サミー前田 ●心の窓に灯火を●

2006年09月24日(日) 今のロックバンドには怒りがないYO!

  常に各所で開催されるような表層的に似たジャンルのバンドが集まるイベントを見てると、自分にとって何がOKで何がダメなんだろうと考える。昔で言えば、ローリングストーンズとハーマンズハーミッツとの違い?エンケンと南こうせつの違い?MC5とカーペンターズの違い?(笑)
 それは明確なことで、世の中に対して「怒り」があるのかどうか?。子供の頃からあたりまえに言われすぎですっかり風化してしまった言葉だが「ロックとは反逆の音楽」なのだった。直接的だったり過激な歌詞であればロック(パンクでもいいが)であるなんて短絡的な話しではない。音に怒りが込められているかどうか。例えばロマンチックな歌詞が多いサイクロンズの演奏には怒りがあると俺は思う。まぎれもなくロック。ハーマンズではなくストーンズである。しかし最近のロックバンドをやる人たちに怒りを感じるか?先日もあるバンドコンテストの審査員をやった時にもつくづく感じた。親の金で音楽専門学校に行ってそこでバンドを作り、ロックやパンクのような形態の演奏をやっている連中の表現は耐え難いものであった。そういや日本の60年代後半を象徴する最大のアイドルグループでありロックバンドであるザ・タイガースに「怒りの鐘を鳴らせ」という名曲があったよな。クニ河内が作曲の。紛れもなくタイガースも怒れる若者だったのだ。
 
 二十歳くらいの頃の話し。なぜか芥正彦さんの舞台の打ち上げに紛れ込んでいた俺は、恐れ多くも日本を代表する舞踏家・土方巽(故人)の隣で飲んでいた。土方さんは今日の舞台の感想として「今の舞踏家には怒りがないよ!」と激怒していた。関係者一同、神妙な空気になり、以後精進します的に打ち上げはオヒラキとなった。もう深夜だったので、芥さんの事務所というか稽古場らしき近所のマンションにいくと、誰かがドアーズ「ジ・エンド」を巨大なステレオ装置で爆音で流した。30メートル以上先のマンションの住人から「うるせえ!」と怒鳴られ、「ジ・エンド」のエンディングのあたりになると苦情をうけた警察がやって来て小競り合いになりドアーズ終了。俺にとっては舞台の本番より打ち上げ以降の出来事の方が何倍も面白かったけど(笑)。


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サミー前田 [MAIL]

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