月の輪通信 日々の想い
目次過去未来


2010年04月30日(金) 怒涛の四月

ゲンの高校入学。
オニイ、アユコ、アプコの進級。
東京での、初代150回忌法要茶会。
東京日本橋三越での展示会。
怒涛のように過ぎて行った四月。
否応なしに乗せられたトロッコで、先の見えない峠の道を全速力で駆け降りて行くような、嵐の日々。
工房と自宅の間の短い距離を、ただひたすらにこま鼠のようにせかせかと往復する毎日。
今年の桜はいつの間に咲いて、いつの間に散っていったのだろう。
空はもう、私の好きな5月の色だ。


初代150回忌の法要茶会を執り行ったのは。4月11日。
初代の菩提寺を借り切って、法要と記念のお茶会が開かれた。
窯元からは、義父母、義兄夫婦、従業員のNさん、M君、私と父さんとオニイが車で上京。
お寺の方々や茶道のお社中の方々の助けを借りて、100人近くのお客様をお迎えした。
慣れぬ土地での催し。
しかも歩行や健康状態に不安のある年寄りたちを連れての2泊3日。
途中、口を利くことさえ面倒になるほど疲労困憊の場面もあったが、なんとか無事に終えることができた。
何よりよかったのは、年老いた義父母が150回忌という大きな法要を無事務められたことをとても喜んでおられたこと。
父母の悪戦苦闘ぶりを見かねてツアーに同行してくれたオニイが、義父母のお世話や茶会でのお客様との対応に、思いの外よく頑張ってくれたこと。
そして、父母の不在中、新学期のあわただしい時期にもかかわらず、3日間の留守番生活を乗り切ってくれた子供たちの成長に感謝。


法要に引き続いての日本橋三越の茶陶展。
2年ぶりの大舞台。父さんも2度に分けて、一週間に計4日間の会場入り。
留守宅を守るのは、例によって、私の役目。
来月のお茶会のDM作成や発送に追われながら、義父母宅の家事、電話番。


法要旅行と茶陶展の合間には、事務のNさんが突然の入院。
ご高齢なので、もうこのまま退職なさるかもしれないという。
ただでさえ煩雑で、膨大な事務作業。
多忙で留守がちな義兄一人で、Nさんの不在を埋めていけるとは思えない。
怒涛の余波は、またこちらに押し寄せてくるのだろうか。



2010年04月06日(火) 満ち足りて

朝からよいお天気。
子どもらはそれぞれに慌しく出かけていく。
今日はアプコの通う小学校の入学式。
6年生になったアプコは、最高学年として新入生を迎えるために少し早めに家を出た。
高3に進級したアユコは、春休み最後の講習。
少し遅れて、高校の入学式を控えたゲンが、制服を受け取りに出かけた。
久しぶりにみんなが出かけてガランとした家の中。
ここぞとばかりに窓を開け放し、掃除機をかけ、干し物をする。
春になると、窓ガラスの汚れがやたらと目に付くようになるのは何故だろう。
川向こうの山桜が、ハラハラと花弁を散らして、水面に落ちる。



ゲンが進学するのは、アユコとおんなじ、隣の町の公立高校。
「自転車で通学できて、剣道が楽しくやれそうな学校」というシンプルな志望動機で選んだ学校だ。
制服は黒の詰襟学生服。これに防具袋と竹刀を担いで自転車に乗れば、古風な昭和の高校生の出来上がり。朴訥で、とんとオシャレの香りのしないゲンにはお似合いのスタイルになるだろう。
そういえば、先日、東京の弟からゲンに電話があった。
「入学祝いに何が欲しい?」と問う弟に、ゲンは「満ち足りてます。」と答えたのだという。あとでふたたび電話をしてきてくれた弟が、笑って教えてくれた。
これといって贅沢なものを買い与えたこともない。
特別甘えたり、何かをねだったりするわけでもない。
一緒に買い物に出かけても「いいよ、いいよ。」と首をふる無欲なゲン。
15の春を迎え、新しい環境の中へ歩き出そうという今、彼の心のなかに溢れるほど満ち足りているものとは、いったい何なんだろう。
実り多い高校生活となることを祈る。














月の輪 |MAILHomePage

My追加