TOI,TOI,TOI!


2004年04月28日(水) 指揮者コンクール


バンベルク交響楽団主催のマーラーコンクールが行われている。これは指揮コンクール。

私は2次とセミファイナル、そしてファイナル、受賞者コンサート、で弾く事になっている。
今は2次が終わったところ。4月30日がセミファイナル。

ベネズエラ出身の23歳の指揮者と弾くのが一番楽しい!
彼はオーケストラ(しかも一流)を操ることに、夢中だ。夢中で楽しんでいる。だから私たちももちろん楽しい。
おばさんたちの目じりは下がりっぱなし。
彼が賞を取れるといいなあ。

ウクライナ出身の美しくて若い女の子もセミファイナルに残った。
きっと審査員のおじさんたちの目じりがすっかり下がっていることだろう。

ブルガリア出身のヒゲ紳士は、落ち着きはらっていて、こちらも弾いていて安心感があり、技術も音楽性も非常に高レベル。少なくともファイナルに残るであろうし、優勝する可能性も高いと思う。

セミファイナルに残ったうちのあとの一人は日本人。昨日たくさん話をした。彼は東京在住。


2004年04月25日(日) シェーンベルク


シンフォニエッタ・フランクフルトの本番が終わった。曲はシェーンベルク作曲、15人のソリストのための室内交響曲1番、作品9
月曜から木曜まで4夜連続で、フランクフルトおよび近郊の市でのコンサートだった。主催はフランクフルト銀行。

曲名にもある15人のソロ楽器というのは、フルート、オーボエ、イングリッシュホルン、クラリネット2本、バスクラリネット、ファゴット、コントラファゴット、という管楽器10名+弦楽5重奏の計15名。

室内交響曲という聞きなれない題名だが、室内楽の要素も交響曲の要素も両方含んでいる感じ。
ちなみにプログラムの後半はブラームスのセレナーデ作品16で、これはなんとバイオリンなしの編成。ビオラがコンマス。

ブッフベルガー指揮による室内オーケストラ、シンフォニエッタ・フランクフルトのコンサート、なのだと思っていたら、初めて管楽器の人たちと合わせたときびっくりした。彼らは木管八重奏団を結成しているプロ集団であった!
彼らの普段の仕事場は、チューリッヒのオペラであったり、ヨーロッパチェンバーであったり・・・。

当たり前だがプログラムには8重奏団、シンフォニエッタ、両方のアンサンブルによる演奏ということになっていた。


本番は自分としても本当に楽しんだし、すごい人たちと共演できたし、いい経験させてもらって本当によかったと思っている。

ブラームスのメンバーもシェーンベルクを聞いてくれた。そのうちの数人はなんと4回全部!
とにかく曲が素晴らしい、聞けば聞くほどちょっとずつ分かってくる。だから今日も聞く!と言って彼らはいつも客席に座ってくれた。本当にうれしかった。

ポーランド人のゴシャという新しい友達がいる。フランクフルトのゲーテ大学(総合大学)に通っているその子は、クラシックの演奏会というものに今までいったことがなかったという。
せっかくドイツに越してきたので一回何かのコンサートにいってみたことがあるけど、そのときの印象はいまいちだったらしい。

マライケがゴシャを一応誘ってみた。
ブッフベルガーが曲目解説をしている間に彼女は会場に入ってきたという。
マライケがあとで言っていた。
「ゴシャは本当に感動して、聴きながら涙を流して泣いてた。」

今回、一番うれしかった、一生忘れられない瞬間でした。


2004年04月11日(日) マタイ


ドイツに帰ってきての初仕事、バッハのマタイ受難曲のコンサートが終わった。

実は私がマタイを弾いたのは今回が初めて。

『シンフォニエッタ・フランクフルト』という名のこのアンサンブルは、リーダーであるブッフベルガー先生が自らの手によって組織し、指揮したりコンマスをやったりする。今回は彼がコンマス。

私は今まで人が「マタイっていいよね」なんて言ってても、いや、私ははっきり言ってよく分からないと思っていた。
今回、マライケに(彼女も今回のメンバー)、歌詞をはじめから終わりまで全部解説してもらい、やっと少し見えた。マタイという人が書いたシナリオが。

ちなみにバッハは、聖書を書いた4人それぞれのシナリオに曲をつけたらしい。そのうちでヨハネとマタイだけが有名だ。

聖書というものは最も古い本であるわけだけど、その聖書を書いた人たちは本当のことを書けなかったのだ、という。ある友人(ドイツ人)によると。

イエスだけが十字架にかけられたのではなく、当時は一日に何人もの人が十字架にかけられて死んだのだそうだ。
ローマ人というのが勢力を振るっていたわけで、聖書を書いた4人も、もし本当のことを書いたらあっという間に十字架だったはずだ、と。だから聖書にはユダを悪者にして書くことにした、という。

う〜む。

太平洋戦争だってなんだって、元をたどれば根本はそこから来ているのだと、その友人は言う。聖書に書かれたことと、聖書に書かれなかった事実との間で。

たとえば、ワーグナーはユダヤ人が大嫌いだったというのは知られている話だけど、それはただただ精神的に嫌いだったのであって、ユダヤ人に何かされたわけでも恨みがあるわけでもなかったはずだ。

う〜む。

とにかくマタイは聖書によるものなのだ。
聖書の話についての感想を本番後皆で話したりした。それにしてもユダは、なんでお金なんかにつられたんだろうか。そんなに大金だったのだろうか。
あとで、大後悔してお金を投げ捨て、「イエスを返してくれ」という場面は、私達のグループ(2オケのバイオリン6人)のお気に入りであり、どうしても悲劇的には弾けないト長調の曲であった。


今月もうひとつシンフォニエッタの本番があるので、今はそれにかかっている。今度はシェーンベルクの室内交響曲(作品9)という曲で、ブッフベルガー指揮、私はコンミス。




2004年04月06日(火) 来日


春休みを利用し、日本に帰ってきた。
2001年5月以来初めての一時帰国には、マライケも同行したため、あちこち時間のある限り観光することとなった。

家族に会い、友人に会い、師匠に会い、
ほぼ3年ぶりの日本で、思う存分羽を伸ばしてきた。

周った主な所

・鎌倉

・浅草

・上野公園(桜はつぼみ)

・姫路城(あの桜が満開だったらなあ)

・金閣寺・龍安寺・仁和寺(バス移動は時間がかかるし疲れる)

・清水寺

・奈良の大仏

・奈良公園(鹿せんべいは買わず)

・秋篠寺の伎芸天

・西大寺

・和歌山の白浜の千畳敷

・白浜「崎の湯」

・富士山(高速バスで日帰りで)

・千鳥ヶ淵(桜満開)

さて、そろそろ時差ぼけも直ってきたので、
通常モードに切り替えてがんばろう。


  
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