ある大学院生の日記

2005年05月31日(火) 細切れ改訂

某誌からレフリーコメントが届いていてなんとかしないとあかんのですが、このコメントがまた微妙に対処しにくい点がいくつかあるので困っております。実証の論文なのですが、実証分析の方法を正当化するような簡単な理論モデルが必要だ、と言われてしまいました。中途半端な誘導形で実証するというのが認められない時代になったのねー、と思います。まさか「Excelだけで学位が取れる」なんてことはさすがにない(と信じたい)のですが、情報処理技術の発展に伴ってちょっと複雑なことならすぐできちゃうので、「はあ? 回しただけじゃん」と言われちゃうということですね。これに対抗するには、プログラム評価のような極端な誘導形か、computational GEやDPのようながっちりした構造形推定をする必要があるってことでしょうか。ということで、「とりあえず2値変数でプロビットまわしてみました。データもあるし」という印象を与えないように、こちゃこちゃと理論モデルを作ってみましたが、作ってみると意外とめんどうで、「近似する」だの「簡単化のために除外する」だのという言い訳がいくつか必要になりました。やっぱり理論家ってえらいのねー。

ま、若干、海外の先行研究の中途半端なパクリなんですが、「そういうことって日本でも成り立っているのかしらん」というのを確認したくなるというのは日本人の研究としてそんなに不自然ではないとは思うのですが、「おりじなりてぃがない」とか「だから輸入学問だといわれるんだ」とか「そんなんじゃいい雑誌には載らないよ」とか、ええまあその通りでございますよ。競争社会も世知辛いですなあ。



2005年05月30日(月) VAT tax refund

不勉強なもので全然知らなかったのですが、消費税の還付という制度があります。消費税が付加価値税だということを思い出せばどうということはありません。いまの日本の場合、5%の消費税がかかっており、消費者は普通は(というか単純な場合には)小売店に購入額の5%分を支払います。小売店はこの5%分を単純に税務署に納めるわけではなく、卸売業者に支払った消費税5%分を控除して納税します。こうすることで、消費税は取引税ではなく付加価値税としての性格を保持できることになります。小売店が消費者から受け取るぶんをoutput tax、卸売業者に払ったぶんをinput taxと呼ぶこともあります。普通に考えれば、仕入価格は販売価格より低いので、output taxはinput taxより多くなりますが、そうならないときもあります。そういうとき、消費税の還付を受けることができます。しかし、時と場合によっては、output taxがinput taxよりも少なくなるときがあります。ある年度だけとってみればinput taxが膨大になる場合や、output taxが受け取れない場合です。前者の例は設備投資を行った場合、後者の例は取引がゼロ税率(免税とは異なる)になっている場合です。たとえば輸出業者の場合、売上がゼロ税率であれば、output taxを受け取ることができないので、消費税の還付を受け取ることができます。このような還付のことを、VAT tax refundともいいます。

というような話をあんまり理解しないままに、某国からやってきた人と話をしていたところ、彼が「VAT tax refundは汚職の温床になっていて困っているのだ」言うので、「はあ」とまことにもって日本人らしい返事をしていたのですが、やっと要領を得ることができました。で、その「汚職の温床」なのですが、VAT tax refundの手続きの際に「Feeを払わないとrefundしてあげないよ」と脅すんだそうです。この「fee」が賄賂に相当するのですが、これを払わないとrefundの手続きが遅れたり、難癖をつけられてrefundされなかったりするんだそうです。日本の例を見てもわかるように、課税をめぐる係争ではたいがいが政府が勝っちゃいますし、書類にいちゃもんをつけるのも簡単です。ということで、大概の業者はめんどうなのでfeeを支払ってしまうのだそうです。この話をしてくれた彼は「こりゃVATの制度の問題だからどうにかせんといかん」というのですが、僕は「監査とかモラールとか教育研修の話ちゃうんか」と思っております。日本の税務研修というのはよくできているのですなあ。

