2004年08月16日(月) 佐久島

今日は佐久島に日帰りで行ってきました。
佐久島は、日間賀島、篠島と並ぶ三河湾に浮かぶ離島。
3つの島はそんなに離れていませんが、日間賀島と篠島は南知多の師崎から船で行くのに対し、佐久島は一色という漁港から高速船で行くのです。

佐久島はお祭りの最終日で、朝から弁財天という所で太鼓を叩いています。
大太鼓が一つ、そして笛を吹く人が数人と小さな太鼓2つを、かわるがわる受け持って神社で楽を奉納しているのですが、とにかく人も少なく、小さな小さなお祭りです。

佐久島には初めて行ったのですが、海が非常にきれいです。
また、海辺だけでなく、道にはフナムシがいっぱいです。足がいっぱいのフナムシは、楳図かずおのマンガに出てくる未来生物によく似ています。フナムシは割と弱気な虫でありがたい。歩くととにかく、ささささと一斉に道の端に逃げていってくれるんですから。これが強気なヤツラなら、私には行けません。歩くたびにこちらに向かってくるような虫であったなら。

お祭りを見た後、最近の佐久島名物らしき「大アサリ丼」を食べ、そのあとで焼いた大アサリ5個500円を食べました。大アサリはフツーに焼いただけの方がおいしかったです。
海水浴場は、小さな島としては随分とたくさんの観光客のように感じましたが、そういう場所としては非常に人は閑散としています。だからどこかリゾート気分。
その後、海沿いに島をぐるりと歩きました。
海沿いから道は次第に両側に畑がある道になり、そして山の中へと入っていきました。畑の間を通るアスファルト道は、雑草が生い茂ってますが、木陰になるような木はありません。照りつける日差しがあって、虫の声と鳥の声がして、あとは私たちの足音しかしません。そういう静かな静かな道です。黙々とそんな道を歩きながら、ああ、こういった道が、私にとっての夏の原風景だと思いました。子供の頃の夏の記憶は、人の声や車の音などが何もないのです。虫と鳥と、あとは自分の足音。うつむいて黙って歩く暑い道。こんな小学生のときの感覚が、夏になると何度もフラッシュバックするのです。

さて、佐久島の町並みは、篠島や日間賀に比べると、非常に閑静です。で、たまには新しい家もあるのですが、どこの家も、昔からある今では不用な物などがごちゃごちゃとそのままに打ち捨ててあります。捨ててあるのではないのかもしれませんが。ただ、日々の生活にまみれて、美観だとか合理性だとかの観点で整理できずに、なにもかもがごちゃごちゃになっています。
例えば畑の隅に少しだけ割れた瓦がきれいに並んでいます。右端からきれいに並べられた瓦は左に行くに従って割れが多くなり、最後の方はただの破片となって畑にちらばってます。捨てればいいと思うのに、いつからそのままなのか、きっとずっと先もそのままなのでしょう。そういう雑然とした感じが私は結構好きなのです。



2004年08月10日(火) 下呂の旅・つづき

花火の後から朝までたっぷりと寝て、早めに宿を出ました。そして下呂の少し南の乗政というところの枝垂栗(しだれぐり)を見に行きました。しだれぐりというのは栗の突然変異種で、木も枝も異様な形で捩れています。その風情は日本画が似合いそうな味わい深い姿です。このしだれぐりの自生地は日本で3ヶ所しかなく、以前に小野のシダレグリというのを見に行き、今回は2つ目の自生地です。




これがしだれぐりです。こういうのがものすごくたくさん生えています。
随分と勾配のきつい山の中を800mほど登った所にありました。

ついでに、やはりそれほど遠くない門和佐という所に、「門和佐の夫婦杉」というのがあるそうで、そこにも寄って来ました。門和佐という場所をずっと車で走らせたのですが、詳しい場所はわからず、困って「中村」という地区にあるお店の方に尋ねてみました。そうすると、小さくてとっても笑顔のすてきなおばあちゃんが、すたすたと前を歩いて、その木の生えている山の所まで連れてってくれたのです。木は、偶然にもその「中村」という地区を記した看板からそう遠くない所にあったのです。
「門和佐の夫婦杉」と書かれてあった筈の木の杭は、既にぼろぼろで全く判別が出来ず、そのおばあちゃんに教えてもらわなければ辿りつけない場所にありました。
畑の広がる細い山道を通り、そこから杉がいっぱい生えた山を少し登ると、その夫婦杉がありました。細い杉の木立の中、目通りは5mばかりですが凛と立つ杉は、小さな山の神のような神々しさと凛々しさを持っていました。








こーんな感じののどかな山道。名古屋では聞けないミンミンゼミの声がします。他のセミの声もいっぱいです。
私はお店で仕事をしていてそれは幸せなことだと思うのですが、お休みにこういう場所に来ると、私たちのお店に足りないものを感じてしまいます。
一つは美しい夕日。残念ながらそれほど高くはないながらもビルに囲まれている店のある場所は空が狭く、沈む夕日が見えません。
それからセミの声。そして木陰に入ると感じる涼しい風です。
夏はただただ暑いものだと思ってたけど、こういう場所に来ると、夏ってこんなに素敵な季節なのだと思い知らされます。確かに照りつける日差しは暑いけれど、草いきれと共に優しい風が吹いているのです・・・。

旅の終わりに、昭和村という所に寄って来ました。
昭和の風景を再現したテーマパークだそうです。
そこではずっと坂本九の曲がかかり、建造物や展示品など昭和30年代を基にしたものがいっぱいでした。様々な体験コーナーも充実しています。




