五行日記
ガム



 リトルターミネーター。

体格も恐らく人間の器も僕より一回りも二回りも大きい彼。

そんな彼に似ていると言われて嬉しかった訳じゃないけど、

調子に乗って使ってたその言葉はしばらく封印しておこう。

本当にそうなってしまったらシャレにならない。

どうせ使うなら「ノープロブレム」で。そしてサヨナラ。

2005年03月31日(木)



 苦さ控えメモリー。

最後って理由だけで聞かれた携帯の番号やアドレスを

教えることに抵抗はないけど、意味もないと感じる。

気休めにもならない夕刻の出来事に

苦さ控え目の笑顔で答えてみた。

不確かなものに縋る余裕を、今はまだ持ち合わせてない。

2005年03月30日(水)



 優しさの連鎖。

言えなかった本音を少し零して

少しだけ共感されたような気がした。

自分じゃない誰かに優しい言葉をかけるのは

そんなに難しいことじゃない。

今日は最後でも、これが最後じゃないことを願う。

2005年03月29日(火)



 ロンリーチキン、頑張る。

まだ微塵も感じられない春を感じるべく

スプリングバンク(バーボンウッド)を飲む。

別れの後に来る出会いに特に期待するものはない。

今日は少しだけ頑張ってみた。

帰り道で僕を濡らした雨が唯一の春だったかな。

2005年03月28日(月)



 ネクタイギュウっとユニフォーム。

ストレス性のものかは分からないけど最近何だか過食気味。

挙げ句、食べてすぐ寝たりするもんだから体が重い。

牛になっても困るけど、スーツが入らなくなっても困る。

4月からのユニフォームがスーツじゃなく

鼻輪なんてシャレにならないな。

2005年03月27日(日)



 酷似顔で異口同音。

兄貴の結婚式で30人以上の親戚が実家に集まった。

酒も入り、酔った親戚一同、僕にプレッシャーを掛けてくる。

みんな全く同じ、結婚のこと、4月からの仕事のこと…。

ほっといてくれとも言えず、作り笑いに愛想笑い。

また親戚付き合いが苦手になりそうだ。

2005年03月26日(土)



 3月、吹雪の想い。

しっかり顔を上げよう。前を向いて進もう。

そう決心した僕を嘲笑うかのように季節が逆走する。

新聞やテレビのニュースも決心を揺るがせる。

このモヤモヤは二日酔いのせいだけじゃないだろう。

春を感じ始めていた矢先の雪が、やたらと冷たかった。

2005年03月25日(金)



 遅れてきた答え。

僕は認められていたんだろうか?

僕は必要な人間だったんだろうか?

主役の一人になれる最後の飲み会で

ここでは感じたことのなかった楽しさを感じた。

それが答えってことでいいんだろう。

2005年03月24日(木)



 全てはくるりの影響で。

ジンジャーエールが切ない飲み物の代名詞なら、

カレーは切ない食べ物の代名詞だ。

切なさを振る舞って、15皿分のカレーは1日にして無くなった。

この職場の仲間たちといられるのも、あと一週間だけど、

みんなの記憶の中にいられるのは、あとどれくらいだろう。

2005年03月23日(水)



 ガリバーの約束。

どんなに小さな約束でも硬いロープのように僕を縛り付ける。

「また明日。」この程度の言葉でさえそうだ。

縛られた僕は、まるでガリバーみたいに身動きがとれない。

一本一本、ロープを解こうとするけど、簡単じゃない。

いつになったら完全に自由になれるんだろう。

2005年03月22日(火)



 痒いものにも蓋をして。

大型で非常に強い切なさは、もうとっくに通り過ぎてる。

でも、切なさが残した爪痕は、様々な痛みを伴って疼く。

過ぎた切なさを追いかけるようなことは、もう止めた。

傷が癒えて、痛みが痒みになっても、瘡蓋は剥がさない。

そう思ってても剥がしてしまうのが、瘡蓋なんだけど。

2005年03月21日(月)



 裸足になりたい。

どんなに理屈をこねても、退屈なもんは退屈なのに、

どんどん理屈に縛られて、窮屈で窮屈で仕方ない。

この退屈で窮屈な「くつ」を脱いで、裸足になれたら、

僕は屈折した感情も屈託顔も捨てて、

素直に笑えるんだろうか?

2005年03月20日(日)



 虹が見えたら。

まるで軒下で雨宿りをしているような佇まい。

部屋の中にいながら上目遣いで考え事をする。

考えることが多すぎて何から片付けようかなって。

雨はもう止んでるはずなのに外に出る機会がわからない。

虹が見えたら追いかけてみようかな。

2005年03月19日(土)



 カサ・ミラ。

人生6度目の引っ越しのためにアパートを物色。

どれも一長一短で、いいと思うものは次々に決まっていく。

具体的な日程が決まらないから仕方ないけど、

もう少し焦らなきゃいけないんだろうな。

「住めば都」って言うけど、今までもそうだっけか?

2005年03月18日(金)



 H(UMA)nity.