開発経済学の分野では汚職というのはひとつのトピックですが、こんなところで出会うとは。「捕まる確率pを所与とした最適化問題」とかいう問題じゃありませんなあ。



2005年05月29日(日) ナンバーポータビリティ

ワタクシはシェアの高くない携帯電話会社のお世話になっているのですが、電気屋さんに行って機種変更の値段などを見ていたところ、NTT Docomoやauに比べても機種変更の値段があまりに高いので驚愕してしまい、機種変更する気がうせてしまいました。べつに機種を変更するきっかけも必要性もないのですが、しかし壊れたりすることもあるだろうし、なんてこったい、と思います。壊したりしないように、という懲罰的な値段なんでしょうか。それとも規模の経済が十分に働いていないという技術的な理由なんでしょうか。買い換えさせるほうがいいのかどうかはよく知りませんが、しかしそれにしてもなあ、とがっかりすることしきりでした。マイナー携帯だと、画面が小さいとか、データ転送が遅いとか、字がいまひとつとか、どうにも技術革新に取り残されぎみなのも気になるところです。ええまあ、電話ができてメールが使えれば十分なのは重々承知で、そこらへんのポリシーがまたよいところなんですけども。



2005年05月28日(土) 中国と靖国

このところ中国と関係がちょっとばかりあるので、反日デモがおきていたりすると困るねえと思っていたのですが、となると靖国問題についてもちょこっと関心が起きないわけではありません。弱いですけど。ぜんぜん知らなかったのですが、靖国神社の御神体というのは西南戦争以来の戦死者の皆様ということになっていて、神様が二百万柱以上あるという特殊な神社なんだそうだということを深夜のニュースショーで知りました。慰霊なら無宗教のを作ればよいのでは、と思っていたのですが、そこらへんは作ったとき以来の歴史的なものなんでしょうか。改めて無宗教のを作ればよさそなもんですけど。祀られる基準まではニュースショーではやってなかったのですが、PKO関連での殉職者やイラクで犠牲になった奥大使や井之上一等書記官は対象外なんでしょうか。戦地じゃないから、軍人じゃないから、ということなんでしょうかね。それはそれでまたどうかと思いますけど。

それはともかく、中国に行くことになったらいぢめられないように祈るしかないですねえ。



2005年05月27日(金) 復帰!

1週間ほどこっそり入院していたのですが、復帰しましたっ。復帰したら今月末締切の共同論文について膨大な量のメールがやり取りされていて真っ青になりました。やり取りの結果たいていの問題は解決されたらしく、やることがなくなっていたのは助かりました。こんなところでボトルネックになりたくないですから。

そういえば、明るくて雰囲気のよい、新しい感じの病院の看護婦さんはおおむねキレイなひとが多いような気がします。看護師市場が十分に流動的か、割り当てがなければ、そういう病院は選びたい放題なので自然とキレイドコロが集まる、ということでしょうか。日銀や商社に美人さんが多いのとおんなじ理屈ですね。と、ところで霞ヶ関ではそうでもないようですが、それもまたなにかの序列の反映なのでしょうか。ごにょごにょ。しかし、病院で看護婦さんに襲われるというのは実話でもあるのですねえ、ということを発見。しかもあんなお嬢さん風なひとからの情報だなんて。いとをかし。

今日の授業は地方財政がテーマということで、ついついどうでもいいことまで話してしまったような気がします。こうやって地方財政のにんげんになっていくのかしらん。そういえば明日から地方財政学会ですね。パネルディスカッションはなかなかおもしろそうなので、だれか議事録でも取らないかなと期待しています。阪大辺りの院生さんがやってくれないかなー。

英文校正を「ついでに」やってくれる、と言い続けてやってくれなさそうな雰囲気のところがあるので、しょうがないので業者に頼もうかしらんと思うのですが、どこか適当なところはないかしらー。



2005年05月26日(木) 凹みついでに

長時間座ってられないこともあったりするのですが、とりあえず自宅に戻ってWebで遊んでいたところ、(1)米欧に留学している後輩の活躍ぶり、(2)大学院の後輩のレベルの高さと活躍ぶり、の2点に凹んでしまいました。やっぱやる気が違うよなあと感心することしきり。アクセス解析って素晴らしいですね。諸般の事情で、地方財政学会も日本経済学会春季大会も出かけないことにしているので、ネット経由ででも凹んでおいたほうが正解だったかも、と思います。(1)についてはウカツに春学会で出会ったりすると深刻に凹みそうだし。ま、そんなことより目の前の仕事を明日からちゃんとやりまーす(予定)。あ、明日は授業じゃないか。あらら。

某所(といってもサイバースペース上だけど)で、恒久減税と一時減税についての話題が出ておりましたが、そういえば、財務省主税局が出してくる資料に時々出てくる「平年度」というのはいったいなんなんでありましょうか?まさか「定常状態」を仮定しているとも考えにくいのですが、どなたかご存じのかたがいらしたら教えてください。前述の某所に投げてもいいんですが、どうもねえ。代わりに誰かに投げてもらいたいんですが(美少女にメガネかけさせて上目遣いでお願いさせたいくらいです)



2005年05月25日(水) 戦争の民営化って?

