![]() 旅の思い出を忘れないうちに。 前回までは湖水地方の旅の模様を書きました。 ウィンダミアのホテルを、翌朝10時に出発。一路、ハワースへ。走行時間は約1時間半。ipadをbluetoothで繋ぐと、最近ではgmapの目的地設定で音声案内してくれるので、カーステレオから聞こえる声に従って走ることができ、カーナビのような便利さです(画面はipadに出ますが)。 すでに一度行ったこともあり、迷わず到着。チェックインまで時間があるので先にブロンテ牧師館ミュージアムへ行きました。『嵐が丘』で好き放題妄想し、直前に『ジェーン・エア』を読み映画も見たのでテンションはmaxです。ブロンテ姉妹が暮らした二階建ての家は一つ一つの部屋は狭いですが、それぞれの寝室があり、「このソファでエミリー・ブロンテが亡くなったと言われている」「姉妹たちはこのテーブルの周りを歩き回ってアイデアを交換し合った」などというガイドを読むたびに眼が潤むと言う笑 貴重な体験でした。 父パトリック・ブロンテはまだ三十代の妻を癌で失い、その後、五人の娘と一人の息子を義姉と共に育てましたが、なんと彼よりも先に子どもたちが全員先立っています。作家として後世に名を遺したシャーロット、エミリー、アンの他に、メアリーとエリザベスという二人の娘がいましたが、二人は10才前後でチフスで亡くなっています。 この時の様子はシャーロットの『ジェーン・エア』の中でも描かれています。学校で何百人もの女子が病気で亡くなったというような描写を見て、すごい世界だと驚きました。しかし、この死亡率たるやちょっと異常です。こうした認識は当時(1849)ハワースで暮らす人々の中にもあったようで、村人は調査を依頼。そのリポートが現代まで残っています。このリポートによると、当時、村人の平均寿命は25.8才、子どもの41%が6歳になるまでに死亡。村人2500人が69個のトイレを共同使用…などなど、劣悪な衛生環境が人々の健康に与えた影響が伺えます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ミュージアムからは、『嵐が丘』の主人公、キャサリンとヒースクリフが育ったアーンショー家の邸宅のモデルになったと言われているTop Withensまで、荒野(ムーア)を越えて歩いていくことができます(いくつかあるハイキングコースの出発点のひとつ)。でもとりあえず、ホテルにチェックインすることにしました。 しかし、ここで大問題発生。車を停めたパーキングエリアに戻ると、若い兄ちゃんが「10分超過してるから」と罰金徴収しに来たじゃありませんか。私は長いこと車で旅をしてきましたが、罰金を取られたのは一度だけ。LAのロデオドライブで30分オーバーした時だけです。まああれは大都会、観光客も大勢いるので仕方ない、それに30ドルならまあいいだろう…と思いました。しかし、ここは田舎、オーバーしたのは10分で、本当は£100だけど今支払えば£60で済むなどと言うじゃないですか。現在のレートで換算すると約1万円です。まあどうすることもできないんで、文句を言いながら支払いました……するとあんちゃんは、嬉々としてパーキングエリアの外へ去って行きます。 このあんちゃんが、私がパーキングエリアに車を停めた時、無人の管理人室からじっと私を見ていたことには気づいていました。今思うと、もしかすると詐欺師だったのかもしれません。一応貰ったレシートはちゃんとしたものでしたが。私は過去15年間で3度このような詐欺に引っ掛かったことがありますが、皆同じような顔つき(顔が似てるのではなく、相手を見る眼つきが似てる)で、後で思い返すとなんであんなもんに引っ掛かったんだろう、と思うのですが。この詐欺師については、この旅の後半、ロンドンに到着してからもまた書きたいと思います。 ともかく、ホテルは以前にも一度泊まったことがあるAshmore country house.窓辺に置かれたバスタブで泡風呂に入りながら、景色を眺める……これをもう一度やりに行きました。 ![]() 前に来た時もそうでしたが、感じの良い若いお姉ちゃんたちが運営してます。すぐに部屋に案内してくれました。しかしまたまた問題発生。到着した時から気づいてましたが、ハワースってば、湖水地方とは比べものにならないくらい寒いんです。実は細々と雨も降っています。部屋入ってすぐ、暖房を入れようと思ったら機能しない。仕方なくお姉さんに言いに行きました。結局、部屋まで来て見てもらうことに。まだ10月頭なのに暖房を入れてくれという客は面倒臭いんだろうな〜と思いましたが、本当に寒かったし、つい先ほど19世紀のハワースの死亡率の高さを学んだばかりでしたので笑 でもお姉さん、部屋に入るなり「うーこりゃ寒いわっ!」と震えていたので納得してくれたと思います。 ![]() ![]() 暖房も入ったところで、じんたんはあることに気づく。朝から運転しハワースへ来て、牧師館も訪問したので多少疲れてるんだけど、明日にはマンチェスターで車を返却するので、Top Whithensへ行くなら今しかない! 湖水地方で履きつぶしたスニーカー、まだ乾いていないので途方に暮れましたが、せっかくテンションmaxで来たのだし、、、と重い腰を上げ、準備しました。 今となっては本当に頑張って行って良かった。旅の一番の思い出です。 二年前に来た時は母の連れとして、ブロンテ橋と滝までは行きました。その帰り、駐車場へ行くまでが遠くて大変で辛かったことを覚えていたので、観光客用の地図には載っていない、もっと目的地に近い場所に車を停めよう、とやや無謀でしたが荒野(ムーア)周辺をドライブ。