら感じられず、トロイのシナリオの方が三倍は
シェイプアップされていて、敵対する者同士でさえキャラクターが
愛すべき美点を備えていて観客を魅了するのに対し、この映画は最後まで
誰にも感情移入できません(これは監督も失敗だったと認めるかもしれない)。
観客を満足させるドラマ性やテーマという点では、ヴァンヘルシングの
「簡潔さ」にすら劣るかもしれません。

でも、これらの映画は「アレキサンダー」ほど人の心を打ちはしません。
「アレキサンダー」は間違いなく映画史に一石を投じた、小さな傑作と
なったでしょう。五年後にトロイはタイタニックと同じ棚に押し込まれる
かもしれませんが、「アレキサンダー」はストーン監督の「プラトーン」同様、
棚の片隅である種の敬意を勝ち得ながら異彩を放ち続けるはずです
(もし私たちが監督が期待していたほど寛大なら)。

この映画そのものを物語っているといえる象徴的なシーンは、
ガウガメラの合戦だと言えます。多くのネガティヴなレビューにて、
カメラがぶれたり、瞬間的なカットが連続したり、砂嵐の中で撮影されて
いるため何がどうなっているのかわからず、また音声すら剣戟や音楽に
掻き消されよくわからない。まったくひどい、粗雑な合戦シーンだ、と
いうのを読みましたが、これは大間違いです。
ガウガメラは映画史を塗り替えるほどの最高の合戦シーンです。
ガウガメラの合戦シーンは芸術の域に達しています。
たとえば阿鼻叫喚の渦中を離れ、冷静に指揮を執るダレイオス王の顔を
正面から捉える、単純で捻りのないカットの挿入などは、明らかに監督が
意図した効果をもたらします。この感性は、プラトーン時代からストーン監督が
備え持っている才能と言えるでしょう。
多くの映画の戦闘シーンでは、戦いの中の主役たちの英雄的行為を
切り取って観客に見せますが、ストーン監督は意図的に「人間同士の屠殺」
を全面に押し出しています。もちろん、マケドニアが誇るファランクス
の動き、アレクサンダーの指揮能力の高さ、そして個人的な目的
(ダレイオスを追うことなど)を素晴らしい演出で見せてくれます。
これはほとんど息をのむほどの完成度です。すべてが計算されています。
粗雑なショットなどひとつもありません。登場人物の声が聞こえないのも、
砂嵐で何が起きているかわからないのも、目的を失った結果ではありません。
アレクサンダーも、ヘパイスティオンも、兵士たちは皆
単なる殺人鬼、それも、どんなに美化したところで征服という目的のため
に殺し合う者たちです。何度かアレクサンダーに、「世界をひとつに
団結させ、秩序をもたらす」云々と語らせてはいても、監督は最後まで
この事実から眼を背けはしません。
アレクサンダーの征服に、観客が納得できる目的を持たせることなど、
出来るはずがありません。彼は当時西洋で知られていたほとんどの世界を
征服した、ただそれだけが私たちの誰もが一致して納得する事実なのです。

「アレキサンダー」は、そんな映画です。感情移入もほとんどなく、
共感できる個人的な経験もひじょうに少ない。ですが、現代人とは
かけ離れたまったく無関係とも思える彼らが、ふとした場面で、
二千年以上の時間を経てなお私たちが共感(少なくとも理解)できる
愛や友情、嫉妬、憎しみといった感情や、人間関係の軋轢を垣間見せて
くれる、前回日記に載せたレビューにもあるように、人間の本質的な部分は
何も変わらないということを教えてくれる、そのことはおそらく、
あまり大勢ではない人々の心を打つのではないかと思います。

いろいろと書きましたが、この映画に関する率直な気持ちはこうです。
この映画を長らく待っていたよかった。欠点も失望もあったけれど、同じくらい
期待も上回りました。とにかく、想像もしてなかった映画だったことは確かです。

しかしながら、この映画のつくりや演出には致命的な失敗や欠点が多々あります。
まず、話に聞いていた通り、冒頭はブケファラスと少年アレクサンダー
の感動的なシーンの挿入さえなければ、致命的でした。
なんとかブケファラスのシーンで間を繋いだかと思います。
私は過去や現在を行き来すること自体にはそれほど違和感を感じません
でしたが、アンソニー・ホプキンスはやはり喋りすぎです。
特に最後ま言い過ぎました。面白いことは言っていますが。

展開は練られていて、大王史を知っていれば唸るような
演出も多々見せてくれます。しかし、最初は唐突すぎるし、
ヘパイスティオンの死後は短すぎます。このあたりはもっと書きたい
のですが、ネタバレをいったん避けて、また明日見てから別枠で。
ガウガメラに突然飛ぶシーンなどは、斬新で面白いと思いました。
ガウガメラは何度も言いますが、あのシーンのために1800円を
払ってもいいくらいです。戦闘に入る前の大王のスピーチなども
演出がうまいんだ〜。アレクサンダーの声を聞こえなくしてみたり、
一人一人の部下に話しかけたり。