P. W. シンガー『戦争請負会社』 を読んでいます。訳がところどころ不自然だったりするのはまあよいですが、なかなか興味深いです。興味深いですが、冒険小説みたいにのめり込んで読み耽るわけではないのはワタシの修行が足りないからでしょう。

さて、この本の存在を知ってから(イラクの斎藤さん事件から)、「戦争の民営化」が進んでいるのかしらん、と思ったりして何人かに聞いてみたりしたのですが、よく考えると、「民営化」というほどのものなのかどうかはよくわからないです。カッコ付きで「戦争の民営化」とキャッチーに言う分にはいいのですが、民間軍事請負会社(PMF)はおそらくはどこと戦争をするか、誰と戦争をするか、戦争という手段に訴えるかどうか、についての決定を行っていない(防衛についてはよくわかりません)から、それは「民営化」と言えないのかも、ということです。日本でも警察や司法や義務教育は(郵便もだ!)実際のサービス提供を公務員が行っていますが、道路などの建設は結局は民間の会社が行ってますが、それって「民営化」とは言わないです。や、それだけのこと。読み終わってからまた考えましょう。



2005年05月24日(火) 『市場の中の女の子』

松井彰彦『市場(スーク)の中の女の子−市場の経済学・文化の経済学』 を読みました。絵本という体裁を取っているので読み終えるのは簡単ですが、読み終わるとしみじみとします。経済学が何をしようとしてきたのか、を考えます。その点で、amazon.co.jpの「匿名のレビュアー」の書評は的を射ていると思いますし、「「経済問題について知りたい」という一般人の疑問には答えてくれない」というレビューは求めるものが間違ってます。後者のような書評こそ、松井先生が「あとがき」で述べている「経済学というより経済学を中途半端に学んだ人の誤解」に他ならないでしょう。

経済学の最初のほうの授業で、「簡単化のためにこういうことはまずは考えないで」といったあとに構築されたモデルばかりを考えていては不十分だし、背後にどのような仮定前提を置いているのかを深く考えなくては「ねーんげん的」でなくなってしまいます。しかし、そうはいっても多少なりとも経済学でなにかをしようとおもえば、そんな仮定について思慮を巡らすこともなくなってきますし、「なんの学問だったのか」もお座なりにしがちになるのも事実です(とくに業績や就職が必要な場合)。ぼくとしては、「そうはいっても『市場の経済学』で考えることのできる問題がまだたくさんあるとおもうし、そこでは『文化の経済学』をそんなに明示的に考えなくてもいいのでは?」と思わないでもありませんが、こういうメタな話があることも忘れちゃいけないのでは、と思います(ちょっと前の『経済セミナー』の八田達夫・大竹文雄・松井彰彦座談会でいうと、八田先生に近いかも)。『Twelve Y.O.』じゃないですが、希望が持てそうな気がします。とすると、帯の裏側の引用はちょっとずれてるかもしれません。ずれてないかもしれませんが。

さきの書評では、松井先生がこんな本を書いたことはびっくりだ、とありましたが、業績もあり地位もあるからこそ書けたのではないかと思わないではありません。市場の経済学を深く知っているからこそ、というのと、業績も地位もない人間が書いても説得力ないよなあ、という2点で。

いろんな話が出てきて、教養がないとあかんなあ、と思いました。ま、夢とちぼーをもってがんばっていきまっしょい、ということで。



2005年05月23日(月) 『Twelve Y.O.』

テレビを見ていたら、NHK衛星の書評番組があって、広田照幸『教育不信と教育依存の時代』紀伊国屋書店 が紹介されていました。なかなか興味深いです。

福井晴敏『Twelve Y.O.』講談社文庫 を読み終えました。並行して読んでいた本もあったのですが、こういうミステリ・冒険小説は壺にはまるとぐいぐい読んでしまうところが困ったものです。内容としては『亡国のイージス』の前段となりそうですが、『川の深さは』の続き(?)としても読むことができるようです。自律した安全保障を持たない日本・自衛隊と合衆国との関係を軸にするところは『亡国のイージス』と似ていて、読みつついくつかのトリックを考えたのですがどれも外れてしまいました。こういうのを堪能できるいい読者になる素質があるのかもしれません。それにしてもおもしろかった。