するとちゃんありました。Top Withensと牧師館のちょうど中間くらいの地点に、人知れず看板が立っており、ハイキングコースの入口には車4台が停まれる小さな駐車場(区画はラインで区切られ、「バスの通り道だからしっかり停めてください」という注意書き)。探してみるもんです! この近道を見つけたお陰で時間を半分に短縮することができました。疲れているうえに雨が降っていたので本当に助かりました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ハイク開始。荒野の奥へ入っていく道とは違い、牧師館側からTop Withensへ至る道は幅も広く、途中までは車も通れます。入口でこそハイカーと擦れ違いましたが、その後は悪天候のせいもあり、TWまで往復する間、誰とも擦れ違いませんでした。 一時間もすると……見えてきました。エミリーの少女時代の遊び場であり、彼女が腐った妄想をした場所です。 ![]() ![]() ![]() ここまで来ると、道に沿って歩くのも退屈なのであえてムーアを突っ切りました。突っ切ったと言っても、同じことを考えている人は大勢いるようで、獣道がありました。ところが霧に霞むTWまであと少しというところで、雨足が強くなってきました。 ずぶ濡れです。しかも風は囂々音を立て、空が分厚い雨雲に覆われたせいで暗くなってきました。荒野に一人きり、さすがにヤバいと思い始めました。いつも日没時間はチェックするようにしていますが、雨宿りなんかしてたら日が暮れてしまいます。出発したのは午後四時でしたので。 ![]() でも『嵐が丘』の舞台となった場所に、嵐の中到着するのもまた格別です。英国の山歩きでありがたいのは、危険な野生動物がいないこと。米国には熊やコヨーテ、マウンテンタイガーなどヤバい連中が大勢いる&山に潜んでる犯罪者などにレイプされかねないので、一人でハイクはできません。 私が恐れなくてはいけないのは、嵐と日没だけです。余程のことがない限り、牧師館からTop Withensまでの行程で道に迷うことはありません(橋側から来た場合は別です。ムーアの中を突っ切るのでさらにワイルドですが、一人歩きはちょっと危険です)。 『嵐が丘』は嵐の中、アーンショーの館に到着するロックリッジさんが、この館で起きた出来事について、使用人の女性から聞かされるという形で始まります。 ![]() 風雨が本格的に強まってきたので、10分ほどで退散。TWには屋根付きの一角もありましたが、雨宿りしているうちにさらに嵐が激しくなり、真っ暗になることほど恐ろしいことはないので、元来た道を戻りました。 戻る途中、雨が止んできました。空を覆っていた雲間から陽が差し込み出し、きれいでした。ムーアの写真は、カラーより白黒の方がムードがあります。 ![]() ボケてますが、それがまたいいかも ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() かくしてムーアを突き抜け出発地点に戻ってきました。牧場をやっている家が二軒並んでおり、これがその写真。 ![]() ![]() これも気に入ってます。遠くの街明かりが好きです。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 時刻は午後7時。ハワースの通りに戻ると、ほとんどの店が閉まっています。ブロンテ姉妹(特に長男ブランウェル)が通ったパブ、black bullとwhite lionも閉まっていたので、Kings armというパブに入りました。以前black bullに入った時も思いましたが、ハワースの地元住民は『マクベス巡査』を思い出すような素朴で温かい人たちです。パブは夜になるとご飯を食べられないこともあるので、入口で中の様子を窺ってると、お客さんが声を掛けてくれて、ごはんが食べれることを教えてくれました。店内に入ると、客は皆顔見知りという世界です笑 パブのバーテンも歓迎してくれました。観光客慣れしてます^^ 以前、来た時に撮影したこのパブの写真は、このブログのヘッダーとしてランダムに表示される写真の中にも混ざっています。今回も撮りました(雑に。もう撮ったから)。まさに私が夕食を食べたパブ。 ![]() 味は残念でしたが、ハワースで食べれただけよかった。どこも閉まってたらキースリングまで行く予定でした。 ホテルに帰って何をしたかというと……もちろん、泡風呂です! ロマンチックな滞在がウリのホテルなので。窓辺にはキャンドル入りのカンテラとマッチが用意してありました。早速火を灯し、怪しげな照明をつけてバスタイム。 ![]() ![]() バスローブ着て、写真を眺めたりテレビ見たりして、ベッドへ。疲れていたので早めに寝たので、朝6時頃起床。で、もう一度お風呂入りました。今度は朝焼けを眺めながら。怪しいランプとキャンドルはなし。朝の清冽な空気が気持ち良かったです。 ![]() ![]() 朝食も美味しかった。こちらへ来て初めてのちゃんとしたイングリッシュ・ブレックファスト(ヨークシャー・ブレックファスト)。以前Yさんに「豆はパンに乗せて食べるとよい」ときいてたので、早速やってみました。豆の存在価値を疑ってた私ですが、確かにこうするとうまく片付けられることがわかりました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ロンドン編に続く
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