なんてことはない、統一契約書にサインをしておきながら結局は来日を拒否しレッドソックスに移籍したケビン・ミラ−と、僅か1ヶ月にも満たない期間でいきなり『モチベーションが上がらない』と言って退団してしまったロバート・ローズのことだ。 二人の経緯については各種報道で散々書かれたことなので、ここでは改めて詳述しない。取り敢えず思うことは、日本球界も徹底的にナメられたものだということ。 前々から散々言われてきたことだが、ここまではっきりとナメられると、MLBは日本球界と交流する気など小指の先程もないということがよくわかる。要するに、MLBは日本を都合のいいマーケットの一部としか思っていないのだ。はっきり言ってしまえば、MLBもMLBに所属している(いた)選手も、日本球界など侵略した植民地程度にしか考えていないのだろう。 ミラーの件については、中日側が統一契約書をセ・リーグに提出した時点で、一つの契約が交わされているのだ。ただ、日本とMLBの取り決め上、マーリンズに在籍していたミラーが中日に移籍するには、一度MLBからのウェーバー公示を経る必要がある。紳士協定上では、この日本球団へ移籍が内定しウェーバー公示された選手にMLB側は手を出さないことがしきたりになっているが、そこにレッドソックスが横槍を入れたことで、息子の日本行きに猛反対する軍人パパとメジャーに未練タラタラのファザコン息子がゴネ始めた。そのことは周知の通り。 中日側は法定闘争も辞さずという構えを見せていたが、MLB選手会がこの問題に介入し、ミラーを自由にしないと日本での開幕戦(3月に東京ドームで行われるアスレチックス×マリナーズ)をボイコットするとブラフをかけたことで、この問題は急速に動き始める。 当初は中日とミラーの間における契約不履行の問題であり、手続きの上では中日側に一切の落ち度はなかったように見える。しかし、何時の間にか問題にどんどん尾鰭背鰭がつき、気がつけばMLBとNPB間の問題になり、ボストンの地元紙等の情報操作も手伝って「本人の意向を尊重せずにミラーを縛る中日球団は悪」という論調に摩り替わっていった。 正規の契約手続きを済ませた中日球団にとってみれば、全くもって信じられないほどに不可解な話に違いない。それでなくてもチームの浮沈を握る4番候補が、キャンプ前になって急に『来たくない』と駄々をこね始め、打線の構想が完全に揺らぐという緊急事態。挙句悪者扱いまでされては、中日球団の立つ瀬はどこにもない。 本来はNPBが総力を挙げてでも中日球団を擁護しなければならない筈なのに、MLB開幕戦の利権に伴い日本側のスポンサーとMLBの利害が一致。MLBとの関係をこじらせたくないNPBの弱腰体質を考えれば、この時点で中日側には後ろ盾がいなくなったということになる。 結局最後はMLB・NPB双方のコミッショナーからミラーとの契約解除が促され、中日球団はそれに屈するしかなかった。正規の手続きを通った契約が、本人とその後ろにある大組織の圧力でなかったことにされる…契約社会のアメリカでこんなことがまかり通ること自体、MLBはNPBという球界を初めから交渉相手とみなしていないことを証明している。 もちろん、その言いなりになるしかないNPB側にも、小さくない問題が横たわっている。しかし、今回の件に関してはそう問題が単純ではなくなってしまった。 前述のように、当初はミラー本人と中日球団の間で起こった、契約のもつれである(一度結んだ契約で、本来はもつれたもクソもないのだが)。しかし、その二者間とは関係ない力が、様々な角度からこの問題に入り込んできた。 �.潺蕁爾魍容世靴燭ぅ譽奪疋愁奪�ス �▲潺蕁爾里海箸亘寨茲匹Δ任發いい�、機構にブラフをかけたい為にこの件を利用したMLB選手会 ��ミラーの獲得を後押ししたいボストンの地元紙 ��MLB側(アメリカ)の正当制を主張する以外に能がない米メディア �テ�本開催で一儲けしたいMLBと日米のスポンサー ��MLBと軋轢を生じさせたくないNPB ざっと見ても、これだけの力がミラー−中日問題に介入してきた。 本来は日本球界を揺るがす一大事件であるにも関わらず、各種メディアは松井秀喜の一挙手一投足を追うのに血眼で、中日系列のメディア以外はこの問題を全くと言っていいほど問題として扱っていない。NPBのアイデンティティや存在意義に関わる大問題より、まだキャンプも始まっていない一人の日本人大リーガーの動向の方が大切だというのなら、日本のスポーツジャーナリズムは死に体だと断言してもいい。NPBの事勿れ主義がメディアにまで浸透しているとしたら、尚更のことだ。 もしこれが日米立場逆転していたら、訴訟社会アメリカのこと、大法廷で争うというぐらいに息巻いてもおかしくないだろう。本来は対等であるべき二国間のスポーツ機構に、存在する筈のない上下関係が設定され、両国でそれを当たり前のことと思っているのなら、NPBはMLBと縁を切った方がまだマシかもしれない。 ローズの件も、要は2年間牧場暮らしで野球勘が飛んでいても、日本ならどうにかなると思っていたから来日したのだろう。家族の生活環境の件など色々と言われているが、獲得したロッテもロッテで調査不足だし、来日したローズはローズで日本をナメきっている。 試合にも出ず、キャンプ中に退団したということで、ヒルマン(巨人)やグリーンウェル(阪神)よりもある意味でタチが悪い。 NPBはMLBにとって腰掛け球界寸前というところまできていると思っていたが、もしかしたら実際はそれ以下なのかもしれない。MLBの選手にとって、今や日本球界は契約のダシに過ぎないという見方もある。 昨年、メジャートップクラスの捕手であるイバン・ロドリゲスのFA交渉が暗礁に乗りかけた時、ロドリゲス側から日本行きという選択肢がチラつかされたことが日米双方で話題になった。日本で大きな話題にならなかったのは、日本のメディアにとって日本人大リーガー以外は興味の対象外ということもあるが、所詮はブラフだということをわかっていたからだろう。 結局ロドリゲスはマーリンズと単年契約を結んだものの、これは日本行きという選択肢にマーリンズが慌てて引っ掛かったと見て、恐らく間違いない。 今後、この交渉手法が恒常化する恐れがある。MLBの選手が日本流出をメジャー球団にチラつかせることで、より良い待遇を求めるというものだ。MLBにとっては、MLBこそ世界一だという自負があるのだから、そこより格下で植民地的扱いの日本に選手が本当に流れたら、それこそ沽券に関わる問題。 ミラー本人が最初から最後まで今回のことを計画的に運んだとは思わないが(もしそうなら、世紀の大詐欺師だ)、幸か不幸か、今回の一連のミラー騒動は、MLBの選手にとって極めて美味しい蜜をもたらした。その蜜をもたらしたのは、NPB側の優柔不断さ加減も当然一役買っている。 選手がその蜜の甘さに味をしめたことは、本来はミラーと関係ないMLB選手会が開幕戦ボイコットという筋違いなブラフを持ち出したことでも、かなりはっきりした意思表示を表していると見ていいだろう。 レッドソックスが紳士協定を破ってきたということは、MLBが日本球界を食い潰そうとしてきたということの明確な表明だ。開幕戦の日本輸出を“進出”という言葉で表していたメディアもあったが、今回の件は進出などという生易しいものではない。はっきりとした“侵略”であり“侵攻”である。 明確なルール作りをしてはっきりと50/50の協約を結ぶことも当然急がれるが、松井がマイク・タイソンの試合を見たなんてことが大々的な見出しで報じられてしまう、この偏狭な日本のスポーツジャーナリズムこそどうにかしなければならない。そう思っているのは、きっと私だけではない。 戦争は既に始まっている。かりそめの平和に浮かれていたら、気付かぬうちに侵略されていたどころか、侵略されていることにすら気付かないまま日本球界は食い尽くされるかもしれない。これは、かなり現実的な話である。