2005年05月22日(日) 『数奇にして模型』

TBSのアナウンサーの結婚の報道よりも、川幡由佳の結婚のほうが重要だと思う、といってもあんまり相手にされないのはなんでだろ〜♪

は、さておき、森博嗣『数奇にして模型:NUMERICAL MODELS』を読み終えました。事件の動機は相変わらず分かったようなわからんような、なのですが、自分は自分、他人は他人、理解しようとするより前に認識を深めようという話なのかもしれません。

「正常を定義できれば、その補集合、つまり、そうでないものが異常だ」
「正常はどう定義するのですか?」
「それは、地域や時代によってまちまちだし、人によってもいろいろだ。厳密に定義したって意味がない」(p.269)
「そう、ものごとを合理的に考える習慣がわれわれ研究者にはある。たとえ、屁理屈だとか冷血だとか後ろ指をさされてもだ。だが、もちろん、理由があるからそうしている。それが、人間や社会を救うための最善の策だと信じているからだし、同時に、自分のためでもあるからだ。違うかね? それだけのことだと思うが」(p.286)



2005年05月21日(土) 朝は

腰がぐったりしていて起き上がることができなかった。



2005年05月20日(金) 熟睡

してしまった。薬を盛られたらしい。説明も聞けなかった。



2005年05月19日(木) 今日から

7泊8日(予定)で雲隠れ(?)します。

ぼーっとしていて、「ある平凡助教授の,なんということもない日々」を発見。高松に実在する大学は大丈夫なんだろうか。大丈夫だろうけど。



2005年05月18日(水) Impute

午前中はあの雨宮健の集中講義に出ました。Tobitモデルについてのお話で、ちょっと気になっていたDubin and McFadden (1981?, Econometrica) の話でした。尤度関数の構成や修正項を用いた2段階推定を考え付くのはすごいというのに加えて、
1980年代の計算機でそんな計算をしたというのにもっとびっくりします。収束計算して係数の推定値を出すだけじゃなくて、その共分散行列を求めるなんて大変だと思います。もっとも、雨宮先生は「私は何回もやりましたからそんなに難しいとは思いません」とにこやかにおっしゃってましたが。

そのあとは、E先生たちとご飯を食べました。ことしはiHEAがあるんでしたー。

夕方の研究会でこの前もらったレフリーレポートについてお話をしましたが、要するにmissing valuesのimputeの問題でしょう、ということになりました。imputeした変数を使って求めた係数推定値の分散共分散行列の修正なんてあるんでしょーか。Murphy and Topel (1985, JBES) とは違うと思うんですけど。だってあれは2段階推定のLIML的な修正で、FIMLにしちゃえば修正しなくていいんですけど、われわれのはそうじゃないと思いますし。それよか、いくら政策の影響についての論文だからって、そうそう政策的含意なんて出てこないと思うんですけどー。



2005年05月17日(火) 制度と執行

とある事情で、ネパール人とラオス人とマレーシア人とお話をする機会があるのですが、彼の国々の税制の話を聞いていると、日本の税制はうまく運用されているなあと思います。税は「とられる」もので「納める」という意識はあんまりないようですが、それはそれとしても、脱税や、税務官への賄賂もあんまりないのは、義務教育のおかげでしょうか。そうか?国によっては、税を所管する官庁の上層部が政治的任命制度によって決まるところもあるらしく、その上層部が人事をいじったりするものだから専門の人材も育たないんだそうです。発展途上国各国も、関税へ依存ばかりはしていられない事情があるらしく、かといって所得税のような個人直接税を取るには制度が未発達で、法人税は事業誘致のために上げられないとなると、残るは一般間接税としての付加価値税、ということになっているようです。VATといえども賄賂の余地は多くあるようで、そこも問題なのよねえ、という事情もあるようです。やっぱり衣食足りて礼節を知るんでしょうかねえ。礼節じゃないか。