しかし、道はすべてアスファルトで整備されたその「昭和村」よりも、門和佐のおばあちゃんの笑顔や山道、枝垂栗の自生地付近の農家の集落、そこから聞こえる鳥や虫や風の様々な音の方が、よほど「昭和」でした。



2004年08月09日(月) 下呂の旅

下呂はその昔、「下留」と書いて「しものとまり」という地名だったそうです。それが音読みで「げる」と呼ばれ、その後「下呂」という文字を充てて「げろ」という発音に変わったそうです。
・・・「しものとまり」にしておけばよかったじゃん・・・!
「げろげろげろっと啼くカエル♪」なんて歌でカムフラージュしている下呂ですが、やはり「げろ牛乳」ですとか「下呂の香り」なんてお菓子を見ると、やはり身も蓋もなさを感じてしまうのですが、いがなものか。
そんな下呂に4年ぶりぐらいに行ってきました。以前は巨樹の旅で下呂を訪れたのですが、今回は花火です。
なんせ花火といえば土日が多く、お店を始めてからというもの花火を観に行くことが出来なかったのです。しかし下呂の花火大会が8/9(月)にあると知り、ちょうどうちの2連休に重なるので行ってきました。

さてしばらくぶりの下呂で、途中までは助手席で爆睡し、途中からTAKEDAのナビのままに朦朧とした頭で運転していたため、私は下呂の地理上における位置というものをすっかり忘れていました。下呂の近くの「道の駅」で下呂土産と共に高山の名産品などが売られていることに驚いてしまったのです。
「なんでここに高山のさるぼぼが売ってんの?」と聞くと、「そりゃ下呂と高山は近いからだがね」と言います。
「なんでよー。下呂って三重じゃないの?」
そう、私は下呂に行くと聞いて、ずっとそれは三重県なのだと思い込んでいたのです。ばかばか。

それはさておき、実は下呂に入る前に中津川にある女夫岩神社に行ってきました。「めおといわ」と読むのですが、普通は「夫婦」と表記されるのが「女夫」なのは、その石がイザナギ・イザナミに関係するものだということなのでしょうか。
さて、その女夫岩。「夫」の方の写真を出します。どどーん!



ま、これで「女」の方も勿論、推してしかるべし、ですね。
いやー、私たちのすぐあとに4人家族が来ましたよ。中学生ぐらいの男の子と女の子とその両親、ですね。見た途端、多分、おかさんは「うわ、やってもた」という感じでしたね。おとさんは果敢にも説明してましたね、子供たちに。ムスメの方はまだなんだかよくわかってない感じでしたが、ムスコの方はなんだか感慨深げでしたね。しかしカタカナで書くとやらしげですね。

さて、下呂に着いて早速小さなビジネスホテルにチェックインしました。この日、下呂はどこもかもいっぱいで、ようやく取れた小さなホテルに小さな一室ですが、入って驚き。花火を見るのに最高の立地だったのです。まさに打ち上げ場所のまん前なんです。早めに行って場所取りをしなくてはと思ってたんですが、ホテルに室内から十分に見られそうです。



写真左端の「ビジネスホテル」という看板のある小さな所です。3階で、しかも目の前にはトタン屋根があり、窓から屋根に行けるのです。
花火は好きだけど人ごみは大変苦手なのです。それが唯一憂鬱だったんですが、これならノーストレスでのんびりと花火が楽しめます。

花火が始まる前に到る所にある足湯や銭湯で下呂の湯を楽しみました。中にはとても素敵なお店がありました。個人の作家によるオリジナル雑貨を販売している所で、中には小さなカフェもあります。雑貨は様々な個性の、どれも素敵なものばかりです。で、飲み物を買って、外で足湯につかりながらそれを飲むことが出来るのです。温泉のある街って本当にいいなぁ・・・。

さて、花火は下呂の河川で行われます。下呂の河川には川の側に沸く無料の温泉もあります。普段でも橋の上から裸のおっちゃんがそこでお風呂に入っています。で、この花火大会の日、川の周辺は日のあるうちからものすごく賑わっているというのに、やはり裸のおっちゃんが川の温泉に浸かっています。ってゆーか、裸のまんまで石の上でずーっと夕涼みをしています。(写真右下がその川の温泉場。裸のおっちゃんが見えるでしょうか)。
そのすぐ横ではカップルやギャルたちが足だけお湯に浸かってます。「キャーッ、おぢさん、エッチーッ!」とか言ったりしないようです。公然わいせつ罪とか関係ナシの下呂って、本当にいいよなぁ・・・。

で、ようやく夜8時。どこもかしこも人で膨れ上がっています。私達は部屋の電気を消して、ホテルの屋根の上で花火見物。
下呂の花火はレーザー光線と音楽を花火と同調させる「ミュージカル花火」とゆーやつでした。始まる前からパット・メセニーの曲がスピーカーから大音量で流れて盛り上げていました。
花火の時は曲は好きでもなんでもないヒット曲のオンパレードだったんだけど、これがねー、どかんどかんと打ち上げる花火とねー、人が踊っているようにも見えるレーザー光線でねー、どえらい泣けたんだわー。私とTAKEDA以外に誰もいない屋根の上で、ボロボロ泣いて、笑って、拍手しながら花火を楽しみました。
絶対にまたこの花火大会を見に来るぞ!と心に誓いました。





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