<投手分析> 先発…具、金田、ユウキ、吉井、鈴木、小倉、相木、川越、小川 右中継ぎ…山口、徳元、加藤、佐野、牧野 左中継ぎ…嘉勢、山本、岩下、川口 クローザー…萩原、大久保 最下位をひた走った昨期だったが、金田・具が最優秀防御率を争ったように、投手陣そのものは決して悪くはない。昨期のチーム防御率3.58は、西武の3.20に次ぐリーグ2位の好成績。悪いどころか、むしろ良いという結論に達する。 大黒柱の両左腕、近鉄から途中移籍して7勝1敗・防御率1.93と神懸った数字を残したユウキ、ミスターコントロールの小倉で回したローテーションからヤーナルが抜けて、吉井・鈴木という元メジャー組を加えた6人が今年のローテーション候補。川越や小林という実績組の後退が顕著で、小川や川口が計算に入れられない中でこれだけのローテーションを組んだのだから、元メジャー組2人の影響というものは思ったよりも大きい。 反面として、リリーフは山口と大久保の故障がある分、どこまで計算していいのか分からない怖さがある。この2人が満足に働けるなら、昨期頭角を現した萩原を含めた3人で12球団屈指の豪腕リリーフトリオが結成可能。これに神奈川大学リーグの速球王だった加藤も入れれば、それは爽快なリリーフ陣になる。しかし、大久保と山口が出遅れればその目論見もオジャン。 中継ぎ左腕の不足も頭痛のタネ。一昨年70試合に登板した嘉勢が昨期は33試合と息切れし、白血病からカムバックした岩下、2年目の山本に過剰な期待は寄せ辛い。豪腕カルテットがリリーフでスタンバイすれば、左右の継投というケチくさいことは言わずに済むのだから、今年のオリックスはリリーフ陣が最大の目玉でもありアキレス腱になりそう。 診断…元メジャー組の2人と佐野の加入で、投手陣全体の厚みが実感できるようになった。問題は故障を抱えた山口と大久保の働き具合。先発陣の顔触れは文句のないレベル。 <野手分析> 1(右)葛城 2(二)大島 3(中)谷 4(左)ブラウン 5(指)五島 6(三)シェルドン 7(一)山崎 8(捕)日高 9(遊)平野 控え 捕手…上村、前田 内野手…塩谷、進藤、塩崎、後藤、オーティズ 外野手…高見澤、副島、早川、相川、竜太郎 はっきり言って、現時点ではオーダーの組み方が全く読めない。昨期盗塁王の谷以外はどこがどう入れ替わってもおかしくないというところで、打順はもちろんポジションも正規の登録以外どこにどう選手が動いても不思議ではない状態。 新加入選手への期待値を重視してオーダーを組んだのは、それだけ昨期のオーダーが固まらなかったということである。昨期の実績はあってないようなものだが、それでもシェルドンや大島のレギュラーを脅かす存在がいない辺りに、現在のオリックス野手陣の深い病理を感じ取ってしまう。 補強すべきポジションは谷の中堅以外全てと言いたいところだが、悲観ばかりしていてもシーズンを戦う妙案は浮かばない。上がり目の薄い既存戦力より、新加入の選手や実績の乏しい若手に任せてみたいと思うのは、昨年までのオリックスを考えれば自然の心理。特に重要なのは、比較的若い選手の起用に躊躇しないこと。 主軸を任せたい新外国人2名や山崎への期待値はもちろん高いのだが、守備&走塁職人の平野、超俊足の早川、シュアな打撃が光る後藤といった選手にもチャンスは充分転がっている。首脳陣も今年は腹をくくって、柱になれる人材を根気よく探し、試し、使っていくことが重要だと思うが、どうだろう。 診断…深刻の一言。主軸を任せたい新外国人+山崎がコケれば、昨年の惨状が繰り返されることになりかねない。とにかく色々な選手を使いながら、早い段階で固定化できる選手を増やしていくしかない。今年だけで問題は解決しないから、数年先も見据えた起用を望みたい。矛盾しているが、やるしかない。 <総合分析> 投手陣は揃っている。山口と大久保さえまともに働けば、それなりの数字は期待してもいいレベル。問題は、野手陣が投手陣に活躍に見合った勝ち星をプレゼントできるか否かの1点に集約されると言っていい。 昨年のように、最優秀防御率を争った2人で借金7というような状況なら、最下位脱出の光明すら見出せない。とにかく打線の整備。難しいことは百も承知だが、球団の高校生を拒む体質が今の惨状を生み出したのなら自業自得。投手陣が計算できるうちに、ある程度の態勢は固めておきたいところ。
<投手分析> 先発…金村、正田、ミラバル、シールバック、隼人、江尻、武田、関根、岩本 右中継ぎ…伊達、建山、芝草、武藤、伊藤 左中継ぎ…佐々木、山口、清水、加藤 クローザー…井場 岩本・関根というかつてのエース級が下降期に突入し、タフネス左腕の下柳は阪神にトレード移籍。その分は正田の台頭、ミラバルとシールバック両外国人の活躍、隼人の成長で補った感。かつての最優秀防御率投手・金村も、1年間ローテーションを守って唯一の2ケタ10勝を記録。世代交代が思ったよりもスムーズに進んだなという印象で、この中に江尻や武田の参入があればそこそこ計算できる陣容。 軸不在の中継ぎ陣も、阪神から伊達を獲得して厚みは出てきた。もともと悪いというほど悪い陣容ではなく、伊藤・佐々木・山口という辺りがもう一皮剥けてくれれば、やりくりでも1年は凌げそう。伊達は阪神では使われ方が中途半端な感もあったが、セットアッパーで固定されれば面白い存在。心機一転、いきなり中継ぎの軸になってもいい。 クローザー候補は井場ぐらいしかいないのだが、昨期の井場は被本塁打率の高さで防御率を落としたものの、奪三振率の高さや被安打率の低さは注目すべき点。もともとはガッシリした体格から見にくく重いストレートで勝負するタイプ、一つ掴めばクローザーとして大化けは望んでいい素材。 20歳台を中心に投手の数自体は揃っている。あとはシーズンの中で軸となる投手を作りたい。先発なら正田、中継ぎなら伊達と佐々木が候補。江尻・山口といった昨年のドラフト上位組が台頭すれば、投手事情はかなり楽になる。 診断…弱体投手陣という印象のあったチームだが、投手の質や数自体はそこまで悪くない。いいイメージが湧かないのは、エースとして抜きん出た存在がいないからかもしれない。年齢的に誰が化けてもおかしくないという構成で、この中から誰が抜け出してくるかという楽しみはある。 <野手分析> 1(遊)田中賢 2(二)金子 3(一)小笠原 4(指)エチェバリア 5(左)坪井 6(三)田中幸 7(右)森本 8(捕)實松 9(中)井出 控え 捕手…山田、鶴岡 内野手…木元、林、小田、奈良原、小谷野 外野手…クローマー、石本、紺田、藤島 ビッグバン打線という冠名はいい加減下ろすべき時に来ている。小笠原1人が飛び抜けているが、小笠原と捕手の實松以外のレギュラー争いはダンゴ状態。オバンドーの抜けた4番も相変わらず新外国人への依存度が高く、オーダーを組む段階で難儀するというのが正直なところ。 これはチームが新旧交代の端境期にドップリはまり込んでいる状態と見ていい。投手陣に比べると戦力の段階的な移行がうまくいかなかったという印象で、ビッグバン打線は外国人選手の活躍抜きにしては成立しなかったということの裏返し。外国人選手が活躍しているうちに次代の備えを整備できなかったのだから、これは今からどうにかしていくしかない。 とは言え、今年の新加入選手で期待を寄せることができそうなのは、阪神から移籍した坪井ぐらい。ここ数年は故障に泣かされているとはいえ、ルーキーイヤーに新人最高打率.327を記録した打力は衰えていない。