Another garden


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2002年03月25日(月) 変わらぬ強さ


実はちょうど先週、他の先輩からの電話で、地方に居るはずのあの人が、
東京に居ることが解って。あの人も含めて、私達の卒業祝いをしてくれる
とのことで、とりあえず明日、あの人と10ヶ月振りに会うことになった。

あの人が東京に居るなんて話は、全く聞いてなかったからビックリで。
電話をくれた先輩は、あの人が東京に居る理由を「まぁ事情が在ってね」
って濁してたけど、私はもしかしたら会社を辞めたんじゃないかなとか、
薄々思ってる。正直言って、あの人の会社は今そんなに景気も良くないし、
何より本社に近くて、支店も多い関西で勤めてたはずのあの人が、東京に
居ると言うことは、少なからずとも良い話では無いのかなと思う。

そう考えると複雑な部分もあるけど、それでも単純にあの人に会えることは
やっぱり嬉しい。ついこの間まで、もう本当に会えないんじゃないかとすら
思ってたから。言葉ってものは本当に不思議なもので、辛くて、寂しくて、
悲しいものほど言霊が宿るんだよね。前に或る先輩と、電話で喋ってた時に
偶然あの人の話題になって。其の時、私が必死で「またあの人とかみんなで
会いたいですね」って云うのを、先輩は「当分は難しいと思うけどね」って
何度も繰り返してて。言葉にして云われると、なんだか本当にもう、ずっと
会えないような気がして、泣きそうになったのを覚えてる。

でも明日は会える。明日こそ会える。しかも幸か不幸か、明日は、あの人と
私以外に集まる人は2〜3人しか居なくて、かなり面と向かって会うことに
なるだろう。久しぶりに会うあの人に、私はどんな顔をすれば良いのだろう。

今日は、お気に入りのフランドルで白のジャケットを買って。この間から
始めたスキンケアのブランドに合わせて、新しいファンデーションも買った。
お風呂上りには、念入りにパックをして。なんだか少し怖い気もする。

でも譬え、今あの人が仕事で辛くても、私は心から迎えてあげたい。
其の前向きな姿勢と強い志が、今も変わらずに居ることが嬉しいから…。



2002年03月18日(月) 束縛


何だかんだ言って1ヶ月振りくらいの更新。
結局思ったことの半分も書けてません…。

まぁ、それは置いといて。表項にもちょっと書いたけど、この間
教育実習仲間3人と会って来て。実はその内の1人(男)が、来月にも
結婚するとのことで、早速、そのお祝いも兼ねて飲みに行って来たのね。

今まで、実習仲間と恋愛の話をすることはほとんど無かったんだけど、
今回は結婚ってことで、やっぱ相手の人のこととか結婚に至るまでの
経緯みたいなものを聞いて。今まで男の人の側から見たの結婚の話とか
って殆ど聞いたことなかったから、考えさせられたり、気付かされたことが
多かった。そして聞いてる内に、思わずあの人のこと、思い出してしまった。

彼は今、大学院の修士2年なんだけど。今年の春に卒業して、4月から
都内の公立中学校の教師として、社会人になる予定で。だから、彼曰く
「本当はもうちょっと経ってから、30歳くらいで結婚したかった」って。
「毎日顔を合わせるのが嫌とか、一緒に生活したくないとかそんなんじゃ
無いけど、本当にこの先も教師でやっていけるのかとか考えると、まだ
解らないし。でも結婚したら、そう簡単には仕事辞めたり転職したりって、
やっぱ出来ないでしょ?そういうこと考えたら、あと3年くらいは様子を
見たかったんだよね」って言ってた。

確かに自分独りで生活する分には、自分さえ納得して生活出来れば良いし、
仕事だって自由に出来る。極端な話、例えば独りだったら、自分の都合で
会社を辞めても、その間はバイトでも何でも自分さえ食べて行かれれば
良いし、最悪、毎食カップラーメンみたいな貧乏生活で凌ぐことも出来る。
でも結婚して二人で暮らすということは、お互い最低限の生活を維持して
いかなきゃ行けないんだよね。其れに加えて、もし子供とか生まれたら
その子の生活とか教育費も二人で背負って行かなきゃいけない訳だし。

前にゼミの飲み会で、”他のゼミの同級生カップルが、大学卒業と同時に
結婚して同居するらしい”って話になった時、社会人編入の人が驚いてて。
「それって収入ゼロから始める訳でしょ??すごすぎるよ!」「仕事とか
将来どうなるのかとか解らないのに、よく決断出来たね」って言ってた。
なんか超現実的かもしれないけど、きっと社会人から見たら、学生気分で
すぐに結婚する彼女達は甘いなぁって思うんだろうなって考えたら、やっぱ
社会経験の在る人の言葉だけあって、かなり説得力が在ったのを覚えてる。

実習仲間の彼の場合は、結婚相手の彼女も会社を退職しちゃってて。
資格試験を目指してバイトを始める予定だから、なおさら彼の方が
背負う責任、みたいなものが大きいのかもしれない。でも、逆を言えば
その辺のことを考えてるからこそ、「30くらいで結婚したかった」って
本音が出るのかなって思った。お互いの将来をよく考えてるからこそ、
今はそんな単純に喜べるものでもないのかなって思った。同時に、今まで
私があの人に対して考えてたことは間違ってたのかな、とも思った。

実は昔、何故だか偶々、あの人と結婚の話をしたことが在って。その時
あの人は「本当は結婚したくない」って言ってて。「ただ、結婚しないと
社会的に認められない部分があるから、いずれは結婚するだろうけど、
それでも本当はしたくない。するとしても、せめて30までは独身で良い」
「結婚すると色々なことに束縛されるし、自由に出来ないからさ」
あの人はそう言ってた。

今まで私は、あの人のその考え方に疑問を持ってた。確かに、あの人は
束縛されるのが嫌いだし、何でも自分独りで進もうとするタイプだから、
解らなくは無いけど、でも其れって結局は自己中なんじゃない?って。
と同時に、そんな年に成ってまで自由に遊んで居たいものなのかな、とか
けっこう酷いことも考えてた。

でも今回彼の話を聞いて、あの人の言いたかったことは、そんなことじゃ
無かったんだなって気付いた。あの時、あの人が本当に言いたかったのは
「自分のやりたい仕事に就いて、ちゃんと成功するまでは結婚出来ない」
そう言いたかったんだなって、今やっと気付いた。

あの人はいつもそうだった。辛かった事、頑張った事、苦労した事、
そういう事は、達成されるまで人前では決して口にしない主義だった。

今まで私は「束縛」とか「自由」って言葉を狭い意味で捉えてた。でも
本当の「束縛」とか「自由」って云うものは、時間や異性関係の為だけに
使うものじゃ無い。もっと広くて大きくて、重みの在るもの。実習仲間の
彼のおかげで、今やっと、私はそう強く感じることが出来るようになった。


咲子 |MAILHomePage