2005年05月16日(月) 調査と研究はどう違うか

目的を見失わないのが調査、見失うのが研究。



2005年05月15日(日) 鉄人の店

六本木のほうの大学院大学で助手をしている友人が結婚式を挙げるというので、南青山のラ・ロシェルに出かけました。全然知らなかったのですが、非常な有名店だそうで、併設されたプロテスタントの教会で挙式して披露宴というのはちょっと前には大流行だったそうです。この店を知らないとか言うと、MMさんやHHさんのような美人の先輩方に馬鹿にされそうなのであんまり大きな声ではいえないのです(たぶん読んでないし)が、さすがに大学院の同級生には知らない人もいてくれたので安心です。安心しなくてもいいのですが。新郎新婦揃ってすぐ近くのA学院の生え抜き(?)なので、その土地柄もあったのかもしれません。あ、A学院というと上司に絡まれそうな気がしますがまあいいです。

さて、プロテスタントの挙式も、外で雷がなり地震が起きるという天変地異のなかで恙無く終了しましたが、新郎が号泣していたのが印象的でした。ああいうのって、片方が号泣すると他方が覚めちゃうんじゃないかと他人事ながら心配しました。ま、新郎くんも思ったより素直に育っていたということでしょう。レストランの料理はさすがに「美味!」でしたが、やっぱり量より質を追求した結果なのでしょう(少なかったといっているわけではない)。

しかしなにより披露宴でびっくりしたのが、大学院時代にさんざんにからかっていた新郎くんが実はかなりのハイブリッド…ではなく、サラブレッドらしいということでした。それをおくびにも出さなかった彼は「親の七光りを利用しない」という点では立派だったのかもしれませんが、あの大学院ではそれもさらにからかいの(いぢめの?)ねたにしかならないということに彼自身が気付いていたのかもしれません。

いずれにしても新郎くんが素直に幸せそうだったのでめでたい限りなのですが、2次会で某Sくんの出会いを演出できなかったことはやや悔やまれるところです。ネコ●スに似た好青年なんですがねえ。



2005年05月13日(金) 学生の質問

非常勤講師をしている授業で学生さんからの質問を募っています。募ったあとで次の週の最初にいくつか答えるようにしています。「おおっ」というような質問が出てくることはあんまりないのですが、今日答えた質問のなかに「会計検査院や費用便益分析は役に立っているのか」というのがありました。こういうことを聞かれると、さしあたっては「制度的に整備されている」てな話をとりあえずするのですが、「官官接待華やかなりし頃には会計検査院についての噂もあった」とか「費用便益分析には需要予測水増しの噂も」とか話したほうが盛り上がるのではないかしらんと考えてしまいます。チョーク芸人の習性でしょうか(ちがうか)。

「よくできた」学生さんはともすると「気の利いた政府批判ができねばならん」と思っている節があるようなのは気になるところです。政府は利益団体の言うなりになっていてけしからんのであって、もっとしっかりせんとあかんのだ、といったような頭ごなしの自国や自国政府への批判精神は一体どこで涵養されたものなのか、気になるところです。そういう批判を批判すると「期待はずれだ」と言われかねないのは全く心外です。批判精神あふれる学生と、寝ている学生のどっちの評価が高いかはまた悩ましい問題です。



2005年05月12日(木) 採択

新たにできた査読付き学術誌に尊敬する先生との共著論文がアクセプトされて、栄えある創刊号に載ることになって、ワタクシの業績も増えてなによりなんですが、ええっと、えらそうなことを言えたものではないのは重々承知しておるのですが、「こんなものなのかしらん」という胸のもやもやを消せないのは一体なぜなのかしらん。

某英文誌からのレフリーレポートは、「んなこといわれても」的な部分がなきにしもあらずなので、そこらへんでバランスが取れてるのかと思ったり思わなかったり。



2005年05月11日(水) 世界のアメミヤ

あの雨宮健が短期客員研究員で来ていて、しかも集中講義をやっているというのでひょこひょこでかけていきました。Takeshi Amemiyaといえば「ノーベル賞に最も近かった日本人」として有名な計量経済学者だったかとおもうのですが、ぼくの大学院の同期にはそのことすら知らないひともいたようで、悲しい限りです。確かに、学者や学術雑誌の名前を知っていることは重要ではないのですがそれにしても。