かと言って、クリーンナップを任せるというタイプでもないことも事実。坪井を6番ぐらいに置くのなら、森本や田中賢といった若い力の爆発が欲しい。 ヒルマン新監督は、ヤンキースのコーチ時代に培った攻撃的な走塁を、徹底的にチームに浸透させようとしている。それならば、小田・野中・飯山・佐藤といった足を武器にできる新興勢力の抜擢も充分に考えられる。変な先入観をヒルマン監督は持っていないだろうから、もしかしたら今年でチームカラーがガラリと変わるかもしれない。要注目。 診断…小笠原以外の中軸を固めることが大きな課題になるが、その為には若い戦力の爆発は何枚だって欲しい。そもそも長距離砲タイプの選手が少なくなったのだから、徹底的に走るチームへ体質を変えることも一興。 <総合分析> 若さに期待がある投手陣に、若さ欠乏症に陥りつつある野手陣。投手には前向きな不安が持てるが、野手は逆に後ろ向きな不安が多い。既存戦力に頼れない上、若手も帯に短し襷に長しだからだ。 キーワードは“脱ビッグバン打線”。ヒルマン監督は、恐らくビッグバン打線という言葉には全く反応しない筈。キーマンは田中賢、森本、ルーキー紺田といった辺り。田中賢や森本は、期待に反比例してここ数年足踏み傾向が続いているのが気になる。そろそろ結果を出し始めないと、チームカラー変革のきっかけをオジャンにするかも。
<投手分析> 先発…ミンチー、黒木知、清水直、加藤、小野、酒井、渡辺俊、高木 右中継ぎ…小林宏、シコースキー、吉田、神田 左中継ぎ…川井、藤田、鈴木、田中充 クローザー…小林雅 規定投球回数にミンチー・清水直・加藤の3人が達し、それぞれ2ケタ勝利を上げた。しかしこの3人で貯金を1つも作れなかった(40勝40敗)ことを考えると、若干先発陣の層の薄さは懸念材料。昨期は結局、この3人に続く先発陣が最後まで固まらなかった。 小野がここ数年停滞しているのは痛手だが、今期は昨期1球も投げられなかったジョニー黒木という大エースが帰ってきそう。ここまでの調整が順調かどうかの判断は難しいが、苦しいリハビリを経て昨年の今頃とは全く状態が違うとか。ジョニーの存在の有無は、そのままチームの空気まで左右する。黒木の復活は、数字云々ももちろんだがチームの浮沈そのものを左右する条件。 “幕張の防波堤”こと小林雅を擁するリリーフ陣はなかなかしっかりしている。吉田・藤田といったベテランに無理はきかなくなってきたが、小林宏・シコースキー・川井の20歳台トリオが立ち塞がる中盤のつなぎは強力。ただ、3人とも試合数に比べて登板イニング数が多かった為、今期の疲労残りは少し心配。神田・鈴木のルーキー組、2年目左腕の田中充が負担を軽くできれば、リリーフは安定と見ていいだろう。 渡辺俊・黒木純・薮田といった伸び悩み組、未完の大器の高橋まで含めれば、それなりにバラエティのある陣容は組める。社会人時代は“左の伊藤智仁”と呼ばれた高橋は、いったいどうしてしまったのだろう。個人的には大いに気になるところ。 診断…ある意味、ジョニー黒木の復活が最大のファクター。中盤以降はある程度計算が立つだけに、ジョニーが戻ってくればかなり強力な投手陣に化ける可能性を持っている。そして、取り敢えずジョニーの投げている姿が見たい! <野手分析> 1(中)サブロー 2(遊)小坂 3(一)福浦 4(二)ローズ 5(指)メイ 6(左)堀 7(三)初芝 8(捕)清水将 9(右)諸積 控え 捕手…辻、里崎 内野手…澤井、渡辺正、今江、丸山、早坂、西岡 外野手…立川、喜多、垣内、波留、代田 昨期Bクラスを脱せなかったのは、野手陣の低迷によるところが大きかった。ボーリック(退団)とメイの両外国人が開幕からエンジンがかからず、痛恨の出遅れ。主軸が崩れた後は、結局最後まで打線の軸が決まらなかった。メイが中盤から盛り返して23本塁打90打点を叩いても後の祭。福浦が.300を打ち一昨年首位打者の意地を見せたが、あと目立つのはサブローが初の規定打席到達で.286を打ったということぐらい。 横浜マシンガン打線の主砲だったローズが2年ぶりに球界に復帰するが、その間のブランクは現実的な問題。8年間で通算.325を打ち、167本塁打808打点を稼いだ最強助っ人の1人だが、横浜時代のような爆発的な打棒を発揮できるかどうかにはどうしても疑問符がつく。 もちろんローズが額面通りの数字を出せれば、福浦とメイで挟むクリーンナップは強力な布陣になる。しかし、もしローズやメイが機能しなかったら? その時の手当ては決して万全ではない。控えに挙げた選手は、まだまだ熟していない若手か、伸び悩む中堅か、全盛期を過ぎたベテラン。レギュラーに据えるには、現時点では不安ばかり先に立つ。 総合力で勝負できる今江と西岡、シュアな打撃の丸山と喜多、打者として大化け期待の寺本など、期待をかけたい選手がいない訳ではない。堀や初芝を本格的に追い落とせる選手が出てくるか。ローズが活躍すれば、それまでの時間はある程度稼げそうな気もする。成長速度が遅過ぎる澤井や渡辺正よりは、上の選手にチャンスを与えたいところ。 診断…ローズが機能するかどうかで打線の様相はガラリと変わってくる筈。バクチ要素が強い気もするが、それもこれも成長速度の遅い中堅選手に責任の一端がある。サブローや福浦が活躍しているうちに、ある程度次代の備えは整えておきたいというのが本音。 <総合分析> 投はジョニー黒木、打はローズと、キーマンははっきりしている。しかしこのキーマン2人は同時に爆弾要素。爆弾が破裂してしまった時の手当てには不安が拭えない。 特に心配なのが打線。ただ、不安のタネが多いということの裏を返せば、若手にとってのチャンスは転がっているということ。今年は意外に野手陣を中心とした大変動があるかもしれない。もっとも今年に限って見るならば、黒木知やローズが大爆発してくれるに超したことはないのだが。
<投手分析> 先発…星野、田之上、山田、和田、寺原、斉藤、杉内、新垣、小椋 右中継ぎ…飯島、水田、永井、吉武、倉野 左中継ぎ…吉田、篠原、渡辺、松 クローザー…岡本、スクルメタ 昨期の規定投球回数到達者が若田部、田之上の2人だけで、防御率・勝利・勝率・奪三振のチーム四冠王だった若田部がFAでチームを去った。唯一の2ケタ投手(10勝8敗)を失ったということで、普通のチームなら一気に屋台骨が揺るぎそうな気もするが、ダイエーの場合はそういう気がしてこない。 山田・寺原・斉藤・杉内・小椋と、若さと大物感溢れるエース候補が居並び、さらに今年はそこに和田と新垣が加わる。完投能力も充分に持っている陣容で、先発が足りないという事態には、余程のことがない限りは陥りそうにない。それを支える星野、田之上もそれぞれ29歳と32歳。まだまだ老け込む年ではないどころか、最も脂の乗ってくる時期。 吉武・永井が年齢の割に伸び悩んでいる点、左中継ぎ陣の高齢化、ペドラザの後のクローザー候補に一抹の不安はあるが、勢いのあるサイドハンド飯島に活躍できる目処が立ち、篠原も一時のキレ味を取り戻しつつある。岡本がクローザーに返り咲ければ、一応の算段は整う陣容。 若さ故の怖さはある。正直なところを言えば、先発の中にプロで実績らしい実績を残した投手の数は少ない。近年、即戦力候補として入団した選手が伸び悩むという、嫌なジンクスもある。しかし数自体は整った。力の絶対値で言えば、西武投手陣とまではいかなくても、それに近いレベルの力量は持っていると見たい。 診断…将来性充分の投手陣は、怖さもあるがそれ以上に楽しみも大きい。今年は和田と新垣に注目が集まっているが、山田と杉内の巻き返し、寺原の伸び率の高さにはしっかりと目を配っておくべき。昨年ウエスタンで最多勝の左腕小椋も、伸び悩み傾向はあるが殻を破る気配が出てきた。 <野手分析> 1(中)高橋 2(右)柴原 3(左)バルデス 4(三)小久保 5(一)松中 6(捕)城島 7(二)井口 8(指)大道 9(遊)川崎 控え 捕手…大野、的場 内野手…鳥越、田中瑞、中村、吉本 外野手…村松、出口、大越、松田、荒金 破壊力のある打線は今年も健在だが、昨期は城島と井口が故障で長期離脱し、そのことが優勝を逃した一因に数えられた。名前は揃っているが、小久保や松中が常に爆弾を抱えた状態でプレーしていることも含めて考えれば、フルメンバーで1年間戦うというのはあまり計算できないというのが本音。 ただ、万全の状態で開幕を迎えられれば、怖い打線だということは間違いない。主力が軒並み30歳近くになり、体調さえ万全ならばそろそろチームは円熟期を迎える。次代の備えが必要な時期にはなってきたが、今年に限ればまだまだ老け込んだという印象はない。 主力が故障すれば、大野・中村・荒金という辺りの台頭があるかも知れない。昨期で川崎と高橋が一軍定着の足掛かりを掴み、循環そのものが停滞した訳ではないということを印象付けた。田中瑞や吉本に一軍昇格のチャンスがあれば、その循環はさらに加速していく筈。 実はオーダーを組む上で1・2番を誰にするか悩んだ。出塁率の低い柴原を切り込み役で使うよりは、昨期終盤にシュアな打撃を見せた高橋、俊足の川崎を使った方が面白いかもしれない。 診断…投手とは逆に、名前の上での計算は立つ。ただし、この主力メンバーで1年戦えるという保証は、他球団よりも乏しい気がする。新興勢力の台頭への期待値は大きいが、まずは何よりも主力が長期離脱なく戦うことが今年は先決。松中や柴原の巻き返しがあれば、打撃成績リーグ1位を奪還することも現実的。 <総合分析> 投打が噛み合えば、依然優勝候補に挙げられるチームであることは間違いない。実績のない若手投手の台頭、実績のある円熟期の野手の安定した活躍があれば、一角崩しどころか筆頭格に挙げられても不思議ではない地力は持っている。 何より心配なのは、チーム事情よりも本社の問題。若田部を無理に引き留めなかったのは、今年の戦力に算段が立ったということと同時に、余計な出費は抑えたいという企業論理。パ・リーグ断然の観客動員数を誇る球団、くれぐれもヘンなことにはならないでください。
<投手分析> 先発…パウエル、岩隈、高村、バーン、高木、加藤、前川、藤崎、山村 右中継ぎ…愛敬、三澤、松本、島田、寺村 左中継ぎ…山本、吉田、小野、有銘 クローザー…岡本、宮本 大塚が結局キャンプにも参加せず、今期の戦力としては考えられない状況になった。そのこと自体は予定通りと言えるが、いつまでも宙ぶらりんのままチームに籍を置かれても士気に関わる。開幕に間に合わせろとは言わないから、投げられるものなら近鉄の為に投げてください。あなたの必殺・縦スライダーが見れないのは、一ファンとしてやっぱり寂しいです。 取り敢えず大塚を抜きで考えると上記のような顔触れになる。昨期の規定投球回数到達者が最多勝のパウエル、22歳の岩隈の2人。ムラっ気の強い高村と前川、38歳の加藤、足踏み状態に入ってきた山村という辺りに過剰な期待は寄せ辛いが、カーブに持ち味のある高木、ストレートのキレ味がいい藤崎、剛球右腕の松本、守護神候補の宮本という若い世代に期待が持てる分、絶望的に悪い陣容ではない。 かと言って、計算の立つ投手陣とも言えないのが実情。岡本がクローザーに回れば、中継ぎの弱体化は如何ともし難いレベル。三澤や山本という使い勝手のいい投手はいても、ここ一番で送り出せる投手は岡本以外は不在。大塚のいないリリーフ陣という現実は、「苦しい時の岡本頼み」という目論見も潰すことになる。 そうでなくとも、岡本の勤続疲労は現実的な問題。こうなれば投手陣全体で凌いでいくしかない。宮本の大化けがあれば台所事情は随分変わってくるが、それが見込めないなら、少しでも岡本頼みの現状を脱皮する為に、先発完投・中継ぎ強化という重い宿題をシーズン通して消化していく必要がある。 診断…若い世代の台頭はかなり期待値が高い。岩隈の活躍が刺激になって高木や藤崎のローテーション入りを促せば、やりくりはかなり楽になる。昨期のチーム完投数は、ヤクルトの8に次いで12球団ブービーの9。岡本の負担を軽くする決め手はここにあるのでは。 <野手診断> 1(中)大村 2(二)水口 3(左)ローズ 4(三)中村 5(右)磯部 6(一)吉岡 7(指)川口 8(遊)阿部 9(捕)鈴木 控え 捕手…的山、藤井、北川 内野手…武藤、前田、高須、星野、五十嵐 外野手…鷹野、森谷、益田 中村が二転三転の末にFA残留。色々と言いたいことはあるが、チームにとってこの上ない朗報だったのは間違いない。中村がもし退団していれば、ポジションの変動も含めてチームの歯車が完全に狂う可能性もあった。ローズ―中村のクリーンナップがあるからこそ、リーグ最下位の投手事情が致命傷にならずに済むからだ。 とは言っても、昨期のチーム打率は.258でリーグ3位。看板の本塁打も177本で、183本の西武に首位を明け渡した。.280で211本塁打だった01年に比べると、どの数字も軒並み下落傾向。 01年がちょっと異常な数字だったということもあるが、裏を返せば、異常な数字を叩き出さなければ弱体投手陣をカバーできないということだ。防御率自体は、01年の4.98から3.93と1点以上も改善してる。にも関わらず2位に甘んじたのは、それだけいてまえ打線の失速が大きかったということでもあり、痩せても枯れてもいてまえ打線頼みという近鉄の脆さも表している。 とは言っても、水物と言われる打線。01年ほどの爆発的な数字を稼げというのも、少し現実離れした話。得点力をアップさせるには、いてまえ打線にスピードをプラスさせることが最優先事項。 昨期のチーム盗塁数は32で、5位ロッテの57と比べてもダントツの最下位。01年も35個だから、この盗塁難という事情はどうにかしたい。01年は余計な盗塁がなくても殺人的攻撃力で走者を還すことができたが、ああいう状態はそうそう望めないと思った方がいい。 診断…中村の残留で一応いてまえ打線の面目は保てそうだが、それにあぐらをかいて昨年と同じ野球をやるのでは、得点力アップは神懸りに任せるということになる。カギは盗塁も含めた走塁レベルの向上。98年に23盗塁の大村が、昨期は盗塁僅か1つ。走れる武藤の復活、ウエスタン敵なしの快速男・森谷の台頭あれば体質も変わりそう。 <総合分析> 地力はついてきたが、磐石と言える戦力は整っていない。これで中村がいなかったらと思うとゾッとしないが、残留したのだから中村には01年ぐらいの数字は課したいところ。 投手陣は注入すべき若さがあるからまだ救いがあるが、野手陣には森谷ぐらいしかいないのが悩みどころ。次世代のいてまえ打線を担う筈だった吉川元と中濱がトレードで巨人に移籍した以上、走力の注入は最優先事項になる。走る気のなくなった大村よりも、個人的には森谷を1番中堅で使ってみたい。