あるいはこれも監督の意図したことか、と思える欠陥のひとつは、
人物の動機付けや立場というものを、観客の想像に任せすぎです。
私がこの映画でまったく失望させられたのは、何を隠そうアレクサンダー
とヘパイスティオンの関係でした。キスやセックスがないことなど、
問題ではありません。問題は、なぜ彼らがそんなにもお互いを
必要としているのかが、最後までわからないことにあります。

ネタバレになりますが、最初にプトレマイオスが回想の中で、この
有名な名句を口にします。「アレクサンダーはたった一度だけだが負けた
ことがある。ヘパイスティオンの腿に」。
残念なことに、映画ではアレクサンダーはヘパイスティオンの人となりや、
自分への理解といったものをこよなく愛したというよりは、本当に単純に
「腿」にでも夢中になっているかのようです。それほどまでに、
アレクサンダーがヘパイスティオンのどこに夢中なのかが
描かれていません。
これは「キング・アーサー」のアーサーとランスロットや、「トロイ」の
アキレスとパトロクロスにも言えたことでした。
彼らはお互いを大切に思っている。けれども果たして、
何故? 映画のどこにもそれに対する答えはない(もちろん、
アキレスの愛は家族愛に摩り替えられてしまった)。
当然ながら、私たちは実体験と照らし合わせ容易に想像することはできます。
ですが映画においては、良い物語においては、それではいけません。
腐女子つながりでいえば、マスター&コマンダーのジャックとスティーブン
は、その描写がちゃんと盛り込まれていました。二人はどこでどう出会ったか
など口にはしないのに、大事なことはちゃんと観客に伝わりました。
スティーブンは、軍人としての義務や、あるいは狩人の本能に従って
アケロン号に固執するジャックを、ふと立ち止まらせてくれ、ジャックの
陽気で愛情深い人間性を取り戻してくれる大切な友であり、厳しくも常に
支えてくれる人物として、見事に(やや美化しつつ)描かれていました。
サムとフロドなども、その良い例でした。
だからこそ、これらは素晴らしい映画となり得たし、人を感動させることができたはずです。

男同士が男女の関係よりも時に感動的なのは、男女間では「恋に落ちる」
という説明不要な関係の構築が、男同士では容易に成り立たないために、
「何故?」の部分をどうしても必要とするからかもしれません。
そう考えると、当時のマケドニアでは容易に男同士が恋に落ちていた
わけだから、確かにアレクサンダーとヘパイスティオンの愛は分析の
必要がないのかもしれません。
でも繰り返しになるけれど、良い映画においてはそれでは駄目です。
映画では二人のシーンのひとつひとつに感動したし、最後には涙を流し
ましたが、子どもの頃の思い出として、もうひとつくらいシーンを入れる
べきでした。たとえば父と母の不和、二人の偏った愛に少年アレクサンダー
はいつも傷つけれていた。子どもの世界はひじょうに小さく、その大半を
占める両親は心の拠り所であるべきなのに、彼には安らげるゆとりがない。
そんな中で、ヘパイスティオンだけが幼い頃から彼を勇気付け、いつも
味方になってくれた。彼が泣いていると、幼いながらなんとか笑わそうと
努力してくれた……そんなシーンや、せめて回想する会話があれば、
誰もが「アレクサンダーが大人になって尚、ヘパイスティオンにかなわない」、
ということに納得できたはずです。

対照的に、父と息子、母と息子のシーンには余計な動機付けや説明が
なくてひじょうによかった。このテーマは誰もが理解できるものなので、
特にフィリッポスとアレクサンダーの関係はとてもよかったです。


部下たちに関して言えば、これも想像に任せすぎです。特にカサンドロス
の中途半端さはいかがなものか。ジョナカサは文句のつけようがないほど
素敵でしたが、もっと精神的にアレクサンダーやヘパイスティオンと
絡んでよかったんじゃないだろうか。惜しいなあ。いいシーンはたくさん
あったのに。
若いプトレマイオスは信じられんことに、すごい萌えてしまったのですが、
彼も、もうあと二言くらい台詞があれば、より立場を明確にできたのでは
ないでしょうか。

バゴアスは中途半端だった! 微妙だったな〜。

でも一番残念だったのはヘパイスティオンです。ただ、彼に関しては
期待しすぎていたファンが悪いので、オリバーのせいでもジャレのせい
でもないのでしょう。実際、ジャレは最高でした〜。
スラッシャーも、「ヘパはOkっていうくらいだ」と言っていますが、
確かに、これでは何も知らないファンは「あの、アレクサンダーの男」
とうような言い方しかしないです。彼がちらっと個性を覗かせていた
といえるシーンは、ロクサネの結婚式の夜くらいでした。あの時の彼は
アレクサンダーじゃなくてもよろっといっちゃう。
ああしかし、ヘパはその死以外では、たいしてアレクサンダーに影響を
与えていません。悲しいかな、それが映画のふたりです。
もともと、オリバーは大王が好きでこの映画を作ったので、大王以外の
キャラが個性を欠くことは仕方ないことですね。