言ってみると、知り合いの先生や同級生も数人いらしていて、ちょっとびっくりしました。肝心の雨宮先生は穏和そうなおじいさんで、さすがにStanfordが長いだけのことがあって、専門用語は随所で英語になっているのが気になりました。話の内容は、計量の証明というよりは手法の紹介といったところでした。てっきり、一致性の証明や、行列使いまくりの分散の推定といった話になるのかと覚悟していたので、ちょっと拍子抜けでした。かつて雨宮先生の学生だった助教授・教授がすっかり学生の眼になっていたのも印象的でした。

終わった後は、久方ぶりに大学院の同級生と学食でくだらない話をしながら昼ご飯を食べ、指導教官のところにでかけました。というのも、珍しく指導教官といっしょに仕事をすることになったからで、共著者の4人で集まってわいわいがやがやとお話をしました。「陰鬱な科学からの幸福なニュース」とかいう、最近話題の論文を意識しましょう、という話になったのですが、正直なところ、この論文が何をやっているのかよくわからず、お話としてはともかく論文としてはどうなのかしらんと思っております。Policy paperとなるとそんなことばかりを言っているわけにもいかないので、改訂してちゃんとしたペーパーにしましょうかねえ、という明るい結論になりました。しかしそれってまた仕事が増えるってこと?



2005年05月09日(月) 博士が100人

一部で話題になっている「博士が100にんいるむら」ですが、博士号がなかなかでないことで知られていた社会科学分野のにんげんにとっては、「その前に博士号自体がないやん」というややもすれば切ない感慨に囚われてしまいがちなのですがそれはさておき。知識立国ニッポンにおける社会科学分野の修士・博士課程修了者の社会的立場の低さというのは、極一部成功しているMBAなどを除けば、驚くべきものだ、理系がうらやましいと思っております。印象論ですが。きっと理系の博士号取得者(医学系含む)は、(助手やポスドクを経るにしても)大学や企業の研究所などに就職して、しやわせな人生を送っているのであろうなあ、それに引き換え経済分野なんて「学者先生には言わせておけばいいから」などとユーザに言われてしまい、「おもしろいからいいじゃないか」と開き直るにもちとさすがに気が引けるんでないかいな、と思っておったのですが、どうもそうでもないようで。「専門家」という存在に対する漠然とした蔑視や、それを軽視したまま進められた大学院拡充政策や、それについ乗ってしまった学生や、なんだかややこしいですなあ、といってここは逃げてしまいましょう。そんなことよりしっかり勉強せんと。公共ナントカの法螺を見てにやにやしているだけじゃあきまへんがな。

ちなみに、「博士が100にんいるむら」の本ネタは文部科学省の学校基本調査のようです。「博士号取得者の就業構造に関する日米比較の試み」というのもあるそうですが。



2005年05月07日(土) 片付け

重要な来客があるので家を片付けましたが、ええまあ、物を捨てない限りそんなに片付きゃしないのね、というアタリマエのことを実感しました。ああ。



2005年05月06日(金) 谷間

連休の谷間で出社してみたら、連休に入る直前からその前の谷間にかけて、共同研究にからんだメールがここへ来てたくさん来ていて、何だ突然、とびびってしまいました。さっそくいくつか対応しようとしたのですが、まだ風邪が完治していないようで、どうにもふらふらしてぜんぜん進みませんでした。すいません。



2005年05月05日(木) かずら橋

Tくんも徳島の秘境と言ってましたが、かずらばしに行きました。昨日の帰り道に寄ろうかと思っていたのですが、びっくりするくらい渋滞していたので、朝からあらためてでかけました。祖谷渓谷沿いの道はそれほど大きくないので、簡単に行くことのできる秘境が人気が出てしまうとあっというまに渋滞してしまうようで、朝でもちょっとその気配がありました。さて、かずら橋は3年ごとに架け替えて技術の相伝と維持補修に努めているようですが、じっさいのところ、かずら以外の材料も使っているようです。橋は揺れるし、足元から渓流を見下ろすとおっかないので、そんなことはどうでもいいのかもしれませんが。渡るのにちょいとお金がかかりますが、それも仕方ないでしょう。

しかし、


かずら橋ひろば、とかいう清水の舞台のお化けみたいなものをあの山奥に作るのはさすがにいかがか、と思います。駐車場を広げたいのか何をしたいのかよく分かりませんが、その下流部にはどでかい橋も作るそうで、たしかに道も狭いし、渓谷なので斜面も急ですが、しかしそれにしてもなあ、と思いました。かずら橋からは、祖谷トンネルを抜けて国道32号線に帰る楽ちんルートではなくて、祖谷渓谷をそのまま祖谷街道で北に池田に抜けるルートを取りました。道はくねくねしているし狭いし、対向車両はけっこう来るし、でちょっと大変だったのですが、新緑の中をゆったりドライブができたので涼やかでよろしかったです。藤があちこちに咲いていてきれいでしたし。