<投手分析> 先発…西口、張誌家、許銘傑、三井、石井貴、松坂、後藤、長田、鳥谷部 右中継ぎ…森、青木、内園、潮崎、小野寺 左中継ぎ…土肥、水尾、星野、帆足 クローザー…豊田 12球団でトップの投手陣だということは大方で一致しているところ。松坂が開幕からエンジンをトップまで持ってこられれば、この先発陣はちょっとやそっとでは揺るがない。故障者が出ても若い層で手当てはできるから、世代的構成も文句なし。 特に言うこともないのだが、強いて言うなら中継ぎ陣に若さがなくなりつつあるのは懸念材料。橋本とデニーという西武中継ぎ陣を支えてきた両ベテランを放出し若返りをはかってきたが、森や豊田の勤続疲労まで考えればそろそろ若さの注入はあってもいい頃合。 1年目の長田と小野寺は実質先発タイプに近いが、全体的に制球力があり大崩れがないタイプなので、層の分厚い先発陣のストックになるよりは中継ぎに回した方がいいかも知れない。星野、鳥谷部、大沼といった辺りに大化けがあれば面白いが、これまでの停滞期間を考えれば、あまり時間的な猶予は残っていないというのが正直なところ。 昨年と同程度の数字とは言わなくても、それに近い数字+松坂の1年の活躍があれば、昨年と同じ水準の勝ち星は残せる筈。くれぐれも故障にはお気を付けください。 診断…若干若さが欲しい中継ぎ陣だが、ストックがいない訳ではないだけに融通はきく。今年同い年が多数プロ入りしてきた松坂が今年はどれだけ巻き返せるか、西口とのエース争いも含めて本気になれば死角が見つからない。 <野手分析> 1(遊)松井 2(中)小関 3(左)高山 4(一)カブレラ 5(指)和田 6(三)平尾 7(右)大島 8(捕)細川 9(二)高木浩 控え 捕手…伊東、野田 内野手…高木大、中島、上田、赤田、石井義、マクレーン 外野手…柴田、貝塚、宮地、佐藤 昨期は結局3番と6番が固まらないまま1年を終えた。そういう状況下でも打線が機能したのは、1番松井と4番カブレラが凄まじい働きをしたからに他ならない。つまり、この2人が平凡な数字に終わっていたら、打線は実際の50%程度しか機能しなかったということだ。 では今年は誰を入れようかと考えたら、これが昨期ぶっちぎりで優勝したチームとは思えないほど人材がいない。いや、人材自体がいない訳ではないが、どの選手も帯に短し襷に流しで決め手に欠けると言った方が正しい。 内野なら中島・赤田・中村・ルーキー後藤、外野なら大島・高山が次世代の候補。ここの競争は熾烈だ。まだ決め手がないメンバーだけに使うには当然怖さもあるが、松井とカブレラという絶対的な軸が機能しているうちにこの中の何人かを一本立ちさせないと、近い将来のオーダーはかなり危機的。時間的猶予はないものだと思って、今年1年は実戦の中でみっちり試していってほしい。 伊東が今年41歳で、いい加減神通力に頼るのは厳しくなってきた。厳しいというのはここ数年毎年言われていることだが、“伊東勤”という絶対的な名前が他の若手の出場を拒んできた事実は否めないところ。捕手は使わないと絶対に成長しないポジション。細川の台頭は、早ければ早いほどいいに決まっている。 診断…松井にカブレラという絶対的な軸が健在なうちに、近い将来の青写真を描く準備だけは整えておきたい。キーマンはいる。リスク覚悟で実戦に放り込んで、互いに磨き合わせることが必要。今年それを怠ると、数年後の転落は現実的に見えてくる。 <総合分析> 投手力が看板なチームだけに、安定感はある。ただ、松井とカブレラが数字を出さないことには厳しいというのも事実だろう。投手陣は黙っていてもある程度数字を残せる陣容、焦点は打線になる。 個人的には高木大の復活で懸念は解消されるところだが、これだけ低迷が続くと復活は望み薄というのが正直なところ。鈴木や垣内の放出は、フロントが本気で野手陣の若返りに取り組んだ証拠。近い将来の不安を払拭できるような大物台頭を期待したい。
<投手分析> 先発…三浦、吉見、斉藤、若田部、ドミンゴ、ホルト、土居、後藤、秦 右中継ぎ…福盛、デニー、谷口、加藤、東、中野渡 左中継ぎ…森中、竹下、稲嶺、河原、富岡 クローザー…木塚、ホワイトサイド 昨期は規定投球回数に達したのが吉見ただ1人。開幕投手の三浦が戦線離脱した後は、森中を先発に回したり外国人投手を取っ替えひっ替えで起用したりと、かなり場当たり的な投手起用が目に付いた。当然先発陣の再編成は今年の重要課題の一つ。 三浦と吉見までは昨年の軸で、その脇を固めたのがドミンゴとホルト。今年はそこに先発再転向の斉藤と、ダイエーからFA移籍の若田部が加わる。この2人の加入で6人揃ったローテーションの後ろに、自由枠獲得の土居、昨期揃って初勝利を挙げた若い後藤と秦が控えるという構成は、それ自体なかなか壮観。 若い3人がいきなり先発に食い込むことは難しいだろうから、しばらくは軸不在の中継ぎを争うか、ケガ人のストックとして横須賀での切磋琢磨が待っている。三浦が慢性的な内蔵疾患を抱え、両外国人は2年目の怖さがあることを考えれば、意外に早く出番は回ってくるかも。 デニーの加入で若干の厚みを増した中継ぎ陣だが、谷口が伸び悩み、東はまだまだ球威不足が顕著。特に左投手はタイプが似たり寄ったりで、調子のいい人材をチョイスすればいいという融通はきくものの、被本塁打率の高さはかなりの不安。新加入の加藤や富岡への期待値は上がるが、出たとこ勝負という危うさが拭えないのも事実。新守護神候補のホワイトサイドが額面通りの数字を出せれば、木塚を軸にしてある程度計算は立つようになる。 診断…先発陣は一定の数字を残せる顔触れが揃った。問題はリリーフ。左腕で最も期待したいのが若さのある稲嶺。デニーが移籍を期に勢いを取り戻せば、かなりやりくりは楽になる。 <野手分析> 1(遊)石井琢 2(中)田中一 3(左)鈴木尚 4(一)ウッズ 5(三)古木 6(右)小池 7(二)種田 8(捕)中嶋 9(投) 控え 捕手…相川、中村 内野手…小川、村田、内川、福本、コックス 外野手…多村、中根、河野、佐伯、金城 左右のバランスで考えると、かなりイビツなオーダーではある。主軸打者に左打者が多いせいか、どうしても上位は左で並んでしまうが、1年を闘うのならこれぐらいのオーダーは準備しておく必要もあると考えた。 気になるのは、同じポジション、特に一塁と三塁にクリーンナップ候補がかなり並んでいることだ。韓国経由のウッズはともかく、年俸3億2000万と言われている大物コックスのポジションが、古木や村田という辺りの若い長距離砲と重なってしまう。七野も含めて考えれば、まさしく人材の飽和状態。 コックスはヒザの半月板損傷で開幕に間に合うか危ない状況になったが、それでも村田が浮いてしまう。そもそも古木と村田もポジションが重なっているが、昨期の古木の伸び率を考えたらここは動かしたくない。古木―村田の一・三塁ラインは、ハマれば向こう10年は横浜のウリになる筈。欲を言えば今年からある程度試していってほしい。 内野に比べると、若干外野は手薄な印象を受ける。ポジションが確定しているのは左翼の鈴木尚だけで、そこからは横一線。田中一の守備力を買って中堅に、小池の総合力を買って右翼に入れてみたが、ここの争いはシーズンに突入しても激しく繰り広げられそう。 人材不足の捕手は、西武から強肩の中嶋を獲得。相川の昨年の伸び率に不満がある以上、中嶋の獲得はプラスになる筈。 診断…内野と外野のバランスという面ではもう一つという印象だが、裏を返せば外国人抜きでもオーダーが組める算段はついた。これは確かな前進と捉えたい。内川を二塁手で使うと強力な内野が組めそうだが、内川は敢えて遊撃手として石井を追い落としてほしい。 <総合分析> 散々だった昨期よりも確実に戦力はアップしている。しかし、まだ磐石と言えるだけの戦力には程遠いというのも事実。今年の課題は、中継ぎと外野の全体的な底上げ。投手なら秦や後藤、野手なら古木や村田という不確定要素の爆発力に賭ける危うさはあるが、若さはあるだけに楽しみも多い。 コックスが開幕に間に合うようだと、山下監督もオーダーを組むことにかなり難儀する筈。センターラインはある程度しっかりしているだけに、右翼に外国人が回れれば楽は楽。その代わり若手のポジション争いを停滞させるという諸刃の剣でもある。難しい判断の連続になりそうだ。