もちろん、補完は同人誌にて。
映画の大王は、想像よりも受でした。これは、間違いなくオリバーが
彼を受として考えているためでした。コンセプトが受ならしょうがない。
ヘパが受っぽいとこは滅多になかったのは悲しかったんですが、
コリン大王にはすっかりハートを射抜かれたので、大王受の路線に
やや軌道修正か。うーん、でも映画のヘパは攻めでも、たいして萌えない。
ただ、大王がヘパのことをさして言う「彼は大勢に憎まれていた」
という発言は掘り下げるとおいしいか。
どちらにせよ、私はリバでいきそうです。大王は総受っぽいけど、
私としてはそう単純にしたくはありません。特にバゴアスやロクサネ
に対しては攻でちゃんとやりたい。クレイトスは大王には攻だけど
フィリッポスには受であって欲しい。

それと、「こんなシーンがある」と書いたもののにけっこうデマも多かった
ので、その話もまた。


でも、スラッシャー的には大ブレークは間違いなし。
アレ&ヘパが霞むほど、美形ホモでこの映画を埋め尽くしたオリバーは凄い。

明日は、男同士のキスの数を数えてみます。バゴアスと大王のキスは、
想像してたよりはるかに濃厚でした。
バゴアスのダンスは…ありゃ本人も役者たちも絶対赤面したろう!

あ、そうそう!! トレイラーなどにああった大変な台詞がいくつか
入っていませんでした。そのひとつは、大王がヘパに言うという
「今夜はそばにいてくれ」です。他にも、私が感動したはずの台詞が
かなりありませんでした。オリバーは最近のインタビューにて、
SEEのようなものは作らない、と言ってるので、どうなるんでしょう…。

では、次回は単なる萌え話を書き散らしたいと思います。
フィリッポスの婚礼の宴はまるきり台詞が聞けません
でした。あんなに男同士でそこら中でキスしたり触りあったりしてる映像
見せられちゃ、頭真っ白で台詞なんて聞いてられません。

カサンドロスの大王への軽いキスなんかを思い出すと、カサンドロスは
やっぱり大王に横恋慕してる設定なのか…。クレイトスは大王に
「愛してるぜ」と言ってキスし、するとヘパが後ろからクレイトスを
嫉妬してか羽交い絞めのようにして、今度は二人でキスを……。
いや頭がまっしろで、頬にか額にか唇にか、そのへんはまた明日チェックして
きます……。ぺルディッカスが想像よりハンサムで素敵でした。
彼も誰かとしてたっけ。フィリッポスも男とキスしますよー。
じゃれあい、パウサニアスの蹂躙シーン(ほんのちょっとだけど)などは
もう、萌映画史に残る金玉字塔です。
オリバーはアレとヘパをキスさせず、シャイ・アウェイしたとか書かれて
ましたが、そんなんじゃねーよ! おっさん、やりすぎだよ!
腐女子の私すら動揺させるとは、おのれ〜。

ゲイリー・ステッチのクレイトスがすごいいいと聞いてはいましたが、
なんかもクレイトスが頭から離れない……。大王が「女と楽しめ!」
みたいに言ったら、クレイトスが男を腕に抱き「男もな!」と言うシーン
があり、観客からは微妙な笑いがあがってたけど、ぞっとしてる観客は
もっといたことでしょう(笑)。でも案外、ホモシーンのギャグ?は
うまく出来てて、笑いがあがってました。でもアレ&ヘパのシーンは
ほとんど笑いなかったです。あっても、スラッシャーぽかったです。
クラテロスやレオンナトスもよかった〜っ。伏兵はプトレミー。
出番少ない割りにかっこよすぎです。
フィロタスとパルメニオンもよか〜っ。

いつまでも寝れそうにない……早くまた明日(もう今日)の朝
二回目を見てきたいです。


コメントもこちらから。私が旅の途中で撮っただいたいが欧米の風景写真が表示されます(地味に交換してます)



2004年11月25日(木) このうつろな眼はなに!


バビロンでお会いしましょう。



出立前にどうしてもこの素晴らしいジャレッドをアップしたく。
この眼、あわわ♂#$%…


ではでは。
そうだ! ハルレゴの友人のコピ本のために描いた表紙はこれです。
わっはっはっはっは(笑ってごまかす)。挿絵はレゴのお犬スタイルで
おしっこシーンでした。モノまでしっかり描きましたv


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