自分以外に自分自身を見つけることはできないのに、

自分の中の自分を否定したり。

全部自分なのに、どれが本当の自分だろうと悩んだり。

まだまだ未確認の自分が沢山居そうで、

人間性を保てるなら、見てみたかったり、見たくなかったり。

2005年03月17日(木)



 シンドレーのリスト。

少しずつ積み重ねようとする自信が、

僕以外誰も気付かない地震で崩れてしまう。

一日中、積んでは崩れを繰り返して、僕は途方に暮れる。

いつどれだけ揺れたのか、リストを作って見せたいけど、

他人にとっては震度0のリスト。

2005年03月16日(水)



 未開発のタイムマシン。

円盤形のタイムマシンが回りだすと、

流れるメロディに乗って、記憶はあの頃のあの場所へ。

その頃の僕の視線が捕まえる、風景と感情を懐かしむ。

メロディごとに行き先は変化するけど、

未来行きのタイムマシンは、まだ作られてないみたいで。

2005年03月15日(火)



 悲しさの方向が違った。

吐き出したくて、抱えてきたつもりの言葉は、

驚くほど小さく萎んでいた。

ひと月以上、悩みながら貯めてきた言葉には、

思っていたほど気持ちは残っていなかった。

悲しかったのは、言葉にした後でそれに気付いたからだ。

2005年03月14日(月)



 夜をクロール。

無駄に高い深夜番組のテンションに合わせる必要はない。

自分のペースで泳いだら、眠りたいときに寝ればいい。

誰かに合わせてるだけじゃ辛くなるだけだよね。

今夜もマイペースで睡魔ーがクロール。

最近はよく眠れる。今までが嘘のように。

2005年03月13日(日)



 新天地にむけて。

持ち合わせていた僅かな自信も、

全て過信だったことに気付かされたこの3年間。

叩けば埃の出る躰をきれいにしたら、また一から出直そう。

払いきれずに残った埃は、誇りに換えて。

拭いきれない不安は、ファン(fun)に換えて。

2005年03月12日(土)



 薄青のゲルニカ。

錯綜する情報に一喜一憂。

白と黒が交互に訪れ、灰色になっていく。

頭の中にゲルニカを描いたような混乱。

少し青を落として右往左往。

嬉しくない訳じゃないけど、心境は複雑。

2005年03月11日(金)



 雲の気持ち。

今、彼女の輝きが曇っているなら、それは多分僕のせいだ。

どうしたらいいのか分からないけど、少しだけ待って。

あと少しで僕は、彼女の前からいなくなる。

その後なら、きっとまた、彼女は今まで以上に輝くだろう。

太陽を隠す雲の気持ち。今なら何となく分かる気がするよ。

2005年03月10日(木)



 愛求サプリ。

何だかとても疲れてしまった、と零す相手もなし。

ここ何年も人に愛された記憶がないな、と振り返る。

何もない自分が、やたらと最近愛されたがってる。

コンビニで買えるような手軽な愛でもいいやって。

いや、やっぱいいや。

2005年03月09日(水)



 次は折れない気持ちで。

やっぱりダメだった。甘めの自己採点はホントに甘かった。

途中で折れた気持ちを最後までリカバリできなかった。

でも形には残らなくても自分の中には確かに残った。

応援してくれた皆さんと切っ掛けをくれた彼女に

心から感謝したいと思います。ありがとう。

2005年03月08日(火)



 負け犬の食卓。

声を聞けたり、顔を見れたりしたら嬉しいよ。

だけどその嬉しさを顔や態度に出せなくて苦しんでる。

まるで箸もスプーンもナイフもフォークも用意されず

ご馳走が並んだ食卓の前にただ突っ立ってるみたいに。

僕のご馳走じゃないのは、分かってるから喜べないんだ。

2005年03月07日(月)



 ディスメンバメント・ダイアリー。

皮が剥けたばかりのおちんちんみたいに刺激に弱い感情を、

ケバブみたいに削ぎ落として、したためてきた1825行。

こんな日記が1年も続くとは自分でも思わなかった。

この先どれだけ続けられるかなんて分からないけど、

たとい痩せ細っても、感情にナイフをあてていきたい。

2005年03月06日(日)



 イバラの道をドライブ。

昔の職業病が再発したみたいに、対向車を気にする。

その色のその車は、気にするにはあまりにも多すぎて、

運転への集中力も、景色を眺める余裕も、奪っていく。

好きなドライブが、こんなに辛く感じるとは思わなかった。

こんな道をこんな時間、走ってるはずもないのにね。

2005年03月05日(土)



 友へ。

「今日別れるときは明日会うつもりで。

また出会ったときは昨日別れたつもりで。」

君が言ったこの言葉のように僕はできただろうか。

僕が居なくても世界は回るって改めて実感したけど、

この回る世界の中で君たちが幸せそうで本当に良かった。

2005年03月04日(金)



 不機嫌なアンジー。

僕の心に住んでるアンジー。

いつも不機嫌で口を開けば愚痴や不平ばかり。

おかげで僕まで不機嫌になる。

たまには前向きな言葉で僕を励まして。

嘘でもいいからプラスの暗示をかけてよ、アンジー。

2005年03月03日(木)



 卒業車線。

出張の帰り道、2年越しの卒業式をしようと思い立った。

吹っ切れない想いを精算すべく、卒業式をしようと思った。

片道一車線の雪道は、卒業を妨げるべく進路を塞いだけど、

タイミング良く、登坂車線が僕に味方した。

ここが僕の卒業車線。無事に証書を貰えた気がした。

2005年03月02日(水)



 竜頭の伝言。

29日を示す腕時計が、痩せた手首でカタカタ動いた。

このまま明後日まで直さずにいれば、あの日を越えられる。

でも、ありもしない2月30日を過ごすことに何の意味がある?

「2月に留まったりしないで前を向こう」と、竜頭からの伝言。

僕は日付を直して、少しだけ顔を上げた。

2005年03月01日(火)
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