<投手分析> 先発…黒田、長谷川、高橋、佐々岡、ニューマン、横山、苫米地、河内 右中継ぎ…小林、玉木、酒井、鶴田 左中継ぎ…広池、佐竹、西川 クローザー…小山田、ランドクィスト 昨期のチーム防御率4.36は、横浜の4.09を大きく上回り12球団最下位。それでいて22完投は12球団トップ。「先発コケればチームがコケる」という頭でっかちな投手分布を表しているようにも見えるが、セ・リーグの規定投球回数到達者16人中、佐々岡が12位、黒田が14位、高橋が15位、長谷川が16位。つまり、先発陣も大した成績は残せていない訳だ。 中継ぎ陣が先発陣に輪をかけた力量不足な為、投手を変えたくても変えられず、結果として完投数が多くなる。クローザーの小山田は32SPを稼ぎ出したが、後半失速して防御率を2.72まで落とした。クローザーとして、43投球回を上回る44被安打はちょっと頼りない。 黒田(28歳)・長谷川(26歳)と20歳台の軸は揃っているが、それに続くのは誰なのか。高橋や佐々岡に現状以上の成績は高望みしにくいし、横山は慢性的な故障があり、河内はもう一つ殻を破れず足踏みが続いている状態。昨期5勝を稼いだ苫米地も、タイプとしては勝ち負けがほぼ同数になるタイプ。 ヤクルトから移籍したニューマンに期待したい。ヤクルトではもう一つ起用方が定まらず中途半端な印象だったが、昨期も71回2/3を投げて55被安打、防御率3.52と決して崩された訳ではない。微妙に変化するストレートの打ちにくさは筋金入りで、起用方を定めれば救世主的存在になれる器。先発のテコ入れに起用するも、数自体いない中継ぎの軸として起用するも、どちらにしろ使い方次第で確実に数字を残せる。 あとは、若さと勢いのある酒井、阪神からテスト入団の西川、新外国人のランドクィストがどれだけ数字を上積みできるかというところ。 診断…先発陣に停滞傾向が見受けられるのは心配のタネだが、中継ぎ陣のコマ不足は現実的な頭痛のタネ。スケールの大きい若手は、大竹、横松、玉山と揃っている。彼らを根気強く試してみるのも一興かも? <野手分析> 1(左)福地 2(二)東出 3(中)緒方 4(三)新井 5(右)前田 6(遊)シーツ 7(一)浅井 8(捕)木村一 9(投) 控え 捕手…石原、西山 内野手…木村拓、栗原、岡上、野村 外野手…廣瀬、森笠、鞘師、町田 今年は金本が抜けた。00年の江藤に続いて主軸を失った格好だが、球団の戦略上金本の穴を埋めるのは自前でいくことになる。昨年打撃に開花の兆しを見せた“代走職人”福地を1番左翼に据え、空いた4番は“広島のマグワイア”こと新井に任せる。特に新井は、まだまだ今後の伸び率に余裕のある真性の長距離砲。今年まだ26歳、35歳の金本を失ったのは世代交代のタイミングと、前向きに受け止めるしかない。 エリート候補生として英才教育を施されていた東出のレギュラー特権が剥奪され、ディアスとロペスの両外国人が退団。新井の17失策はリーグ最多で、東出も16失策と守備難が解消されない以上、内野の再編は今年も焦点。東出の二塁コンバートがかなり現実味を帯びてきた以上、ここは木村拓、岡上、或いは福地を交えての激しいレギュラー争いが繰り広げられる。新外国人のシーツは遊撃に入りそうだが、守備面の評価は意外に高い。 昨期は揃って規定打席到達で.300以上を打った緒方と前田だが、この2人が爆弾要素になるのは今年に始まったことではない。町田が代打のスペシャリストとしての立場を固めつつある以上、ここの手当ては廣瀬、森笠、ルーキーの鞘師ということになる。廣瀬と鞘師は粗さの残る打撃、森笠は全体的なパワー不足がネックで、正直レギュラー奪取にはまだ時間がかかる気もするが、廣瀬と鞘師は守備力と肩、走力では緒方級の素材。打撃で一皮剥ければ意外に早いレギュラー交代はあるかも。 1年目の昨期はほとんど使われなかった石原だが、昨期打撃開花の木村一と並んでディフェンス面の評価は高い。西山・瀬戸から捕手面の世代交代はうまくいった印象で、今年1年石原と木村一の正捕手争いは白熱する気配濃厚。 診断…内野の再編成が最大の課題。新外国人シーツはどれほどの力量なのか? 二塁のレギュラー争いはどうなる? 新井は一塁か三塁、どちらで使われるのか? 金本の穴は全体で埋めていくしかないが、福地や鞘師辺りが戦力になれば走るチームカラー復活の狼煙。 <総合分析> 自由枠獲得の永川は、1年目から期待しづらいというのが正直な感想。最も深刻な中継ぎ日照りを解消する切り札は、伸び悩む横山・河内の脱皮よりも、ニュージェネレーションの台頭。投のキーマンはニューマン。 決して楽観できる状況ではないが、色々と試す要素もあるので楽しみも多い野手陣。主軸選手の高齢化、外野手の不足は解消されていないが、掛け持ちで守れる選手も多いので山本監督も頭をヒネることになりそう。打のキーマンは福地と新井。
<投手分析> 先発…井川、ムーア、藪、伊良部、川尻、藤田、藤川、安藤 右中継ぎ…谷中、金澤、杉山、(福原) 左中継ぎ…下柳、中村泰、吉野、佐久本、三東 クローザー…ウィリアムス、ポート 昨年と比較すると、半数近くの顔触れが変わったような印象を受ける。今オフ、ベテランを中心に大量の戦力外通告を出したが、新戦力を除外して考えてもそれなりの顔触れで、土台自体はなかなか期待を抱かせる構成ではある。 先発陣は井川が若く絶対的なエースとして君臨し、ムーア・藪・伊良部・川尻の実績組と、昨期揃って初勝利を挙げた藤田・藤川・安藤のドラ1トリオ(安藤は厳密に言えば違うが)が残りの椅子を争うという格好で、非常に面白い争いが繰り広げられそう。日本球界復帰の伊良部にマスコミの目線は集まっているが、若い3人が今年殻を破れば、向こう10年は磐石なローテーションが約束される。その意味で藤田・藤川・安藤は、近い将来の阪神投手陣の命運を握る存在と言ってもいい。 リリーフ陣は、昨年シーズン前の想定とほぼ100%顔触れが入れ替わった。右の柱的存在だった福原が肩の故障で大幅に出遅れる以上、その間はある程度手を変え品を変えで繋いでいくことになりそうだ。 現時点ではドラフト4巡目指名の中村泰の評価が高い。ちょうど星野監督が中日監督時代に、1年目の岩瀬を見出して球界最強のセットアップサウスポーに仕立てたように、もし中村がリリーフ陣の救世主的存在になれば、やりくりはグッと楽になる筈。中村泰に限ったことではないが、顔触れが入れ替わってもリリーフの軸的存在はいない状態。誰がその競争から抜け出すか、楽しみと言えば楽しみだが、反面怖さもつきまとう。 クローザーは昨年同様で新外国人に頼ることになりそう。変則サウスポーのウィリアムス、バルデス以上のムービングボールに鋭いフォークを操るというポートの2人だが、意外に面白そうなのがウィリアムス。サイドハンドから繰り出されるストレートのキレ味は、全盛期の田村勤を彷彿とさせる。 診断…先発陣は、絶対的な井川を軸に実績組と新興勢力が居並ぶ多士済々の顔触れ。新戦力が並ぶリリーフ陣は競争熾烈だが、軸ができなければ一気の崩壊という脆さもあるか。 <野手分析> 1(二)今岡 2(遊)藤本 3(左)金本 4(中)濱中 5(右)桧山 6(三)アリアス 7(一)片岡 8(捕)矢野 9(投) 控え 捕手…野口、浅井 内野手…関本、秀太、沖原、八木、上坂 外野手…赤星、平下、中村豊 スポーツ紙等で一般に報じられているのが上記のオーダーであるが、正直言って濱中を1年中堅手で使うのはかなりのリスクを伴う。金本も桧山も決して外野守備は下手ではないが、名手というほどの巧さはないし守備範囲も中の上というところ。個人的な考えを述べれば、1年というスパンで見たら赤星の中堅固定は絶対に欠かせない。この守備力で左右される試合が、少なくとも10試合はあると思う。 FA移籍の金本を外す訳にはいかない以上、桧山か濱中のどちらかが外れなければならない。