徳島道を戻って美馬ICから高松空港に戻るのですが、昼ごはんにうどんを、と思って、ガイドブックに乗っていた超有名店に行ってみました。びっくり。さすが超有名店だけあって、1店目は12時半ですでに売り切れ、2点目は駐車場を拡大して売り切れは出さない主義らしいのですが、春にしてはやや強い日差しのなかで長蛇の列、駐車場に入りきらない車が周囲に路上駐車という有様でした。田植えが終わったか終わらないかの田んぼが広がり、そんなに人影も見ない讃岐平野の一部分だけに突如として出現する長蛇の列というのは、まさしくおそるべしさぬきうどんという感じです。ブームはまだまだ健在のご様子ですが、うどんくらいで並ぶのも好きではないので、ふつうのうどん屋でなかなかおいしいうどんをいただいて帰ってきました。大根おろしとネギとスダチと醤油だけでしたが、コシがあってよいものですね。



2005年05月04日(水) ラフティング

モンベル・アウトドアチャレンジでラフティングに参加してみました。ちょっとばかり体調が悪かったのはさておいて、大歩危に新たにできていたモンベルクラブに9時に集合しました。行ってみるとモンベルクラブ自体は10時開店ということで、しまっていてちょっと躊躇しました。さて、われわれが参加するイベントにはひとが多くないことが多いのですが、今回は30人ばかり、ラフティングボート4艘でした。水着を着てフリースをかぶってウェットスーツを着て、ラフティング用のジャケットとライフジャケットをさらに着込んでヘルメットをつけます。いくつかのガイダンスを受けて少し練習をしてから川下りに行きます。1艘あたり参加者6人とガイド2人で、パドルで漕いでいくのですが、吉野川は瀬と渕が階段状に繰り返しなので、実質的にはあんまり参加者は漕がなくてもよいようです。大きなゴムボートで川くだりをするだけではなくて、川に飛び込んでみたり、瀬でボートをサーフィンさせてみたり、ボートをひっくり返してみたり、いろいろなイベントがあり、途中で素敵なランチも出て、楽しいイベントでした。さすがにまだちょっと水は冷たかったですが、飛び込めないほどではないですし、ガイドさんも快活で誠実で、初対面の参加者たちを盛り上げようとしていました。天然ウォータースライダーで絶叫しまくり、というだけとはちょっと違うのですが、のんびり新緑を見上げてみたり、川に飛び込んでみたり、かなりすかっとするツアーでした。東日本だと長瀞などでも体験できるようです。今度はカヌーかカヤックかな、とおもうのですが、相方くんはシャワークライミングのほうが興味深いんだそうです。うーむ。



2005年05月03日(火) 秘境の湯

徳島道を通って祖谷のホテル秘境の湯へ移動しました。徳島道というのが高速道路なのかどうかよく分からないのですが、随所で対面通行になっていてちょっとおっかないです。徳島道を池田ICで降りて、小歩危・大歩危を通って祖谷方面へ抜けます。国道32号線は整備されているので、すいすいと進めてなかなか便利です。秘境の湯というのは、32号線から外れて祖谷方面へ抜ける道が祖谷渓に入る直前にあります。昼間のごたごたの緊張感から解放されたのか、ここまで来て熱を出してしまったのにはちょっとがっかり。



2005年05月02日(月) 栗林公園

祖母を訪ねたついでに栗林公園に行ってみました。三名園よりも、と讃えられただけのことはありますが、ところどころ水が澱んでいるのは、構造上仕方の無いことかもしれませんがちょっとざんねん。



2005年05月01日(日) 立ち見も満席

上野鈴本の昼の席で小猫や小朝や正蔵がでるというので、これはとおもって、11時半開場だから11時過ぎにつけばいいやと思って出かけたのが運のつき、すでに立ち見券も完売でした。落語ブームおそるべし、なのですが、そのあと池袋演芸場の前に行ってみたら、鶴光とかが出ているのに空いていそうな雰囲気でした。正蔵オソルベシ、だったのかもしれません。


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