しかし新旧生え抜きの主砲、濱中の将来性も、桧山の勝負強さとリーダーシップも、本音を言えばどちらも外せない要素。そこで私の提案は、濱中の本格的な三塁コンバート。 1(二)今岡 2(中)赤星 3(左)金本 4(三)濱中 5(右)桧山 6(一)アリアスor片岡 7(遊)藤本 8(捕)矢野 9(投) 中堅の爆弾が三塁に移っただけだと言われるかも知れないし、捲土重来を期す片岡を1年で見限ることになりかねないオーダーだが、金本を獲得してしまった以上、濱中を主軸として使うにはこういう方法しかない。かなり現実味のないオーダーではあるが、今年の阪神は戦力層こそ厚みを増したものの、当たりのないクジを引かされ続ける運命にあることは事実。どうやっても大きなリスクを伴う選択肢しか選べない状況にあるのだ。 仮にこのオーダーを組んだところで、上昇気配に太鼓判が押せる関本や平下の入り込む隙間は、アリ1匹潜り込む余地もない。確かに戦力は増したが、不確定要素が強いのも事実で、上昇度という面では正直低い。今年戦えたとしても、それ以降を考えると、結構不安。 ちょっと注目したいのが“代打の神様”八木の打棒。昨期は19安打で24打点という圧倒的な数字。チャンスに出番の多い代打屋といえど、この勝負強さは尋常じゃない。八木が出てくると一気にスタンドが盛り上がる気持ち、よく分かります。 診断…戦力は確かにある。金本の加入で厚みは出た。しかし、それに伴って赤星の中堅は? 濱中の立場は? 桧山の扱いは? 増えた難問に解消されぬ遊撃日照りが、イビツな構成を炙り出す。 <総合分析> 戦力アップは間違いないが、悪い意味で戦力の飽和を感じる。投手陣は数は揃ったが未知の要素が強く、野手陣はバランスを考慮するのにとことん難儀するという具合。 実は12球団で最も上昇カーブに期待がある球団だし、個人的には今年最も注目したい球団である。爆弾要素が多く、今年も阪神ファンは一喜一憂を迫られる可能性が高いが、不安要素が出ないうちにあれよあれよと勝ち進む可能性もゼロではない。 もちろん、雪崩をうったように転げ落ちていく怖さもまた、ゼロではない。正直言って、今年の阪神は読めない。読めないからこそ楽しみ。
<投手分析> 先発…川上、野口、朝倉、バルデス、山井、山本、植、バルガス、小笠原 右中継ぎ…遠藤、落合、正津、小山、紀藤 左中継ぎ…岩瀬、山北、久本、小林 クローザー…ギャラード 故障明けの野口、移籍に伴い先発転向のバルデスという爆弾要素はあるが、名前は揃ってる。最優秀防御率を最後まで桑田(巨人)と争った川上、高校卒3年目にして200回1/3を投げた朝倉を両輪とする先発陣は、バンチの退団が気にならないほどに充実した顔触れ。ここに野口とバルデスが額面通りの結果をプラスすれば、ちょっと手のつけられない構成になりそう。 1年目で6勝を挙げた山井、前半に先発を支えた小笠原まで含めて考えれば、山本の38歳という年齢が全く気にならなくなる。次代を担う大器・中里は、無理せず治療に励んで、万全の状態で戻ってきてください。 中継ぎはここ数年固定化されたメンバーだったが、昨期はここに山北が加わった。57試合登板は遠藤に並んでチーム最多登板。防御率4.13はあまり誉められたものではないが、岩瀬の負担を減らしたことで岩瀬の鬼神ぶりがより際立つという、大きな副次効果を生み出したのは見逃せない要素。昨期の防御率は1.06、59回2/3を投げて被安打38の66奪三振なのだから、まさしく岩瀬が投げれば勝ったも同然。 久本やルーキー小林、伸び悩む小山の台頭がないと、若干若さはなくなってきたという印象の中継ぎ陣だが、今年に限ればまだまだ働ける。いい加減に岩瀬の勤続疲労は心配になってくるが…。クローザーのギャラードは、こちらの心配を余所に昨期も35SPで防御率1.52と見事な働き。万が一故障しても、バルデスが回れば心配はない。 診断…野口とバルデスが計算に上がれば充分な戦力。鉄壁の勝ちパターンを誇るリリーフ陣は、それ故の疲労が心配。うまい具合にワークシェアリングで御自愛を。 <野手分析> 1(二)荒木 2(遊)井端 3(右)福留 4(一)クルーズ 5(中)蔵本 6(三)立浪 7(左)大西 8(捕)谷繁 9(投) 控え 捕手…田上、柳沢 内野手…酒井、高橋、渡辺、神野、森野、森岡、リナレス 外野手…井上、章剛、関川、幕田 中日のアキレス腱はとにかく攻撃力、特に長打力が弱い。これはここ数年ずっと言われていることで、昨年獲得した“キューバの至宝”リナレスも完全にピークを過ぎていて、とても弱点解消には至らなかった。 今年はさらに、その数少ない長打力を担っていたゴメス、山崎の両一塁手が退団。それだけ前マーリンズのケビン・ミラーに期待をかけていたのだろうが、ここにきて来日の目が限りなく薄くなってきた状態。ミラーが入ればオーダーを組むのも随分楽になるのだが、ここではミラーが入団しないという前提で考えてみた。逆転劇があれば、当然このオーダーよりも厚みのある打線は組める筈。 元阪神のクルーズを主砲で考えたが、阪神時代の打棒を考えればかなりのギャンブル要素。特にサウスポーの変化球には、いいように遊ばれていた。本人や首脳陣はかなりの自信を持っているようだが、今期35歳の年齢を考えればどこまで修正能力を持っているか疑問符がつく。本音を言えば、遅咲きの予感を抱かせる高橋を4番一塁で使ってほしいところ。 昨期は中盤から井端が1番を打つことが多くなったが、右打ちの巧さやファールを稼ぐ技術を考えれば万能型2番の方が持ち味が出る。往年の辻発彦を彷彿とさせる職人的2番の資質で、その為には中日で最も走れる荒木の1番定着は首脳陣の悲願と言っても過言ではない。 蔵本は肩と足を買っての起用で、本来は7番辺りで下位打線の切れ込み役を担わせたいのだが、本当にミラー1人いないとオーダー組むのがつらいねぇ…福留・クルーズ・立浪とクリーンナップに左3人が並ぶのは、ちょっと頂けない気もするんで、敢えて蔵本を5番に。 診断…クルーズに期待不可なら高橋4番、クルーズ4番で左右のバランスをとるなら蔵本5番、大穴リナレスの爆発にかけて主軸起用…ミラー1人に振り回されて、どこもかしこもギャンブルの地雷だらけ。 <総合分析> ミラーが主軸にドッカリ座れば、巨人への対抗候補筆頭だった。そのミラーの来日が見えなくなったことで一転してオーダーの組み方に四苦八苦する辺り、今の中日の危うさというものが透けて見えてくる。 バルデスにしろクルーズにしろ、日本経験のある外国人を補強して間に合わせようという球団の姿勢からは、応急処置で行けるところまで行ってしまえという安直な考え方が透けて見えてくる。若手の期待株はある程度揃っている上に投手力はあるのだから、今年を大規模な変革の年と位置付けても結構戦えそうな気もするのだが。
<投手分析> 先発…藤井、ホッジス、石川、坂元、高井、館山、鎌田、戎、山部、五十嵐貴 右中継ぎ…五十嵐亮、河端、花田、本間、萩原 左中継ぎ…石井、山本、松田 クローザー…高津、成本、平本 昨年は先発の頭数がもう一つという印象だったが、今年は逆に先発の数自体は揃っている。高井、館山というルーキーも数えたが、表のローテーションは計算が立つだけにある程度融通の利くメンバー構成ではある。ただ、故障明けの戎、上がり目の望めない山部、体質的な弱さがある鎌田、実績のない五十嵐貴まで数えている以上、層の薄さを解消するには至っていないというのも現実。 先発ではホッジス(30歳)、戎(31歳)、山部(32歳)以外全て20歳台で、若さのある構成ではある。裏返せば脆さがないとは言えない構成で、高井や館山はもちろん、坂元や鎌田が機能しないと怖い構成だ。 昨期のシーズン前は、入来(退団)、前田まで計算に入れていたのだから、若返りは促進されている。引き換えに、計算の立たない不安定さはある。その不安定だった投手陣を支えたのが、中継ぎで奮闘した五十嵐亮と石井の“ロケットボーイズ”。五十嵐亮が64試合登板で78回、石井に至っては69試合で89回2/3を投げていて、いかに昨期のヤクルトがこの2人に頼ってきたかがよく分かる。当然、今年の疲労残りは現実的な心配。五十嵐亮が包丁で指に大ケガしたってのは、もっと心配。 昨期32セーブの高津も、防御率3.89でやや陰りが差してきた。成本は阪神にテスト入団した年に20セーブを挙げ、カムバック賞に輝いた右腕。昨期はバルデスに働き場所を奪われた格好だが、持っている球が衰えていなければ高津の補佐役として期待できる。豪腕サイドハンドの平本は慢性的なノーコンだが、一つコントロールを覚えれば大化けもある素材。 診断…若さのある先発陣が、どれだけリリーフ陣の負担を軽くできるか。計算の立たない怖さと未知の魅力への期待、二律背反のお楽しみ。 <野手分析> 1(中)真中 2(遊)宮本 3(三)岩村 4(左)ラミレス 5(右)稲葉 6(捕)古田 7(一)ベッツ 8(二)城石 9(投) 控え 捕手…米野、小野 内野手…度会、浜名、三木、鈴木、野口、畠山 外野手…志田、久保田、飯田 とにかく若さの無いメンバーで面白味がない。そこから大黒柱ペタジーニが抜けたことで、かなり危機感の強いオーダーになったという印象だ。岩村(24歳)、ラミレス(29歳)と、主軸には20歳台の選手が座ることになりそうだが、それでも全体的に漂う高齢化の波は払拭できない。 これまでヤクルトは、数年の間レギュラーが固定されてきた。それが安定した強さを発揮する要因であったのは間違いないが、逆に新陳代謝が遅れてきたというのも事実。ペタジーニの抜けた今年は、かなり大掛かりな地殻変動が起きてもおかしくない時期である。 若手に目を向ければ、野口、畠山、志田、それにルーキー久保田と、期待株がいない訳ではない。ただ一軍での実戦経験が乏しい分、使うことへの怖さはある。しかし使ってみないことには始まらないし、そういう時期に来ているということを、若松監督は考えておくべきだろう。高齢化が進んでいる以上、使ってみれば意外にチームの循環を促す働きをするかも知れない。 それでも、特に外野手は数自体が少ない。こういう状態で主力に故障が相次ぐと、若手を使うかどうかという以前の問題。故障持ちの多いチーム、どうか体には気をつけてください。 診断…とにかく若い血の注入が必要。新戦力のベッツは未知数、思いきって畠山辺りを一塁で使ったり、志田を中堅で固定してみるのも面白いかも。 <総合分析> ペタジーニが抜けたのは確かに痛い。痛過ぎるというのが首脳陣の本音かも知れないが、これが逆に世代交代の機運となれば、あながちマイナス面ばかりとも言えなくなる。そういう可能性はある。 昨年17勝で最多勝のホッジスも、完投数はゼロ。チーム全体の完投数が藤井5、石川2、坂元1の計8で、これは5位中日の13を大きく引き離してダントツのビリッケツ。 恐らく今年もロケットボーイズに対する負担は大きい筈だが、負担が大きくなればなるほど覇権も遠ざかっていく。無闇やたらこの2人に頼らないような闘いができればAクラス、ダメならBクラスと見る。
<投手分析> 先発…上原、桑田、工藤、木佐貫、久保、真田、高橋尚、入来 右中継ぎ…条辺、酒井、ペドラザ、鴨志田 左中継ぎ…岡島、前田、石川、佐藤 クローザー…河原 昨年自分が下した評価とは正反対の結果を残し、日本一の原動力となった昨年の巨人投手陣。上原が17勝5敗で貯金12を作る堂々のエース復権劇を見せれば、枯れたと思わせた桑田・工藤の両ベテランが揃って大奮闘し、特に桑田の12勝6敗、防御率はタイトル獲得となる2.22という成績は、まさしく御見逸れしたというところ。開幕前は不安視されていた河原のクローザー起用も、前半の鬼神ぶりは後半やや衰えたが33SPなら充分合格点。高校卒1年目の真田も6勝を稼ぎ、後半の快進撃を象徴した。 今年はそこに、大学球界トップクラスの右腕だった木佐貫と久保、ダイエー時代には2年連続最優秀救援のペドラザが加わる。木佐貫と久保は先発、ペドラザはダイエー時代同様にリリーフで起用されると思うが、注目したいのは木佐貫と久保。この2人が先発陣に加われば、高齢化が拭えない投手陣の様相が一変する筈。それだけの力量は持っていると見たい。 先発陣に比べ、中継ぎ陣は若干不安要素が大きい。ペドラザはいわば“戦力外”の烙印を押されてダイエーを退団した格好だが、年々ストレートのキレに乏しくなり、簡単にアジャストされるようになったのが不安のタネ。そうなると、条辺、岡島、前田というところに頼らざるを得ないが、正直言えばもう2枚ほど戦力がほしいところ。イキのいい鴨志田の台頭、条辺と同じ22歳の快速右腕・酒井の一軍定着があれば、台所事情は若干楽になるか。 クローザー2年目になる河原にも若干不安がある。クローザーとして、投球回数50回で8被本塁打は少し多い。元々1発病のきらいはあるが、1点を争う場面では苦戦を演出する率が高い。 診断…先発の層の厚さ・レベルの高さが、逆にリリーフの不安要素を炙り出す。先発が完投すれば文句無し。 <野手分析> 1(左)清水 2(遊)二岡 3(中)高橋由 4(一)清原 5(右)ペタジーニ 6(三)江藤 7(捕)阿部 8(二)仁志 9(投) 控え 捕手…加藤、村田、入野 内野手…元木、川中、川相、宮崎、福井、黒田 外野手…斉藤、鈴木、山田、堀田 昨年のオーダーを元にして考えるなら上のオーダーになるが、清原の体調を考えればペタジーニが4番一塁に入るオーダーの方が現実的だし、中堅に鈴木や山田と言った俊足選手を置いたほうが全体のバランスでは怖い。 リードオフマンとして完全開花の清水から始まるオーダーは、松井が抜けても一定の怖さはある。今年はそこに、巨人ファンにとっては鬼より怖い存在だったペタジーニが加入し、一応は松井の穴は埋まった格好。重量感は相変わらずというところで、阿部の成長も怖さを引き立たせる要因の一つ。江藤の下降線がどの程度かという以外、打つ方の不安は特に見当たらない。 守備面に関してはどうだろう。確かにペタジーニの右翼守備は不安要素だが、松井とペタジーニを比べるから不安なのであって、マルティネスとペタジーニを比べれば、別にどうってこともない気はする。ただ、ペタジーニが右翼に入ると、高橋由の強肩を拝める機会が少なくなりそうな気もする。それが少し残念。 けれど、打線の層が他球団より厚く、二岡と仁志の二遊間が鉄壁である以上、センターに守備的プレイヤーを置いてペタジーニを一塁に回した方が、長いスパンで見た時は嫌な気もするんだよなぁ…どうせ清原は1年フルで活躍できないんだろうし。 あとは控えの選手をどのように使っていくか。怖さはあるが融通の利くオーダーではないので、細かいサジ加減はシェフ若大将、今年も腕の見せ所。 診断…相変わらず怖さ充分の重量打線も、140試合の嫌らしさを追及するなら一考の余地もあり。 <総合分析> 連覇の可能性は充分と見ていいだけの戦力は整っている。木佐貫と久保が額面通りの数字を出せば、ベテラン勢が機能不全に陥っても昨年ぐらいの数字は出せる可能性が高い。 ただ、松井という巨大な求心力を失ったダメージは、ペタジーニの獲得だけで補えるとは思えない。松井には数字では語れない求心力があった。ペタジーニは逆に爆弾要素が濃い男。 死角らしい死角を探せば、その辺りとケガ人が出た時の手当て程度。
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